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化物語 第1話『ひたぎクラブ 其ノ壹』感想&解説!不可能を可能にした青春怪異譚開幕!

どうもウハルです!

今回は化物語の第1話『ひたぎクラブ 其ノ壹』の感想と解説を語っていきます!

2009年7月にアニメ化された『化物語』

西尾維新原作のこの作品ですが、多くのシリーズ作品が出版されるのみならず、劇場版やドラマCD、さらにはマンガ、公式ファンブック、キャラクターグッズ、アプリゲーム、パチンコ、スロットなど多くのメディアミックスが展開されるほどの人気作品です

この作品は個人的にもかなり大好きな作品で、今でも時々見直してしまうほど何周も見ているような作品の一つなんですが、そんな『化物語』が14年という時を経て2023年4月に再放送されることになりました!

今回が初めての再放送という訳ではありませんが、まさかの情報に歓喜!

そんな中、歓喜しながらも同時にこうも思ったんですよね…

「放送が終わり、様々なものが出ているからこそ書ける感想があるのではないか?」と…

今や動画配信サービスで見るのが当たり前になっているような時代なので、書くの自体はいつでもいいんだとは思います

ただ、再放送というより多くの人が『化物語』に触れる機会が訪れたこの時に、より《物語シリーズ》を楽しんでもらいたい!

その為に、改めて解説を交えながら感想を語るのもありなのかなと感じたので、今回から再放送と共に感想を語っていこうと思った次第です

ということで、今回は『化物語』の第1話「ひたぎクラブ 其ノ壹」の感想と解説を語っていきたいと思います

なお、私は《物語シリーズ》に関しては、原作は2023年4月時点で刊行されている『死物語』まで既読済み、アニメ全話視聴済み、円盤全巻購入済みでキャラコメも全話視聴済み、「あとがたり」も10周年フェスのもの以外は視聴済み、アニメコンプリートガイドブックやヒロイン本、ドラマCD『佰物語』も購入済みです

なので、それらの《物語シリーズ》関連の商品の中から「より『化物語』を楽しんでもらえそうだな」と感じた部分を交えながら解説をしていきます

ただ、雑誌などのインタビューなどは読んでいない場合が多いので、あくまで知っている範囲でしか語らないのでご了承ください

それこそ、「何でもは知らない。知っていることだけ」って感じですね(笑)

また、語る話数に関してはどうしてもネタバレしてしまいますが、それ以降の話数に関してはネタバレ無しで書いていきますので、初見さんはご安心を

既に視聴している方は懐かしさと共に、新たな発見と楽しさを見つけてもらえれば幸いですので、興味があれば是非読んでいってくださいね!

そして、《物語シリーズ》に関しては、アニメ&原作のまとめ記事も書いていますので「続きを知りたい!」「原作に触れてみたい!」という方は是非参考にしてみて下さい

化物語 第1話 あらすじ

第1話『ひたぎクラブ 其ノ壹』

高校3年のある日、阿良々木暦は階段を踏み外し落ちてきた同級生の戦場ヶ原ひたぎを助ける。
そんな何気ない行動から彼女の意外な秘密を知ってしまった暦は、秘密をばらさない様、ひたぎから強烈な口止めを受ける。一方的な罵りと攻撃を受けた暦だが、彼は、ひたぎが抱える問題解決の為に協力を申し出る。実は彼も、ひたぎと同様、人に言えない大きな秘密を隠していたのだった―――。

『化物語』西尾維新アニメプロジェクト公式サイトより

オープニング「staple stable」

歌い手戦場ヶ原ひたぎ(斉藤千和)
作詞meg rock
作曲神前暁

全編通してになりますが、《物語シリーズ》の一つの特徴として、各エピソードのヒロインごとにそれぞれが歌う主題歌が流れるというものがあります

今回の「ひたぎクラブ」に関しては、戦場ヶ原ひたぎがメインのエピソードとなるので主題歌は彼女が歌う『staple stable』

このOP映像は町中を巨大なひたぎが歩いていたり、モノクロと赤・青・黄の三色しか使わないという斬新な映像となっていますが、この映像演出に関しては「インスピレーションから生まれた」とオープニングディレクターの尾石達也さんは語られていますね

