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化物語 15話(最終回)『つばさキャット 其ノ伍』感想&解説!ついに迎えた大団円!この作品は何度見ても面白い作品です!!

どうもウハルです

今回は化物語の15話(最終回)『つばさキャット 其ノ伍』の感想と解説を語っていきます!

ついに『つばさキャット』、閉幕!!

『化物語』において一番の長編エピソードではありましたが、この作品の最後を飾るのにふさわしい内容は本当に面白く、素晴らしかったです!

ここまででも作画や文字演出などでも楽しませてもらいましたが、張られていた伏線の回収のみならず、序盤の時との対比を描いた演出や会話の数々など『つばさキャット』単体ではなく、『化物語』という作品を通して見たからこそ楽しめる内容は何度見ても面白いと感じましたね

そしてさらに良いのが、《物語シリーズ》全体を通しても『化物語』で描かれていた内容が生きて、別のシリーズ作品が作られるという”匠の技”が素晴らしいですね

既に伏線として張られているゴールデンウィークの出来事春休みの出来事のみならず、今回登場したブラック羽川の所業もまた別のシリーズ作品の要因として絡んでくる

《物語シリーズ》の原点とも言える『化物語』は本当に面白く、よく出来た作品だなとしみじみと感じた今日この頃です

そんな良作の最後を締めくくったラストエピソード『つばさキャット 其ノ伍』の感想&解説をしていきたいと思います!

ちなみに、感想に関しては2023年4月からの再放送が始まってから書かせて頂いております

その為、私自身はすでに《物語シリーズ》全編視聴済みの状態で書いていますので、あらかじめご了承ください

そして、ここまででも円盤特典のキャラコメの内容を紹介させて頂きましたが、この『つばさキャット 其ノ伍』《物語シリーズ》唯一の阿良々木暦ご本人の登場回!

なので結構ガチ目の裏話とかもしているので、興味がある方はそこだけでも読んでみて下さいね!

また、『化物語』の感想&解説に関しては「ひたぎクラブ」「まよいマイマイ」「するがモンキー」「なでこスネイク」も書いていますので、興味がある方は是非!

最後に、《物語シリーズ》に関しては、アニメ&原作のまとめ記事も書いています

なので、「続きを知りたい!」「原作に触れてみたい!」という方は是非参考にしてみて下さいね

化物語 最終回 あらすじ

最終回『つばさキャット 其ノ伍』

忍野メメの不自然な態度の原因は、忍野忍の家出だった。八九寺、神原、千石らとともに忍を探す阿良々木だが、どうしても見つけることができない。途方にくれる阿良々木の前に現れたのは……

『化物語』西尾維新アニメプロジェクト公式サイトより

原作だとどの範囲?

化物語(下) つばさキャット 007中盤~008

  • 朗読:斎藤千和
  • 再生時間
    • 007:約2時間21分
    • 008:13分20秒

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化物語 最終回 『つばさキャット 其ノ伍』感想&解説

羽川の想いとストレッサー

「俺のご主人。お前のことが好きにゃんだにゃん」

ブラック羽川が語る羽川の想いを聞いた阿良々木くんは、予想外の内容に驚きを隠せませんでした

冗談にしても悪質すぎるし、嘘だとしても質が悪い

阿良々木くんがそうブラック羽川に伝えると、ブラック羽川は「嘘をつける頭が無いし、ご主人のことを誤解するわけがにゃい」と話します

それでも羽川の好意が信じられなかった阿良々木くんでしたが、それこそが羽川が抱えたストレスの原因でもありました

羽川の好意に気付かず、好きな人が別の人と付き合っている様子を見せつけられ、さらには好きな人から恋愛の相談を持ち掛けられ続ける

略奪愛なんてことは性格上、絶対に出来ないことであり、自身が傷つくことは厭わない羽川翼

戦場ヶ原が登場し、二人が付き合ってしまったことで純粋な恋愛だったものが横恋慕へと変わり、真面目な性格からそれが罪悪感となってしまう

その結果、ストレスが溜まり続け、今回の件へと繋がったというのが事の真相でした

それを聞いた阿良々木くんがいつから羽川が好意を寄せていたのかを尋ねると、ブラック羽川は春休みからだと話します

そもそも、羽川のそういった兆候はこれまでの行動でも少し現れていて、阿良々木くんを副委員長に任命したことその兆候の一つでした

「不良だから更生させる」という理由で副委員長に任命したものの、それは少なからずクラス内からの反発もある

その反発を半ば強引に押し切る形で羽川は阿良々木くんを副委員長にしましたが、そういった権力による力押しのような行為は羽川自身が何より嫌っている行為

そこまでした理由こそ、少しでも長く阿良々木くんと一緒にいたいからに他なりませんでした

ここまで羽川の”裏”の想いを聞いた阿良々木くんでしたが、それでも感じてしまった一つの疑問がありました

それは、自身がストレスの原因だったとして、”たかが”その程度でブラック羽川が出てくるほどストレスが溜まるのか?

