どうもウハルです!
今回は化物語の第8話『するがモンキー 其ノ參』の感想と解説を語っていきます!
『するがモンキー』篇、これにて閉幕!!
神原の本心やヴァルハラコンビの和解など3話に亘って描かれてきたキャラクター性やストーリーがあったからこそ、共感出来たり、感動出来たりする部分が多々あったように感じた印象
そして、そんな多くの見所があった第8話ですが、やはり一番の見所は「レイニー・デヴィル」とのバトルでしょう!
数少ないアクションシーンというのもありますが……
作画表現がとにかく良い!
キャラの動きやカメラワーク、血の飛び散り方や色合いの変化など、戦闘の激しさとグロさのインパクトが凄まじかったですね
特に、このシーンの表現や描写に関しては、原作には無いアニメオリジナルを混ぜたシーンともなっているので、アニメだからこそ出来た表現方法が取り入れられているというのが、なおの事良いと感じた点となっていました
その辺りも踏まえて、今回は化物語の第8話『するがモンキー 其ノ參』の感想と解説をしていきたいと思います
ちなみに、感想に関しては2023年4月からの再放送をベースにして書かせていただいており、私自身はすでに《物語シリーズ》全編視聴済みの状態で書かせていただいております
そして、『化物語』の感想&解説に関しては「ひたぎクラブ」「まよいマイマイ」も書いていますので、興味がある方は是非!
最後に、《物語シリーズ》に関しては、アニメ&原作のまとめ記事も書いています
なので、「続きを知りたい!」や「原作に触れてみたい!」という方は是非参考にしてみて下さいね
化物語 第8話 あらすじ
第8話『するがモンキー 其ノ參』
神原駿河の想いを聞いた阿良々木暦は、彼女に取り憑いた怪異を払う為、忍野メメのもとを訪ねる。
『化物語』西尾維新アニメプロジェクト公式サイトより
しかし、神原を助けたいという阿良々木に対して、忍野は残酷な事実を話し始める……。
原作だとどの範囲?
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化物語 第8話『するがモンキー 其ノ参』感想&解説
回想
以下、回想――
神原が桐箱に入った左手の木乃伊を初めて使ったのは小学四年生の時だった
その時は手首までの長さしかなかったその木乃伊に「徒競走で一番になりたい」と願った神原は、その夜、雨合羽を着た化け物に子供が襲われる夢を見た
翌日、学校に行ってみると徒競走で走るはずだった生徒たちが皆欠席していることを知る
そのことに恐怖を感じた神原は図書館でその手について調べた結果、ジェイコブズの『猿の手』に行きつく
願った者の意に添わない形で願いを叶えてくれるその道具の存在に恐怖した神原は、桐箱は厳重に封をし、押し入れの奥へと仕舞った
ただ、”猿の手”を仕舞ったとはいえ、その効力がいつまで有効なのかは全く分からない
だから神原は、血のにじむような努力をして自力で願いを叶えた後、走って競い合う陸上部には入らず、バスケットボール部へと入部した
元々あった才能も相まって、コート内において神原に追いつける者は誰もおらず、彼女はバスケットボール部のエースとなり、そして当時、陸上部のエースだった戦場ヶ原ひたぎと出会うこととなる
足が速いと評判の神原の噂を聞きつけた戦場ヶ原は、神原を勧誘にやってきたものの、”猿の手”の理由がある為、陸上部に入る訳にはいかない
戦場ヶ原の誘いを断らなければならない心苦しさを感じながらも、その後も付き合いが続いた神原にとって、戦場ヶ原といる時間は癒しでもあった
しかしその後、高校に入学し、戦場ヶ原に拒絶され、一年後に阿良々木暦という存在を知ってしまったことで再び”猿の手”が入った桐箱を開けてしまう
いつ桐箱を開け、いつ”猿の手”に願い、なぜ肘近くまで”猿の手”が伸びているのかにも気付かないほど無意識に願ってしまった神原の左腕は、気付けば”猿の手”と一体化していた
――回想終ワリ
感想&解説
まるまる回想のアバンパート
ここのシーンは、原作だと忍野が「レイニー・デヴィル」だと看破する前に描かれているシーン
ただ、描く順番を変える事によってより神原の想いの強さや左腕の正体とその暴力性のインパクトが強く印象づけられる効果を発揮しているように感じました
第7話のラストで「実は”猿の手”ではない」という事実が明かされたことで続きが気になる展開を見せ、第8話冒頭で”猿の手”に願った時の過去を知ることで、この後に繋がる「レイニー・デヴィル」の暴力性を印象付ける