朝方の5時くらいだったんですが、井荻駅前のちょうどOPでシリーズ構成が表示される建物の辺りを歩いていたら、明け方の空にホッチキスがカチカチカチと飛んでいる絵が見えたんですよ。そしてその瞬間に、今度はビルの陰から巨大なひたぎが出てくるイメージも浮かんで。”重さじゃ量れないこんな想い”って歌詞もあったので、これでいけると思いました。

『化物語』アニメコンプリートガイドブック「ひたぎクラブ」より

また、赤・青・黄の三色しか使っていないのは、尾石さんの『化物語』のイメージカラーがこの三色だったからと語られていましたね

そして、2009年の放送当時はOPアニメーションの制作の都合もあったんだと思いますが、この曲は2話、6話、7話、11話、12話一番地上波で流れたOPになります

その為、「あとがたり」で語られていますが、この曲を担当した斉藤千和さんは「1回しか流さないって言ったじゃん!」ってブチ切れたというエピソードもあったそうですw

ちなみに、副音声で繰り広げられるキャラコメでは、当然オープニングやエンディングについても語られることが多いんですが、戦場ヶ原は基本的に自分の主題歌はベタ褒めします

それは初回の時から顕在で、羽川と一緒に担当したキャラコメでもしっかりと自分褒めをしてました(笑)

羽「あ、オープニングテーマが始まったね。これ、戦場ヶ原さんが歌ってるんでしょ?」
戦「その通りよ。ふむ、さすが私というほかないわ。私最高。聞き惚れちゃうわね」
羽「さらりと自分を褒めるよね」

「ひたぎクラブ」其ノ壹 キャラクターコメンタリーより

※今回の再放送でも1話ではOP映像は流れてきませんでしたが、動画配信や円盤では1話からOPが流れます

原作だとどの範囲?

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化物語(上) ひたぎクラブ 001~005序盤

原作小説の場合、各エピソードには章数が割り振られており、その章毎に場面や描写が切り替わっていきます

今回の「ひたぎクラブ」に関しては原作では全8章アニメでは全2話となっているので、アニメではそれぞれ半分ずつ放送した計算になりますね

  • 朗読:神谷浩史
  • 再生時間
    • 001:7分19秒
    • 002:15分59秒
    • 003:28分40秒
    • 004:32分3秒
    • 005:47分

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化物語 第1話『ひたぎクラブ 其ノ壹』感想&解説

『化物語』だけど始まりは『傷物語』

インパクトを与えるという意味では、これほど効果的なものはないんじゃないかと思えるアバンパート

なんと開始7秒にして描かれるのはまさかの羽川のおパンツ様(笑)

初見の時は「なにこれ??」って疑問符がいきなり浮かんだものですw

そして、その衝撃をさらに吹き飛ばすような映像群がここから始まります

絵と文字で構成されているだけじゃなく、音声は一切なしのアニメーションとBGM&効果音のみで描かれる怒涛の映像

そしてそこから、各ヒロインが一瞬だけ映し出されて「開始」の文字の後に『化物語』のタイトルロゴがドーンと映し出される

この間約1分半の映像なんですが、これだけでもこのアニメは一味違うと感じさせるのに十分な映像の演出でしたね

この映像は『傷物語』の名シーンをダイジェストで流している形になっているんですが、この1分半の映像で使われているカット数は100カット以上

あくまで調べた範囲ですが、30分アニメの平均カット数は約300カットらしいので、他の30分アニメの約三分の一のカットをこの90秒に使っているという事実は驚きです

そして、アバンにこの『傷物語』を持って来たのにもしっかりとした意図があり、『化物語』というアニメ全体としての最初の幕開けとしてインパクトを与えたかったというのと、新房監督『傷物語』を読んだ時に「冒頭はパンツだなと直感したから」というのがあったそうです

まぁ、他にも考えはあったみたいですが、やはりパンツのインパクトには勝てなかったみたいですね(笑)

他にも考えましたが、やはり「パンツには勝てないかもしれない」と(笑)。それに原作ではパンツを見た暦の「1時間、いや一生分の時間に感じた」というようなモノローグがあって、そこに、『化物語』をアニメにする最初のヒントを見つけた気がしたんです。小説をアニメにすることが今回の挑戦だったのですが、小説の表現をそのまま映像にできるファーストシーンになるな、と。