それを聞いたブラック羽川はイラつきを隠すことなく、阿良々木くんを威嚇するように言葉を返します

たかが?
十数年積み上げてきた家族の苦しさが、数ヵ月募らせた恋愛の切にゃさに劣っちゃいけない理由でもあるのかにゃ?

続けてブラック羽川は、「お前真剣に人を好きににゃったこととか、ねーんじゃにゃいの?」と返し、「だったら今の彼女とさっさと別れて、ご主人と付き合っちゃえよ」と話します

その挑発まがいの言葉を聞いた阿良々木くんは「それはできないよ」と冷静に返し、そして正直に自分の想いを伝えます

そしてそれは、以前八九寺に言われた「あの二人だったら普通羽川を選ぶのでは?」という質問への明確な返しでもありました

僕はあの性格を含めて――戦場ヶ原のことが、好きなんだ。
生まれて初めて、真剣に人を好きになったんだよ。

さらに阿良々木くんは、今回も前回も”裏”面であるブラック羽川を出してしまったのは羽川翼の弱さであり、頼るべきではなかったと話します

さっきの言葉は、お前じゃなくて羽川が僕に言うべき言葉だった――苦しい役目をお前に押し付けたに過ぎない。羽川と同じ環境でだって、怪異に頼らず自分ひとりでその環境を生き抜いている奴もいるはずさ。羽川がお前みたいなのに頼ったのは、そういう連中に対する冒涜だ

その発言を聞いたブラック羽川は、我が身を犠牲にして瀕死の吸血鬼すらも助けてしまう阿良々木くんならそれを言う資格もあると納得します

そして、ブラック羽川は「人の気持ちは変えられない」ということを前回学んでいることから、二人が付き合って自身を消すという『第一の提案』はあっさりと引っ込めることにしました

感想&解説

この辺りに関しては様々な事柄や今までの会話の回収になっていきますが、やはり一番の回収は羽川の阿良々木くんに対する好意の部分でしょうね

ただ単純に”好き”では量れないその想いの重み

自身の現状を打破してくれるような正に王子様のようにもヒーローのようにも思えるような阿良々木くんの存在は、羽川にとって唯一無二とも言えるような存在だったように感じます