一つ一つの描写をより効果的に見せる為に、あえて描き方の順番を変える手法は他の作品でもよく見られますが、この『化物語』という作品に於いては、アバンパートはシネスコサイズで描かれているという演出も相まって、過去の回想が劇的なものへと昇華されているように感じました
また、このアバンでは、阿良々木暦、戦場ヶ原ひたぎ、神原駿河の三人が同時にナレーションをするという手法が取り入れられていましたが、このナレーションの仕方は《物語シリーズ》全編通してもここだけです
このナレーションに関しては、脚本段階では駿河で始まり、途中で阿良々木くんが加わり、最後に戦場ヶ原が加わるという予定だったそうです
最終的には放送された時のナレーション方法になったみたいですが、「異質さ」という意味合いでは、三人同時の方が圧倒的に勝っていると感じさせるくらい不気味な演出でしたね
ちなみに、このシーンで神原が戦場ヶ原との馴れ初めを話していますが、そのエピソードは戦場ヶ原のヒロイン本にて描かれています
当時の神原視点で描かれた内容になっていて、タイトルは「ひたぎスローイング」
毒舌吐きまくりの戦場ヶ原とは全く違う令嬢風のしゃべり口調が面白い中学時代の戦場ヶ原だったりしますが、本質的な部分は全く変わらないと思えるエピソードともなっている短編なので中学時代の二人の出会いを知りたい方にはオススメの一冊です
神原の本心
”猿の手”ではなく”悪魔の手”であると話した忍野は、続けて、阿良々木くんに自分に何をして欲しいのかを尋ねます
神原の願いを手伝ってあげればいいのか、願いのキャンセルを手伝えばいいのか、左腕を元に戻せばいいのか、その全てか
何にしても、今起きている現象を簡単に解決する方法としては二つあり、それは阿良々木くんが「レイニー・デヴィル」に殺されるか、神原の左腕を切り落とすかだと話します
物騒な話ではあるものの、忍野が冗談で言っている訳でもない様子に動揺する阿良々木くんは、意に添わない形で願いを叶える”猿の手”が原因であって、神原は悪くないというようなフォローをしますが、忍野は厳しい口調でそのフォローを否定します
なぜなら、その左腕はそもそも”猿の手”ではないのだから
”悪魔の手”は願った者の願いを叶えてくれる代物であり、「足が速くなりたい」と願ったのなら足を速くしてくれるはず
そうならずに同級生をぶちのめしたのであれば、それは神原が本心ではそう願っていたからに他ならない
もちろん神原自身、無意識の願いではあり、表の願いは「足が速くなりたい」ではありましたが、裏の願いは新しい学校に馴染めず、両親が死んだ寂しい時期に迫害を受けていた元凶に復讐をしたいと思っていた
そして、神原自身もそのことに気付き、それを認めたくなくて、精神的な拠り所として”猿の手”という解釈を求めた
そのことを語る忍野でしたが、阿良々木くんはその話に確証はないと反論
しかし、それも忍野から論破されてしまいます
そもそも、同級生が襲われたことに気付いたのは翌朝学校に行ってからであり、朝起きてすぐに気付かなかったのは、左腕が今のような毛むくじゃらな状態になっていなかったから
また、手首の長さまでしかなかった木乃伊が肘の辺りまで伸びていたということは、神原の願いを叶え、その魂の分だけ成長したということに他ならない
つまり、その件と照らし合わせるのであれば、今回の件に関しても阿良々木くんを襲撃したのは神原自身の願いであり、意志であったと忍野は語るのでした
感想&解説
「表があれば裏もある」じゃないですけど、話していることは事実でもそれがイコールで真実とは限らないという典型的なシーンですね
この部分に関しては、ここまで見てきた神原の性格や”猿の手”の特性に引っ張られてしまって、その真実が上手く隠されていた印象がありました
こういうミスリードは元々『戯言シリーズ』でミステリーを書いていた西尾維新先生らしい部分ではありますね
また、確かに神原自身の本心は裏の部分ではありますが、表の部分が神原の大元の願いだというのも事実
だから、自身の願いによって人が傷ついてしまうことに恐怖を感じているというのも事実ではあるんですよね
これはアニメでは語られていませんでしたが、原作では阿良々木くんがそのことに気付き、神原がストーキング行為をしていた理由を知ることになるんですよね
「……お前、僕のストーキングを始めたのは、それからか……そういや神原、会うたびに、今日は何か変わったことはなかったかどうかとか、僕に訊いていたな」
化物語(上)「するがモンキー」より