『化物語』アニメコンプリートガイドブック「ひたぎクラブ」の新房監督インタビューより一部引用

ただ、この意図に関しては、見事に直感が正しかったと言わざるを得ないでしょうね

視聴者側としては、パンツも含めて見事にそのインパクトが直撃したんですから(笑)

ちなみに、このアバンでさらに凄いところは、この映像のためだけに『傷物語』に登場する三人のヴァンパイアハンターたちのキャラデザを起こしたというところ

この放送当時は『傷物語』の映像化が決定する前になるので、わざわざこれの為にデザインを起こしたというのがこの作品に対する本気度が伺えます

そして、この凄さに関しては『ひたぎクラブ』の「あとがたり」で、阿良々木暦役の神谷浩史さんも語られていましたね

戦場ヶ原ひたぎについて

日付は5月8日

この作品の主人公・阿良々木暦が遅刻気味に学校の階段を駆け上がっていると、階段から足を踏み外した戦場ヶ原ひたぎが倒れてきました

咄嗟に彼女を受け止めた阿良々木くんは、その瞬間、彼女の異変に気づきます

なぜなら、彼女にはおよそ体重と呼べるものが全く無かったから…

場面は切り替わり放課後の教室

6月半ばに行われる予定の文化祭の計画をクラス委員長の羽川翼と共に、副委員長である阿良々木くんは練っていました

そんな中、阿良々木くんは雑談をするように戦場ヶ原ひたぎについて羽川に質問します

阿良々木くんにとって戦場ヶ原の印象は「病弱な女の子」という印象

高校三年間同じクラスだったという事実があるものの、そこまで深い関りのあるクラスメイトではありませんでした

病気で体重が軽くなると言うのはあるかもしれませんが、あの体重の軽さは病気のレベルを超えている

そこで、戦場ヶ原のことが気になった阿良々木くんは委員長である羽川に戦場ヶ原について尋ねたという訳です

それに対し、羽川は阿良々木くんが他人に興味を持つ事は珍しいと思いつつも、自身が感じている印象を話し始めます

  • 羽川が持つ”戦場ヶ原ひたぎ”のイメージ
    • 何の問題もない優等生ではあるが、同じクラスになって1ヶ月ちょっとの為、「わからない」というのが正直なところ
    • 実は中学が同じで、その時は元気いっぱいの明るい印象だった
    • 中学の頃から綺麗な容姿で、陸上部のスターでもあった
    • 目立つ存在だった為、色々話題に出やすく、人当たりが良くていい人だという話や父親が外資系の企業のお偉いさんで家も豪邸なのにもかかわらず、気取ったところが全然ないという話を聞いた事がある

そこまで語り終えた後、羽川は言い難そうに今の戦場ヶ原に対して感じている印象を正直に打ち明けます

今の方が――昔より、ずっと綺麗、なんだよね。存在が――とても、儚げで。

「存在感が儚い」という言葉は、今朝の事実を知っている阿良々木くんにとって一つの懸念を生み出す言葉でもありました

存在が儚げ。
存在感が――ない。
幽霊のように?

『化物語』ひたぎクラブより

どこか気まずさのようなものを感じた阿良々木くんは、急に話題を切り替えるように忍野メメに呼ばれていることを伝えて席を立ちます

その露骨な切り替えに羽川は不審を抱きますが、忍野の事を知っている羽川は引き留めることをせず、「忍野さんによろしくね」と教室に残ります

感想&解説

アバンのインパクトも凄かったですが、戦場ヶ原が落ちてくるシーンも中々のインパクト(笑)

どの高さから落ちてきてるんだと思えるような演出には驚きましたねw

ただ、この表現に関してはあながち間違っているとは言い難く、原作だとこの時、阿良々木くんは「空から女の子が降ってきた」って表現しているんですよね

その後、「正確に言うなら、階段を踏み外した戦場ヶ原が後ろ向きに倒れてきただけだったが」と言っているので、あくまで心象表現の一つではあったんでしょう

そういった言葉ひとつひとつを忠実に表現している辺り、”小説の映像化”に対しての意気込みが感じられる演出でもありました

あと、この螺旋階段の光の加減や切り紙が舞っているような演出に関しては、「物語の幕開けを幻想的に描くため」だったのと、戦場ヶ原のキービジュアルからのイメージがあったためらしいです

そして、このシーンで羽川の名言である「何でもは知らないわよ。知ってることだけ」が初登場!