そういった意味では、ここで描かれていた劇団イヌカレーさんの表現方法はかなり見事でしたね

視覚的に非常に分かりやすいあの演出は、見ているだけで羽川翼の切ない恋心が伝わってくるようでした

そしてここでは盛大な裏話を一つ

その裏話というのは、阿良々木くんが羽川の気持ちに本当に気付いていなかったのかということ

これについてキャラコメで語られているんですが、阿良々木くんの学園ラブコメものに対する見方も面白かったのでそれと併せて紹介します

ちょっと長くなってしまうのと、完全に裏話になるので「そこまでは……」という方はスクロールしてしまってOKです

ちなみに、羽川が阿良々木くんのことを「阿良々木」呼びしていますが、これは今までのうっ憤を晴らすために、敢えてその呼び方をしています

羽「で、阿良々木。質問に答えてくれるかな。私の気持ちに本当に気付いてなかったの?」
阿「そうだな。えーと、漫画でも小説でも、ドラマでもいいんだけど。主人公の男の子がいるとしよう」
羽「仮にその名前を阿良々木暦としよう」
阿「しなくていい。で、まあ、お約束の展開というか、それが学園ラブコメだったりすると、主人公の男の子に好意を寄せる女子が複数いて、だけど主人公はその好意にまるで気付かない、鈍感風、みたいなパターンって、あるじゃないか」
羽「本当に名前を阿良々木暦にしなくていいの?」
阿「しなくていい。けどさあ、現役高校生の僕の立場から言わせてもらえれば、むしろ逆だと思うんだよ」
羽「逆って?どういうこと?」
阿「だからむしろ、好意に気付かないどころか、ありもしない好意を周囲の女子から見出しちゃうことのほうが多いって言うのかな。ちょっと優しくされただけで『え。え。ひょっとしてこの女子、僕のこと好きなんじゃね?』って思うじゃん」
羽「思うじゃんって、同意を求められても」
阿「女子はどうなのかわからないけれど、男子はみんなそうだぜ。なんてことない優しさで、すぐそう勘違いしちゃうんだ。プリントを配るとき僕のときだけ置きかたが違った、とか、そんなことで」
羽「それは凄まじいね。……阿良々木だけじゃなくて?」
阿「いや男子はみんなそう。これは保証する。だから羽川さんも男子に迂闊に優しくしないほうがいいぜ」
羽「はあ……それはためになる話だったけれど、で、それが私の質問と、何の関係があるの?」
阿「だからー。漫画とか小説とかドラマとかで、主人公がモテモテのケースっていうのは、警戒して見たほうがいいという話だ。だって主人公視点で話が進むんだから、受け手に見えている景色は、主人公の目を通した世界ということになる。ならば、モテモテ風に見えるのは、主人公がそう勘違いしているからという可能性が非常に高い」
羽「あー。一人称小説とかだと特にそうかもね。で?」
阿「でって……今のでは答になってないかな」
羽「ちょっと面白い話だったけれど、私の気持ちに気付いていたのか気付いていなかったのかという問いに対する答になってないと思うよ」
阿「あー、えっとね。じゃあ率直に」
羽「率直に」
阿「気付いていませんでした」
羽「ぽむんっ!」
阿「殴った!今羽川さんが僕をぐーで殴った!」

「つばさキャット 其ノ伍」キャラクターコメンタリーより

本編を見てても分かっていた事ではありましたが、改めて本人の口からきくと「ですよね!」感がもの凄いww

そして、これもまた本編と同じでありますが、結論に行くまでが前フリが長いんですよねw(ディスってる訳じゃないですよ)

ただ、阿良々木くんの言っていることも分からなくもない

ありもしない好意を見出してしまうというのは、結構”男子あるある”だったりもするんですよね

プリントの置き方は極端な例の気もしますが、自分の都合のいい方に「他の男子と違う」と捉えてしまうと、勘違いの種になるというのはよくある話

そこから恋愛に持ち込む男子もいますが、阿良々木くんのように否定的な方に考える男子というのも多分に存在します

結局の所、高校生男子って「自意識過剰」か「自己肯定感が低い」かのどちらかに分類出来たりする単純な生き物なのかもしれませんね(個人的な男としての意見ですけどね 笑)

羽川の嘘と阿良々木くんの誇り

自身の想いをハッキリと伝えた阿良々木くんでしたが、しかし、羽川が阿良々木くんのことで思い詰めてしまったことに関しては、被害者の部分が大きいかもしれないとも思っていました

そう考えてしまった理由というのが、吸血鬼が有する特性の一つである”魅了”

その”魅了”によって、羽川が阿良々木くんのことを好きになり、ここまで思い詰めてしまったのであれば、それは被害者以外の何ものでもないとブラック羽川に話します

それを聞いたブラック羽川は否定し、そもそも”魅了”というのは、吸血鬼もどきに扱えるような代物ではないし、惚れ薬みたいな都合のいいものではなく、自意識を無くし、絶対服従の操り人形のようにすることを言うのだと話します

阿良々木くん自身、”魅了”について知らなかったものの、それは羽川から聞いたこと

その内容の齟齬に気付いた阿良々木くんは、ここでも一つの羽川の嘘に気付き、そして羽川の悲鳴であり願望がその時にあげられていたことに気付きました

「そうであればよかったのに」という切ない願望。そうであれば、なにかの所為に出来たのに

そして”魅了”によって羽川が思い詰めたのではなく、阿良々木くんを阿良々木くんとして好きになってくれたことを知った阿良々木くんは安堵しました

じゃあ――僕は誇っていいんだな。羽川に、好きになってもらえたことを――

その事実は、それだけでも生きていけると思えるほどに阿良々木くんにとって名誉なことでもありました

感想&解説

ここまででも何度か「切ない」ということを言わせてもらいましたが、この嘘が一番切ない…

自身の気持ちに蓋をしようと考えた中で、つかなくてもいい嘘、どころか下手したら相手に嫌われかねない意地悪な嘘をつかなければならないほどに追い込まれていた羽川の心境は、見ていて本当に辛かったですね