それは――そういう意味だったのか。
雑談などではなく。
”猿の手”に願ってしまったことやその願いの形自体は褒められることでは決してありませんが、それでも、相手を気遣い、何かをせずにはいられない神原の性格の良さは救いだなと思えてくる描写ですね
ちなみに、これも原作で語られている内容になりますが、この神原のストーキング行為自体、無駄な行為ではなく、実はレイニー・デヴィルの暴走を抑えていたということを忍野が語っている描写があります
「持ち主の意識に左右される……まあ、現実的なことを言っちゃえば、悪魔とはいえこの場合は片腕だけだから、レイニー・デヴィルもそこまでの力を発揮できないということもあるんだろうね。意識を凌駕できるほどの無意識を、引き出すことはできなかったということさ。要するに、お嬢ちゃんが阿良々木くんの身体を気にしている内は、左手は発動しなかったということだ。四日前からの、お嬢ちゃんのストーキングは、きちんと効果を発揮していたということだよ」
化物語(上)「するがモンキー」より
しかし、その抑制が効かなくなったのは、阿良々木くんが戦場ヶ原と勉強会をすることを知ってしまったからだということもこの後語られています
阿良々木くんとの会話によって、レイニー・デヴィルの暴走のトリガーを引いてしまう
幸か不幸か、阿良々木くんへのストーキング行為がレイニー・デヴィルの抑制と暴走の二つの意味を持ってしまったということですね
レイニー・デヴィルとのバトル
空き教室の一室にて、忍に血を吸わせる阿良々木くん
ある程度の血を飲ませ、一時的に身体能力を向上させた阿良々木くんはレイニー・デヴィルと化した神原の待つ部屋へと向かいます
その理由は、レイニー・デヴィルから神原を救う為
忍野が提示した二つの解決法は論外だったので、新たに提示された三つ目の解決法を試す為に、阿良々木くんは忍に血を飲ませていました
その解決法の三つ目とは、悪魔に契約を果たすことが出来ないと認識させること
今回の神原の願いが「阿良々木暦を殺すこと」なのであれば、それが出来ないと思わせるほどの勝利をおさめれば、悪魔の契約は無効になる
その為に、吸血鬼化してレイニー・デヴィルとの戦闘に挑もうとする阿良々木くんですが、部屋の目の前で阿良々木くんを待っていた忍野と出会います
忍野は、これから戦いに挑もうとする阿良々木くんの荷物を預かり、少し言葉を交わした後、自分も忍も助けが入るということはあり得ないし、ことが終わるまで内側からは扉が開かないから覚悟を決めるように伝えます
その言葉を背に、部屋の扉は閉められ、そして目の前にはレイニー・デヴィルの姿
「……よう」と一声かけては見るものの反応は無く、どころか何の前触れもなしに、突如、阿良々木くんに襲い掛かるように間を詰めてきます
そして繰り出される強烈な左腕からの攻撃
レイニー・デヴィルはあくまで神原の左腕と一体化しているので、悪魔自身の攻撃である左腕からの攻撃にのみ注意していればいいため、その攻撃を躱す阿良々木くんでしたが、その攻撃は一度では終わらず、続けて二発目が飛んできます
その攻撃を腕で受け止めたものの、骨折するほどの衝撃に顔を歪めますが、それでもガッチリと左腕を掴むことに成功します
そのまま心の中で神原に謝罪した後、ガラ空きになっている神原の身体と足に蹴りを繰り出す阿良々木くんでしたが、その後に予想外の攻撃を喰らうことになります
その攻撃はレイニー・デヴィルの左腕からのものではなく、神原の足による攻撃
それをもろに喰らった阿良々木くんは、混乱しながらも、神原が心の底では願いが叶わないことを拒否していることを察します
そこから手技、足技によって繰り出されるコンビネーションに成すすべがなく、ボコボコにされていく阿良々木くん
憎い憎い憎い憎い憎い
憎悪と悪意と敵意の籠った言葉を喚き散らしながら攻撃を続けてくる神原駿河は、金切り声のような悲鳴と共に、阿良々木くんの身体を吹き飛ばすほどの攻撃を繰り出し続けますが、その連撃が一度止まります
吸血鬼の回復が追い付かないほどのダメージを負った阿良々木くんは、連撃が止まった今が反撃のチャンスではあったものの、動けるような状態では無かったので反撃に出ることは出来ませんでした
そして、実はそれ以外にも、動くことが出来ない理由がもう一つありました
……随分とはしゃいでいるわね
その声と共に、外側から開かれた扉
その声の主である戦場ヶ原ひたぎは、私服姿のまま、平坦な口調でその場に立っていたのでした
感想&解説
《物語シリーズ》においても数少ないアクションシーン!