もはや、阿良々木くんがヒロインと行うやり取りの中では名物の一つとなっていくこのやり取りですが、序盤も序盤から繰り広げられているんですよね(笑)

ちなみに、羽川のこのセリフですが、基本的には阿良々木くんにしか言いません

その理由は、阿良々木くんが要求してくるから(笑)

その為、他のキャラが「何でも知ってますね~」と言っても「たまたま知ってただけだよ~」と言葉遊び的な要素無しで普通に返答します

本編でというよりは、キャラコメで多くの登場キャラたちが羽川にこのセリフを言わせようとあの手この手を使いますが、結局誰一人言わせることは出来ませんでしたね(唯一惜しいところまで行ったのは千石撫子です)

怖すぎる再会

阿良々木くんが教室を出て扉を閉めた時、「羽川さんと何を話していたの?」と後ろから声をかけられます

その声に振り向いた瞬間、口の中に刃の伸びたカッターナイフを突っ込まれ、その刃はピタリと左頬の内側に張り付いていました

二言目に「動かないで」と発した声の主は戦場ヶ原ひたぎ

現在の状況に恐怖を感じた阿良々木くんですが、その恐怖はカッターナイフの刃を口に入れられていることよりも、そんな行動を起こしておきながら揺らぐことのない真っ直ぐな冷たい視線で見つめてくる戦場ヶ原に対して感じていました

そんな中、「何よ。右側が寂しいの?」と今度はホチキスの針が装填されている側を右頬に挟み込むように口に入れられ、完全に喋ることが出来なくなってしまいます

そんな状態のまま、戦場ヶ原は自身の異常に気付いた阿良々木くんに対して、今朝の事も含めて詳細に語り始めます

バナナの皮に滑って階段から転んでしまった事、自身の体重は5キロしかないと言う事、その重さになってしまったのは中学を卒業してから高校に入る前だと言う事

そして、そうなってしまったのは一匹の蟹に出会ったからだと言う事

戦場ヶ原がこの事実を話したのは、単純に周囲を嗅ぎ回られたくないだけであり、沈黙と無関心を約束してくれればそれで良かった

「それを約束すると言うのであれば、二回頷いて頂戴」と言い放ち、「それ以外は敵対行動と見做す」とも言い放ちます

二回頷く以外の選択肢がない阿良々木くんは首を二回縦に振り、それに満足した戦場ヶ原はカッターナイフをゆっくり引き抜きます

そして、ホッチキスも…とはいかず、ホッチキスに関しては「がじゃこっ」と勢いよく綴じました

その痛みが口の中で広がり、蹲ってしまった阿良々木くんを見ながら「今回はこれで勘弁してあげる」と言う戦場ヶ原

その後、阿良々木くんの反応を確認することもなく踵を返し、そのままその場を去っていきました

蹲った状態から立ち上がった阿良々木くんは、内頬に刺さったホチキスの針を鋭い痛みと共に引き抜きます

抜いた針をポケットに入れたその時、タイミング良く教室から出てきた羽川と出くわし、「バナナの皮を学校の階段にポイ捨てしたら、お前を絶対に許さない!」と言い捨て、阿良々木くんは戦場ヶ原の後を追いかけます

すぐに階段で戦場ヶ原に追いついたものの、戦場ヶ原が向ける視線は冷酷そのもの

追いかけてきたという行為を反抗と受け取った戦場ヶ原は多種多様な文房具を両手に持ち、その両腕を広げながら、こう言い放ちます

戦争を、しましょう

敵対心むき出しの戦場ヶ原でしたが、阿良々木くんが追いかけて来た理由は戦争のためではなく、戦場ヶ原の力になれるかもしれなかったからでした

それを聞いた戦場ヶ原は疑いの目を向けますが、阿良々木くんの次の行動で動揺することになります

戦場ヶ原の目の前で大きく口を広げた阿良々木くん

しかし、彼の内側の右頬についているはずのホチキスの傷跡はすでに無くなっており、たった数分でそんな状態になるのは普通あり得ない

まさしく跡形も無くなっている状態に、思わず戦場ヶ原は両手に持っていた文房具を落とすほど驚くのでした

感想&解説

いやなんかもう…ガハラさん怖いっす(笑)