声にならない悲鳴、自身の気持ちに傷をつけてまで嘘をつかなければならない心境

これも羽川が抱えたストレスの一つなんだと分かる描写にもなっていて、そこがまた切なさに拍車をかけていたように感じた描写でもありました

そしてここでは解説を一つ裏話を一つ

まず解説ですが、ここの”魅了”について語られるシーンは1話の教室シーンを彷彿とさせるような描写で描かれていますが、これは新規に描かれたものになっています

「何でも知っている委員長」として、1話では”戦場ヶ原について”、15話では”魅了について”語られるこの描写は非常にインパクトのある描写となっていました

羽川の姿でありながらも、口調はブラック羽川という齟齬が、より印象的なシーンへと変わってもいるので、そこもまた面白い演出ではありましたね

次に裏話ですが、これはある意味、阿良々木くんのカッコいいセリフが台無しになるような部分かも(笑)

というのも、阿良々木くんがここのシーンで「誇っていいんだな」と言った時に、ブラック羽川は何も言いませんでしたが、キャラコメで聞いていた羽川さんは盛大にこの言葉にツッコミを入れています

「表ではシリアス、裏ではギャグ」みたいな感じのワンシーンで面白いと感じている部分だったので、紹介させて頂きますね

『僕は誇っていいんだな』
羽「いいわけないだろ!」
阿「いや、台無しなこと言わないで!ここはいいだろ、誇っても!」
羽「誇るって何よ誇るって。言い触らす気?『あいつ僕のこと好きだったんだぜー、超うけるんですけどー』とか言って。ブログに書く気?」
阿「どんなキャラなんだよ。お前の中での僕、どんなキャラなんだよ。するわけないだろそんなこと。一生自分の胸のうちに秘めてだな、嫌なことがあるたびに思い出すんだよ」
羽「それもちょっと怖いな」
阿「あのとき羽川と付き合っていれば!と常に思いながら」
羽「普通にやめて。後悔と共に私のことを思い出さないで」

「つばさキャット 其ノ伍」キャラクターコメンタリーより

本当に台無しだし、羽川さんが卑屈すぎるw

阿良々木くんがそんなキャラじゃないというのは分かっている上でのやり取りではありますが、それにしても羽川の被害妄想っぷりがヒドイww

そしてそこからの阿良々木くんの返しは重い(笑)

本編だとこの二人の会話劇的なやり取りってかなり少なかったんですが、キャラコメを聞いていると、もっとやってほしかったなと切実に感じてしまうくらい面白いんですよね

大分《物語シリーズ》は話が進んで、もはや円盤も出きっていますが、またこの二人でキャラコメやってくれないかなと思っちゃいますね

ブラック羽川の『第二の提案』

羽川の想いを受け止めた阿良々木くん

そして改めて、羽川のストレスを解消するために忍探しを続行しようとしますが、手伝ってもらっている皆からも特に連絡もなく、夜も遅いので千石辺りには撤収命令を出そうかと考えていました

するとそんな中、ブラック羽川は忍に頼らず、阿良々木くんが羽川と付き合わなくても自分を引っ込めることが出来る『第二の提案』をしてきました

阿良々木くんがそれが何なのかを聞くと、ブラック羽川は理由は特に言わずに、阿良々木くんに街灯の下まで歩くように指示します

指示通り街灯の下まで歩く阿良々木くんですが、どうやら行き過ぎたようで、ブラック羽川から「そこだと真下になって影が出にゃい」と言われ、意味が分からないながらも少し立ち位置をズラしました

するとその瞬間、音も無く、不意を突かれるように背後からブラック羽川に抱きつかれ、”エナジードレイン”によって急速に阿良々木くんの生命力は奪われていきました

ブラック羽川が提示した『第二の提案』

それは、ストレスの対象である阿良々木暦をこの世から消すこと

ゴールデンウィークの時はストレスの対象である羽川の両親を病院送りにするだけに止めてしまったことでストレスを発散しきれなかったことが失敗だったと思っているブラック羽川は、今回は同じ轍を踏まないために、確実に阿良々木くんを殺しに来ました