ここまでザ・バトルみたいなシーンが描かれているのは、『化物語』の第1話の序盤か劇場版の『傷物語』くらいだと思います(笑)
それほどまでに貴重なバトルシーンだったりしますが、このシーンはとにかく色使いが素晴らしいですよね
血の色を赤だけで表現するのではなく、黄緑、ピンク、青などといった蛍光色で表現することでグロさがより一層増している印象がありました
また、このシーンで阿良々木くんの内臓が飛び出している描写もあったりして、戦闘の激しさやインパクトの強さもまた印象的でしたね
この描写や演出の数々に関してはシリーズディレクターの尾石達也さんの当初からの意向で、「バトルシーンをインパクトのあるものにしたい」という考えがあったからみたいです
実際、原作では腹に大穴は空いても、内臓が飛び出して、それを掴んでぶん回すという描写はありません
アニメならではのグロテスクさを演出した結果みたいですが、この描写は大正解だと感じましたね
ここのシーンでは解説を二つと裏話を一つ
まず解説の一つ目ですが、今回のバトルにおいて阿良々木くんはレイニー・デヴィルの攻撃は左腕からのみと思い込んでいた事と吸血鬼の回復力が追い付かないほどの攻撃を受けた事で苦戦をしいられますが、実はもう一つ苦戦を強いられていた理由があります
それは、レイニー・デヴィルの圧倒的なスピード
レイニー・デヴィルとは一度対面しており、その速さを体感してはいましたが、実は2度目の戦いの際、阿良々木くんは「あの時よりも速くなっている」と感じている描写が原作では描かれています
明らかに昨日よりも何層倍もスピード値が上昇している。パワーは、そうでもないようなのに……一撃や二撃、否、何十撃単位でもろに受けたところで、今の僕の肉体なら、それで即決してしまうことはないようですらあるのに、どうしてスピードだけが、こうも段違いになる?