カッターナイフを突っ込むのもそうだけど、その後躊躇なくホチキスを閉じたりする辺り容赦がないですよね

なんか想像しただけで、口の中に鉄の冷たさとその血の味が広がってくるようです…

ちなみに、沈黙と無関心を約束したにもかかわらず、戦場ヶ原が阿良々木くんを攻撃した理由ですが、これに関しては本当か嘘かキャラコメで戦場ヶ原本人が語っています

羽「なんで綴じたのこれ?阿良々木くんは、沈黙と無関心を約束してくれたじゃない」
戦「びっくりするかなーと思って」
羽「そりゃびっくりするよ」

「ひたぎクラブ」其ノ壹 キャラクターコメンタリーより

いやいや、理由が軽すぎるのよw

まぁ、その辺りも戦場ヶ原らしいと言えばらしい気もしますけどね(笑)

さらに、キャラコメならではと言いますか、阿良々木くんが口の中の傷が無くなっているのを見せるシーンに関しては裏話&女子同士の会話が繰り広げられていました

戦「…正直、こんな風に口の中を見せられても、傷があるかないかとか、わかりづらかったわ」
羽「まあ、そうだろうね」
戦「ただ、阿良々木くんの歯並びは、とてもセクシー」
羽「同感!」
戦「女子同士の会話よねえ」

「ひたぎクラブ」其ノ壹 キャラクターコメンタリーより

言われてみれば確かにとも思う発言ではありますが、ここで口を広げた阿良々木くんに対して「何してるのよ?」みたいな会話が繰り広げられたら話は進まなかったでしょうね(笑)

そう考えると、分かりづらい中でもしっかりと戦場ヶ原が傷の有無を判別出来て良かったです

そして、まさかの歯並びで分かり合う二人w

この辺は、キャラコメを知っていると、緊迫したシーンであると同時にちょっと和んでしまうシーンでもありました

また、「そう言われば…」という部分になりますが、オープニング以降で阿良々木くんの顔がはっきりと映されたのは、戦場ヶ原にカッターとホチキスを口に入れられたところが最初です

実はこれには意図があったそうで、阿良々木くんを嫌われないキャラとして描くために、あえて最初に見せる表情は間抜けに見えるシーンにしたそうです(アニメコンプリートガイドブックより)

さらに、これは設定の裏話になりますが、この戦場ヶ原の脅迫シーンに関しては当初、ホチキスだけにする予定だったそうです

ただ、西尾維新先生自身が実際に自分の口で試してみたところ一度口を開かせる必要があることに気付いて、先にカッターナイフを入れることにしたそうです(アニメコンプリートガイドブックより)

学習塾跡にて

学校から阿良々木くんのママチャリに二人乗りして、怪異の専門家・忍野メメが住んでいる学習塾跡に向かう二人

その場所に向かう道中で、阿良々木くんは吸血鬼となってしまった春休みの事その後遺症が少し残っている事を話しました

そして二人は学習塾跡に到着

そのまま忍野の元へ…と行きたいところではあるものの、一応恩人である彼に文房具を武装した戦場ヶ原と会わせる訳にも行かないので、阿良々木くんは文房具を預かろうとします

その申し出に対して本気で悩んだ戦場ヶ原ですが、渋々了承

身体中に仕込んでいたとてつもない量の文房具を阿良々木くんに渡し、二人は先へと進みます

この学習塾跡は既に廃墟で、足元が様々なもので散乱していたり、すでに夕方で建物の中が薄暗いというのもあり、戦場ヶ原が転ばないよう彼女の手首を持ちながら、先へと進んでいく二人