それこそ一切の迷いも躊躇もなく

抵抗を試みようと思った阿良々木くんですが、指一本動かすことも出来ないほど体力が奪われているし、そもそも”怪異”と人間とでは力量差が違い過ぎる

何より、”裏”であるブラック羽川が話し、取っている行動というのは”表”である羽川の願いでもある

そう感じた阿良々木くんは、恩人である羽川のためなら死んでもいいとさえ思っていたので、意識が朦朧とする中、このまま死んでいくことを受け入れようとしていました

しかしその瞬間、阿良々木くんは大切な人の存在を思い出します

その大切な人とは、戦場ヶ原ひたぎ

「阿良々木くんが殺されたら、殺した相手を殺す」とまで言い切り、それを実行に移すだけのことをする彼女の存在を思い出した阿良々木くんは、戦場ヶ原が羽川を殺すという最低最悪の結末を思い至り、それだけは阻止しなければならないと残る力を振り絞ってブラック羽川に抵抗を試みます

しかし、力も無い阿良々木くんがブラック羽川を引き剝がせるわけもなく、生命力はどんどん吸われる一方

当のブラック羽川は、余裕の姿勢を崩さないままに、抵抗する阿良々木くんに「誰かに助けでも求めてみるかにゃ?」と言い放ちます

自分一人ではどうしようもない今の状況に、これまで出会ってきた人たちの顔が思い浮かびます

戦場ヶ原ひたぎ八九寺真宵神原駿河千石撫子羽川翼

「僕が死んだら悲しむだろうな…」と薄れる意識の中、阿良々木くんはさらにもう一人の大切な存在を思い出します

……助けて。助けて……

声を振り絞って助けを呼んだその瞬間、阿良々木くんの影から突然現れた《忍野忍》

忍は阿良々木くんを襲っているブラック羽川を蹴り飛ばし、吹き飛んだブラック羽川にもの凄い速さで近づいた後、首元に噛みつき、ゴールデンウィークの時同様、ブラック羽川の精力を奪っていきました

あまりの展開の早さや忍が自分の影に潜んでいたことに驚きながらも、ブラック羽川が「そこだと影が出ない」と言っていた意味も理解した阿良々木くん

呆然としながらも、エナジードレインされているブラック羽川の髪色が白から黒へと戻り、頭に生えていた猫耳も引っ込んだところでこれ以上は危険だと判断し、忍にストップをかけます

そのストップにあっさりと従った忍は、首元から口を離し、何も言わずに再び阿良々木くんの影へと戻っていきました

無事に羽川を元に戻すことに成功し、静かに寝息を立てている羽川は、寝ていながらも真面目が堂に入っているように、寝言で阿良々木くんに説教をし始めます

阿良々木くん……私との友情よりも私に恩返しをすることの方がずっと大事なんて――そんな寂しいこと、言わないでよ。

阿良々木くん……きちんとしなさい

最後まで人のことに気を遣っている羽川の言葉でしたが、阿良々木くんはその言葉に対して、条件反射のように一言だけ「はい」と返事をするのでした

感想&解説

忍野忍、降臨!!

厳密に言えば影の中に潜んでいたので降臨と言うよりは”召喚”といった感じw

登場シーンも呼び出されたかのように下から登場したので、そう感じてしまうのかもしれませんが…(笑)

そして、登場からのブラック羽川への攻撃に至るまでのアクション作画が本当に神がかってる!!

あまりの早さに初見の時は呆気にとられながら見ていたのを憶えています

さらに言えば、このシーンでびっくりしたのが忍のスカートの中

「なんてとこに絆創膏貼ってんねんww」って思わずツッコみたくなるような本当に一瞬の描写を作り上げたシャフトスタッフのこだわりには脱帽です(「何のこと?」と思った方は忍がブラック羽川に蹴りを入れる直前だけスロー再生すれば分かると思いますよ)

そんな忍が大活躍を見せながらも、それによって羽川のストレスも終息!