化物語(上)「するがモンキー」より
その理由というのは、神原の履いていた靴が大きな要因となっていました
一度目に襲われた時は、レイニー・デヴィルは長靴を履いていましたが、今回のバトルの際に履いていた靴はスニーカー
この靴の描写に関しては一瞬ではありますが、アニメでもチラッと映っていましたね
元々アスリートである神原が履いていたスニーカーをそのまま履かせた状態で挑んでしまった為、神原の身体能力を十分に発揮させる形になってしまったことを阿良々木くんは後悔していましたね
つぎに解説の二つ目ですが、阿良々木くんと忍野のやり取りのシーン
ここのシーンでは、滅多にアドバイスのようなことをしない忍野が珍しくアドバイスのようなことをしているシーンだったりするんですが、ここはアニメでは少しカットされた内容になっています
原作だとこんな感じです
メ「あっそ。まあ、それが阿良々木くんの決めたことなら、それでいいんだけれどね。全然構わないさ、僕の知ったことじゃない。じゃあ、まあ、とりあえず阿良々木くん、お嬢ちゃんに力、貸してあげなよ。言っとくけど、中に這入ったら、ことが終わるまで、もう出られないからね。内側からは、絶対に、扉、開かなくなっちゃうから。逃げの選択肢は最初からないものと構えておくこと。後には引けないって状況がどれほどのものか、春休みのことをよーく思い出して、覚悟決めとかなくちゃ駄目だよ?……勿論、何があっても、僕や忍ちゃんが助けに現れるなんてことはないから。忘れないでね、この僕が常軌を逸した平和主義者にして機会を逸した人道主義者だってことを。阿良々木くんがこの教室に入ったのを見届けたら、僕は四階へ寝に行くから、後のことは知らないよ。阿良々木くんもお嬢ちゃんも、帰るときは、別に挨拶しなくていいからね。その頃には忍ちゃんも眠っちゃってると思うし、勝手に帰って頂戴」
化物語(上)「するがモンキー」より
阿「……世話かけるな」
メ「いいよ」
この阿良々木くんに対して時折見せる優しさは、普段の見透かしたような冷たい感じとのギャップと相まってもの凄く良いですね
というか、これもある意味ツンデレかもしれないですね(笑)
最後の方のセリフなんて、阿良々木くんならしっかりとやり遂げると思っているからこそのセリフに他なりませんし、男のツンデレはカッコいいなと思わされた描写だったりします
最後に裏話を一つ
阿良々木くんと忍野の「世話をかけるな」「いいよ」のやり取りのシーンですが、このシーンを収録した際、忍野メメを演じる櫻井孝宏さんが「いいよ」と言った瞬間、あまりのカッコ良さに収録現場にいた斎藤千和さん、沢城みゆきさん、堀江由衣さんが歓喜したということが『あとがたり』で語られています
そのセリフに心を打たれ、着ボイスにしたいとまで思わされたらしく、改めて櫻井さんの凄さを感じたそうな(笑)
その凄さに三人共が「櫻井孝宏ヤベェ!」って言ったらしいですよw
ちなみにこれが語られている部分に関しては、『化物語』の公式ホームページにある「するがモンキー」篇の『あとがたり』でも聞くことが出来ます
大体ですが、”11:06”くらいからこの会話が始まりますので興味がある方はそこだけでも聞いてみて下さいね
戦場ヶ原ひたぎ登場
「私抜きで楽しそうね、阿良々木くん。不愉快だわ」
傷だらけの阿良々木くんを心配するでもなく、いつも通りの平常運転で阿良々木くんに声を掛ける戦場ヶ原
「そもそも何故、戦場ヶ原がこの場にいるのか?」と疑問に感じた阿良々木くんですが、ふと忍野に荷物を預けていたことを思い出します
カバンの中に入っていた阿良々木くんの携帯電話を使って忍野は戦場ヶ原を呼んだと思い至った阿良々木くんでしたが、戦場ヶ原は続けて「嘘を吐いたわね」と阿良々木くんを責め立てます
電柱に自転車が突き刺さっていた時のことや神原のことなども含めて、”怪異”のことで隠し事をしていたというのは、付き合った時の約束に反する
それは万死に値することだと冷たく言い放つ戦場ヶ原でしたが、ここでやっと阿良々木くんの現状に触れるように「既に一万回死んだ後みたいだし、今回は特別に許してあげる」と言います
その直後、レイニー・デヴィルが阿良々木くんに襲い掛かろうと動き出しますが、同時に戦場ヶ原も動き出し、阿良々木くんとレイニー・デヴィルの間に立って両手を広げます
レイニー・デヴィルは攻撃を止め、どころかすごい勢いで後ずさって行き、その姿を見ながら戦場ヶ原は阿良々木くんの考えを見抜いた上で、自身の想いも語り始めます
阿良々木くん。どうせあなたのことだから、自分が死ねば全部解決するとか、間の抜けたことを思っていたんじゃないかしら?
冗談じゃないわよ。阿良々木くんが死んだら、私はどんな手を使ってでも神原を殺すに決まってるじゃない。阿良々木くん、私を殺人犯にするつもり?