その行為に対して素直に従いながらも、「感謝するなんて思わないでね」と言う戦場ヶ原

どころか、「むしろ傷が目立たないようにホッチキスを頬の内側に刺してあげたことを感謝なさい」と毒を吐きました

それに対して阿良々木くんはツッコミを入れますが、戦場ヶ原は彼の不死身性についてすでに聞いていたので、その気遣いは不要だったと語ります

そして、そんな阿良々木くんに投げかける一つの質問

「不死身って便利そうねって言われたら、傷つく?」

それに対して、阿良々木くんは「今はそうでもない」と答え、不死身性はほとんど残っておらず、他の人よりも傷の治りが早いだけで他は普通の人間だということを話します

そんな話をしながら進んでいくうちに、忍野がいる部屋へと辿り着きます

感想&解説

この辺りに関しては『ひたぎクラブ』についてというよりも、阿良々木くんと戦場ヶ原の会話がメインとなっているシーン

その為、阿良々木くんの不死身性についてだったり、戦場ヶ原が普段持ち歩いている文房具の量だったりと設定関係が明かされていくような部分になっていますね

ただ、だからこそというのもありますが、二人が繰り広げる会話が中々面白いのもこのシーンの特徴だったりします

戦場ヶ原が投げてくるもはや暴投にも近いようなボールをキャッチし、それを投げ返す阿良々木くんの見事な返し

特にそう感じたのは、ツンデレのクダリですかね

戦「私みたいなキャラのことを、ツンデレっていうのでしょう?」
阿「………」
お前みたいなキャラはツンドラって感じだ。

この辺りからすでに阿良々木くんの言葉選びのセンスが光り始めています

そして、この部分で解説を加えるのであれば、やはり劇団イヌカレーさんが演出した廃墟内でのワンシーンでしょうね

急にリアルな映像になったかと思ったら、阿良々木くんの頭にケーキやスパゲッティが乗せられ、それがぐちゃぐちゃにされているこのシーン

アニメではこのシーンは「あんなことやこんなこと」(「あんなこと」と「こんなこと」には傍線があります)や「○○を○○して○○されている図」として表現されていますが、これは原作の描写のワンシーン

厳密にいえば、不死身性がほとんど残っていないと知った戦場ヶ原が言った言葉を再現(表現?)した映像です

戦「機会があれば色々と試させてもらう予定だったのに、がっかりだわ」
阿「どうやら僕の知らないところで、かなり猟奇的な計画が立てられていた模様だな…」
戦「失敬ね。ちょっと○○を○○して○○させてもらおうと思っていただけよ」
阿「○○には何が入るんだ!?」
戦「あんなことやこんなこともしてみたかったわね」
阿「傍線部の意味を答えろ!」