”ゴールデンウィークの続き”の物語は、これにて再び幕を閉じたのでした

そしてここでは解説を一つ

まずは解説ですが、今回ブラック羽川が取った阿良々木くんを殺すという行動ですが、これは一歩間違えれば世界を滅ぼしかねない行為でした

仮にあの場でブラック羽川が阿良々木くんを殺してしまった場合、阿良々木くんとの繋がりが完全に断ち切られ、それに伴って完全体となった忍野忍、もといキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードが世界を滅ぼします

この事に関しては《物語シリーズ》セカンドシーズンの『傾物語』にて描かれている事柄となっており、厳密に言えば世界が滅ぶ要因として別の要因も関わってはいます

ただ、その『傾物語』の中で忍自身が「あの時の家出で世界を滅ぼすつもりだった」と話しているので、大袈裟ではなく、今回の件は家出も含めて、ブラック羽川の行動はかなり大事になりかねない行動だったんですよね

もしもその辺りの詳細や別の要因が気になった方は『傾物語』を是非ご視聴ください

後日談というか、今回のオチ

動けなかった阿良々木くんと羽川は、神原の助けを借りて家へと帰ることが出来、その後、学校へと向かうことにしました

いつも通り妹二人に叩き起こされた阿良々木くんは、学校へ行く前に忍を忍野の元へと帰すために学習塾跡へと向かいましたが、どうも留守の様子

仕方ないのでそのまま学校へと自転車を走らせ、教室へと到着すると、すでに羽川の姿がありました

挨拶を交わし、いつも通りのやり取りをする二人

羽川自身がどれほど今回の記憶が残っているかは聞いてはいませんでしたし、いつかは聞かなければならないことではあるものの、今は心の整理が必要だろうと阿良々木くんはまだ今回の件について触れないことにしました

そして、登校してきた戦場ヶ原とも駐輪場で会い、戦場ヶ原から今度のデートは阿良々木くんがプランニングするよう言いつけられました

それに対して阿良々木くんは了承し、今度は自分の『宝物』を見せてあげることを心に近い、「いつか蟹も食べに行かなくちゃ」と思いを馳せました

その後放課後となり、阿良々木くんは戦場ヶ原、羽川、神原を連れて再び学習塾跡へとやって来ましたが、忍野の姿は見当たらない

ここにきて阿良々木くんはやっと、忍野がこの町を去ったことに気がつきました

屋外に出ていたことも、忍の家出を見逃したのも、ブラック羽川の脱走も、どれも忍野がこの町を去るために必要だったこと

「挨拶もなしでいきなり姿を消したりしないさ」という言葉も、別れを言わない忍野にとっての最大の別れの挨拶だったと気付いた阿良々木くんは、その不器用な男の精一杯の”親愛の証”を確かに受け取りました

学習塾跡を後にした四人は、忍野の性格やこれまでの行動の数々を思い出しながら、異口同音に忍野のことを「お人よし」と声を揃えて言い合い、羽川と神原はその場を後にしました

阿良々木くんは戦場ヶ原を送り届ける為に、自転車の後ろに乗せてペダルを漕いでいきます

これからも”怪異”に遭うことになるだろうけれど、でももう大丈夫

自身の影に住む者がいるように、この世に闇があることも知っているから

そんなことに思いを馳せながら、明日のことにも阿良々木くんは思いを馳せていました

明日はいよいよ文化祭だった。
僕達のクラスの出し物は、お化け屋敷。

感想&解説

綺麗な締めで『つばさキャット』、閉幕!!

ここまで様々な伏線が回収されてきましたが、最後の伏線である”忍野の謎の行動”がここで回収されるんですよね

元々、根無し草の放浪人だったので、いつかは去ることになるし、ここまででもそれを十分に匂わせる言動や行動を取っていましたが、改めてその別れを見ると寂しくもあり、物悲しくもありますね

そしてここまでは”青春怪異譚”の”青春”の要素が弱かったですが、ここにきて「THE 青春」みたいな描写やセリフの数々が登場する辺り、怪異譚の終わりも強く印象づけられて、もの凄く良い締めだと感じています

しかも、文化祭の出し物が「お化け屋敷」というのも”怪異”という存在と向き合い、拒絶せずにを受けいれたからこそ出来る出し物だと考えると、その明るい未来もまた微笑ましくなってきますね