何もかもお見通しであり、あまりに情が深い戦場ヶ原に阿良々木くんは脱帽しつつ、阿良々木くんは戦場ヶ原を呼んだ忍野の目論見を見抜きます
裏の願いが「阿良々木くんを殺すこと」であるのなら、表の願いは「戦場ヶ原と一緒にいること」
悪魔を圧倒する事で”裏の願い”の成就を不可能にしようとするのが一つの方策であるのなら、”表の願い”の成就を不可能にすることも一つの方策
戦場ヶ原を傷つけること自体が契約違反となり、まして目の前で「阿良々木くんが死んだら神原を殺す」と宣言されている以上、悪魔にとってもはや契約達成は不可能な状況になっていました
そのことに気付いた阿良々木くんでしたが、戦場ヶ原はゆっくりと神原の元へと近づいていきます
「神原、久しぶり。元気そうで何よりね」
仰向けで後ろへと後ずさる神原にそう声を掛けた後、体を覆いかぶせるように近づき、自身の右手と神原の”けだもの”の手を絡ませ合う
神原の雨合羽で隠されていたその顔からは、確かに、涙がこぼれ落ち、そして泣きじゃくるように今まで伝えられなかった想いを告げます
「私は、戦場ヶ原先輩が、好きだ」
その言葉に戦場ヶ原は、「私はそれほど好きではないわ」と思ったことをそのまま伝え、「それでもそばにいてくれるかしら」とこれもまた思ったことをそのまま伝え、今まで待たせていたことを素直に謝りました
その姿を見た阿良々木くんは、自分の三枚目ぶりに愚かさを感じつつ、戦場ヶ原ひたぎという人間は諦めが悪く、それが大事なものなら尚更諦めることがないということを改めて自覚するのでした
感想&解説
『するがモンキー』篇の幕は、ヴァルハラコンビの和解で閉じるという非常にキレイな幕切れ
確かに、事態の結末がここまでキレイに収まる所に収まる場面を目の前で見ていたら、阿良々木くんのようにかませ犬と感じてしまっても無理はないかもしれませんね(笑)
それにしても、登場してきた時の戦場ヶ原の怖さも中々でしたね
言ってることもそうですが、見下す感じだったり、目で殺すかのような眼光もまた怖い
知ってはいたものの、ガハラさんは絶対に怒らせてはいけない人だと改めて感じた瞬間ですね……
そして、ここで6話の勉強会の時のセリフが伏線となって登場してくるんですよね
「阿良々木くんが私以外の人に殺されたら、その犯人を殺す」と言っていた戦場ヶ原ですが、あれは冗談ではなくガチ
その本気度合いがハッキリと分かるシーンでもありましたね
そして、ここでは裏話を一つ
忍野に呼び出されてやってきた戦場ヶ原ですが、当然の如く、本編でも原作でも何と言って呼ばれたのかは描かれていません
ただ、その時の状況を実は副音声では戦場ヶ原は語っているんですよね
神「Bパートのラストのほうで、戦場ヶ原先輩は、阿良々木先輩の携帯電話を無断借用した忍野さんから呼び出しを受けるわけではないか。あのとき、忍野さんは一体どう言って戦場ヶ原先輩を呼び出したのだ?」
「するがモンキー 其ノ参」キャラクターコメンタリーより
戦「あまり思い出したくないことを、ピンポイントで訊いてきたわね」
神「あれ。そんなに答えにくい質問ではないと思うのだが」
戦「考えてもご覧なさい。忍野さんは阿良々木くんの携帯電話を使って、私に連絡を取ったのよ?」
神「そうだな」
戦「つまり、私の携帯電話に表示されるのは、阿良々木くんの名前なわけよ」
神「ん?ああ、まあ、そうなるのか」
戦「当然、私は、阿良々木くんから電話がかかってきたと思うじゃない」
神「あ。と言うことは」
戦「そう。と言うことは、私は、阿良々木くんに対するリアクションを、忍野さんに対して、してしまったわけじゃない」
神「うわあ」
戦「思い出したくないわ」
神「私はどうやらとんでもない地雷を踏んでしまったようだ」
戦「と言っても、別にデレ方面のリアクションを取ったわけではないので、セーフはセーフなのだけれどね。あのときデレてたら自殺だったわ」
神「自殺レベルか」
戦「ええ。私の代わりに阿良々木くんが自殺するの」
神「とにかく戦場ヶ原先輩は、阿良々木先輩を殺そうとするのだな」
言われてみれば確かに!