『化物語(上)』ひたぎクラブより一部引用

これ以降の《物語シリーズ》でも劇団イヌカレーさんの演出は度々登場してきますが、たったこれだけの文章から、あの映像表現を思いつく発想力がもの凄いですよね

忍野メメ登場

「おお、阿良々木くん。やっと来たのか」

アロハ服を着た中年・忍野メメ

阿良々木くんが来ることなど既に知っていたかのように振舞う彼ですが、この見透かしたような言動は以前からのこと

忍野との挨拶を済ませる戦場ヶ原ですが、何よりもまず気になる存在が部屋の片隅にいました

金髪で頭にヘルメットとゴーグルを被り、膝を抱えて体育座りをしている一人の少女

吸血鬼の成れの果てである彼女のことを特に説明する気のない阿良々木くんですが、忍野から”忍野忍”という名前を付けたことを聞かされます

それでも、その後も特に説明する気のない阿良々木くんでしたが、戦場ヶ原自身も特にそれ以上は言及する気はなく、忍についての話はここで終わります

そして、話は戦場ヶ原の話へ……

「おもし蟹」

戦場ヶ原の話を聞いた忍野はそう切り出し、この怪異について語り始めました

「おもし蟹」は九州の山間あたりの民間伝承であること、地域によって呼び方が変わること、蟹ではなく兎や美しい女の人だという話もあるということ

そして、蟹じゃなく元は神なんじゃないかということ

神というのはどこにでもいるし、どこにもいない

戦場ヶ原が重みを無くす前からそこに存在し、存在していなかったとも言える

つまり、戦場ヶ原が重みを無くしてしまったのは、何かの所為でそうなったのではなく、ちょっと視点が変わっただけと忍野は話します

その意味がよく分からなかった戦場ヶ原ですが、忍野ははっきりとこう告げます

被害者面が気に食わねえっつってんだよ、お嬢ちゃん

唐突に放たれる辛辣な言葉ですが、戦場ヶ原はその言葉に対して、特にリアクションを起こしませんでした

その態度に感心した忍野は、「おもし蟹」に逢った人間は大抵我儘な人間であり、何かを望まない限りこの怪異とは逢わないことも語ります

その語りを終えた忍野は、戦場ヶ原の体重を取り戻す為に力を貸すことを約束しました

そして、戦場ヶ原のエピソードは「其ノ貮」へと続きます

感想&解説

忍野メメ初登場!

一話から登場するメメの忍野節ですが、彼は当初から一貫して変わらないですね(笑)

「何かいいことでもあったのかい?」の余裕のある感じや、「人は勝手に助かるだけさ」や「やっと来たのか」といった見透かしたような感じはチョイ悪風な雰囲気も相まってカッコいいんですよね

なれるのであれば、これくらい余裕のある大人になりたかったものです(まぁ、アロハは着ないと思いますけどw)

ちなみに、忍野メメの名言「何かいいことでもあったのかい?」に関しては他のキャラのアレンジバージョンも存在します

それをまとめた記事を書かせて頂いたことがありますが、これは初見の方というよりは、《物語シリーズ》を一通り視聴した方向けではあるので、気になった方は是非!

それから、このシーンでは忍野忍も初登場にはなるんですが、彼女の活躍という意味合いでは再放送予定の1~12話では中々登場しないので、触れる機会がある時にでもまた

ただ一言いうのであれば、黙ってても可愛いですよね。あの少女

そして、このシーンで外せない名シーン(迷シーン?)である「ハガレン」ネタ

元ネタは『鋼の錬金術師』の主人公であるエドワード・エルリックが大人一人分の人体構成成分を説明した時のものになるんですが、ハガレンを見たことある人にはまさかのネタ発言に、かなり衝撃を受けたんじゃないでしょうか?

「ハガレン」の中でもかなり有名なワンシーンであり、印象に残っているシーンだったからこそ、最初聞いた時はこのネタ発言に私も思わず吹き出しちゃいましたね(笑)

そして、当然このシーンに関してはキャラコメでも触れられていて、戦場ヶ原はグリード、羽川はキンブリーが好きという話をしています

羽「あ。ハガレンネタだ」
戦「ハガレンネタね」
羽「好きなの?」
戦「グリード様が大好き」
羽「わかりやすい」
戦「ちなみに羽川さんは、誰が好き?」
羽「キンブリーさん」
戦「わかりやすい」

「ひたぎクラブ」其ノ壹 キャラクターコメンタリーより

あくまで裏話的なものではありますが、視聴者とアニメキャラとの共通認識みたいな話題が出ると、アニメキャラなのに親近感が湧いてきて不思議な気分になってきます

まとめ

出演・声の出演:斎藤千和, 出演・声の出演:神谷浩史, 出演・声の出演:加藤英美里, 出演・声の出演:花澤香菜, 出演・声の出演:堀江由衣, 監督:新房昭之
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化物語 第1話『ひたぎクラブ 其ノ壹』の感想と解説でした!

何度見ても思ってしまうことですが、この作品に於ける言葉のセンスやそれを表現するセンスと言ったものは、やはり唯一無二だなと感じています

西尾維新が作り出した独特の世界観を多くのスタッフさんやキャストの皆さんが、作品を通じて感じたことやこだわりを貫いて作っていった結果、多くの人を魅了する作品へと昇華される

そして、その魅了された多くの人の中に西尾維新自身も含まれ、また新たな”物語”が生み出されていくという好循環がまた素晴らしいですよね

その記念すべき作品の第1話『ひたぎクラブ 其ノ壹』

まだ物語は始まったばかりなので、引き続き楽しんでいきたいなと思います!(何度も見てるけどね!!)

それでは今回はこの辺で!

また会いましょう

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