彼ら彼女らの”青春怪異譚”はまだまだ続きますが、とりあえず『化物語』は”此レニテ終ワリ”になります

そしてここでは解説を二つ裏話を一つ

まず解説の一つ目ですが、学習塾跡からの帰り道に阿良々木くんが戦場ヶ原を乗せて自転車を走らせているシーンアニメオリジナルになります

原作では家まで送りはするもののそこの描写は特に無く、「初めて手料理を食べた」という描写になっています

ここのアニメオリジナルシーンに関しては、”魅了”について羽川の姿でブラック羽川が教室で話すシーンと同様、1話の時と現在の関係性の対比を描いた演出となっています

1話の時は戦場ヶ原は阿良々木くんの体に触れもしませんでしたが、15話の時は身を預けるように自転車に乗っている

これまでのエピソードを通じて、「敵対関係」から「恋人関係」へと見事に変化した様子がここでは描かれていて、非常に印象的なシーンとなっていますね

次に解説の二つ目ですが、文化祭の出し物を言った際に描かれていたお化け屋敷のオブジェなどは『映画 うる星やつら2』のパロディとなっています

私自身、こちらの作品は未視聴になるんですが、レビューなどを見る限りかなり評判も良い作品なので、もしかしたら映画を見ていた方はすぐにでも気付いたかもしれませんね

また、ここで仮装をしている阿良々木くんたちの姿はドラマCD『佰物語』でも使用されているデザインになります

そして最後に裏話ですが、これは西尾維新の凄さに改めて感心した部分になります

ここまででも円盤特典であるキャラクターコメンタリーの内容を紹介してきましたが、これは全て西尾維新先生自身が書き下ろした内容になります

そして、映像に合わせてキャラクターがコメントするので、当然、映像ありきで書いていくんですが、この15話のBパートに関してはほぼ線撮の状態でコメンタリーを書いているんですよね

絵無しの状態でコメンタリーを書くというのも凄いんですが、個人的に凄いと感じたのはそれを生かして、世界観を繋げたようなセリフを書いているところ

そう感じたのはラストシーンの羽川の記憶がどれくらい残っているのか分からず、いつかは訊かなければならないが今じゃないと語っていた阿良々木くんのシーンでの二人のやり取りです

阿「で、記憶はどこまで戻ってんだ?」
羽「今訊くことじゃ絶対ないでしょ。それに、戻ってようと戻ってまいと、今こうして見ちゃったし」
阿「線撮だけどな」
羽「だから線撮だったのかも」
阿「だとすれば一番優遇されてるのはお前だよ」

「つばさキャット 其ノ伍」キャラクターコメンタリーより

『化物語』という作品自体がメタネタ発言を連発しているからこその納得感というのもありますが、線撮の状態を見て、このセリフを思いつき、キャラクターに喋らせた西尾維新先生の発想力はやはり凄いなと思いましたね

線撮なのは明らかに制作スケジュールの都合ではあるんですが、そこをそのまま伝えず、「羽川に見せないため」という制作スタッフの優しさという別の理由付けを加えることで、創作と現実が繋がったように感じました

まとめ

出演・声の出演:斎藤千和, 出演・声の出演:神谷浩史, 出演・声の出演:加藤英美里, 出演・声の出演:花澤香菜, 出演・声の出演:堀江由衣, 監督:新房昭之

化物語の最終回『つばさキャット 其ノ伍』の感想と解説でした!

全15話という話数ではありましたが、終わってみるとあっという間だなと感じた『化物語』

実際、何度も見ている作品ではありますが、見るたびに新たな発見や面白さを知ることが出来て、毎度毎度余韻に浸りながら見ている大好きな作品の一つです

今回の再放送を通じて、何度そう思ったか分かりませんが、改めて《物語シリーズ》という作品が好きなんだと再認識し、その魅力にどっぷりとハマることが出来たので、今回の再放送はかなり感謝しています

また、今回は再放送作品の各話感想を書くというちょっと変わった感想&解説ブログを書かせて頂きましたが、楽しんで頂けましたでしょうか?

内容としては、個人的に面白いと感じた事これを知っていたら楽しめるといった内容を主に紹介していきましたが、ご縁があってこのブログを読んで頂いた皆様に「《物語シリーズ》って面白い!」って思ってもらえたのなら幸いですね

そして、そんな面白い《物語シリーズ》はまだまだ続いています!

『化物語』を見て「続きが見たい!」と思った方は『偽物語』を、「ゴールデンウィークの出来事を知りたい!」と思った方は『猫物語(黒)』を是非ともご視聴くださいね!

そうしてどんどん《物語シリーズ》を見ていくと、今度はまた見直したくなるような内容が明かされて、また見直してと次第に沼にハマっていくと思いますので(笑)

それでは今回はこの辺で!

また会いましょう

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