阿良々木くんの携帯から電話が来たんだから、そりゃ阿良々木くんからだと思いますよね(笑)
あまりに一瞬の描写でしたし、阿良々木くんの語りでチラッと触れただけで、戦場ヶ原視点では考えていなかったので、これは中々面白い裏話でしたw
ちなみにですが、神原の「何と言われたのか?」と言うのにもちゃんと答えていて、細かい事情を聞いている時間もなかったので、概要だけを聞いて取るものも取り敢えず家を出たらしいです
ラフな格好をして登場したのはそれが理由みたいですね
今回のオチ
翌日、いつものように二人の妹に叩き起こされた阿良々木くんは、勉強会の為に戦場ヶ原の家に向かおうと家を出たところで声を掛けられます
その声の主は神原駿河
なぜこんな所にいるのか気になった阿良々木でしたが、神原曰く、戦場ヶ原に電話で阿良々木くんを迎えに行くように言われたかららしい
そう言った後、阿良々木くんの自転車の前カゴに入れていた荷物を持ち、そのまま阿良々木くんと共に戦場ヶ原の家へと向かい始めます
そして阿良々木くんは、「日曜日とはいえ部活に行かなくていいのか?」という質問を神原に投げかけると、神原は「バスケットは引退した」ということを伝えます
悪魔は去ったものの、左腕自体は元には戻らなかったので、この状態では部活を続けることは出来なかったので早めの引退をしたとのことらしい
腕は元には戻らなかったものの、「これはこれでパワフルで使い勝手も良いみたいだぞ」と左手に持った阿良々木くんのカバンを振り回しながら答える神原
それを見た阿良々木くんは、ジトッとした目で神原にこう言い放ちます
僕の鞄を今すぐ返せ
感想&解説
前回の『まよいマイマイ』篇の時もそうですが、今回の『するがモンキー』篇もEDの入り方が絶妙でしたね!
和解の辺りでイントロが流れ出し、そのままEDと共に後日談を描くという流れは歌の良さも相まって、非常に綺麗に収まっているように感じました
そして、悪魔は去っても元には戻らなかった左腕
半分の願いは叶っても、半分は叶わなかったという中途半端な結果になってしまったからこその状態ではあるんですが、これに関しては代償として神原自身受け入れているというのはアニメでも分かりますが、原作では阿良々木くんも「それくらいは当然の代償のようだった」と語っています
悪魔に願ったのみならず、人を一人殺そうとしていたくらいですから、報いという意味では当然の結果なのかもしれませんね
ちなみにですが、神原は阿良々木くんの家の前で待ち伏せをしていましたが、家の場所を知っていた理由はストーキングしていた時に阿良々木くんの家の住所を調査済みだったからです
戦場ヶ原が教えてくれたとかそういう訳ではなかったんですよね(笑)
また、神原は阿良々木くんの荷物持ちみたいなことをしていますが、実は自転車のチェーンにも油を注しておくという、結構至れり尽くせりみたいなこともしていたんですよねw
原作だと、そこまでしてくれる神原を見て阿良々木くんは「友達を通り過ぎてパシリになった」と語っています
ただまあ、ここまでくるとパシリというよりは仕事の出来る部下って感じがしてしまいますけどね(笑)
まとめ
化物語の第8話『するがモンキー 其ノ參』の感想と解説でした!
神原の想いは報われなくても、そばに居たいという願い自体は叶ったことで、とりあえずの解決を見た『するがモンキー』篇
レイニー・デヴィルの脅威は去ったものの、左腕が元に戻ったわけではないので、全てが上手くいったとはいきませんでしたが、そういったご都合主義ではない部分も含めて、青春には代償が”つきもの”なのかもしれませんね
そして、今回で『するがモンキー』篇が終わり、次回は色々と話題になった『なでこスネイク』篇に突入です!
阿良々木暦は、忍野メメから町はずれの神社にお札を貼ってくるよう依頼される。神原駿河と共に神社へ向かう阿良々木だが、境内で見たものは、五等分に切断された何匹もの蛇の死体だった。
『化物語』西尾維新アニメプロジェクト公式サイトより
もはや放送事故レベルの描写や《物語シリーズ》において有名なOPが流れるエピソードとなっているので、『なでこスネイク』篇にご期待ください!
それでは今回はこの辺で!
また会いましょう