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化物語 12話『つばさキャット 其ノ貮』感想&解説!シリーズ屈指の”最高の神回”降臨!!

どうもウハルです

今回は化物語の第12話『つばさキャット 其ノ貮』の感想と解説を語っていきます!

ついに来ました最高の神回!!

阿良々木くんと戦場ヶ原のデート風景というのもニヤニヤ全開ではありましたが、そこからのあの名ゼリフ!

「あれがデネブ。アルタイル。ベガ」

感動のシーンと共に、EDの歌詞とリンクするこの演出を”神演出”と言わずに何と呼ぶ!

この回に関しては何度も見ていますが、何度見ても興奮してしまう!!

星空を見せる作品というのは数多く存在しますが、間違いなくこの『化物語』の12話はその中でも上位にランクインするほどに印象的且つ、記憶に残る描き方をしていました

この演出は、一生忘れることのないシーンだと改めて感じた第12話でしたね

そんな大興奮の化物語の第12話『つばさキャット 其ノ貮』の感想と解説をしていきたいと思います

ちなみに、感想に関しては2023年4月からの再放送をベースにして書かせていただいており、私自身はすでに《物語シリーズ》全編視聴済みの状態で書かせていただいております

そして、『化物語』の感想&解説に関しては「ひたぎクラブ」「まよいマイマイ」「するがモンキー」「なでこスネイク」も書いていますので、興味がある方は是非!

最後に、《物語シリーズ》に関しては、アニメ&原作のまとめ記事も書いています

なので、「続きを知りたい!」「原作に触れてみたい!」という方は是非参考にしてみて下さいね

化物語 第12話 あらすじ

第12話 『つばさキャット 其ノ貮』

阿良々木暦は昼休みに、戦場ヶ原ひたぎから初デートを宣言される。念願かなった阿良々木は、待ち合わせ場所にやって来るが、そこで待っていたのは彼女だけではなかった。

『化物語』西尾維新アニメプロジェクト公式サイトより

原作だとどの範囲?

化物語(下) つばさキャット 003

  • 朗読:斎藤千和
  • 再生時間
    • 003:約1時間37分

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ダウンロードすればオフラインで聴き放題だったり、《物語シリーズ》作品に関しては出演キャストが朗読してくれたりと、好きな時に好きな場所で好きな声を聞きながら作品を楽しむことが出来ます

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化物語 第12話『つばさキャット 其ノ貮』感想&解説

デートのお誘い

「デートをします」

6月13日の昼休み

阿良々木くんが戦場ヶ原と二人でお弁当を食べている時に言われた唐突な一言

あまりに突然だったし、ものの頼み方が分からず何度も言い直す戦場ヶ原に驚く阿良々木くん

しかし何より、戦場ヶ原からデートの誘いがあったということに驚いた阿良々木くんは戸惑いますが、戦場ヶ原は恋人同士のお弁当ラブラブイベント(笑)をしつつ、改めて阿良々木くんをデートに誘います

デートを了承した阿良々木くんは、今日という日が初めて出来た恋人との”初デートの日”という記念すべき日になりました

記念すべき日になるはずでした……

感想&解説

前回の11話から時間が遡った昼休み

11話冒頭で阿良々木くんがウキウキだった理由がこれですね

そりゃあ、恋人との初デートというイベントが待っていれば足早に帰りたくなる気持ちも分かります

特に、今まで恋人らしいこともすることもなく、さらに言えばデートの誘いが戦場ヶ原からとなれば尚更ですよね

その笑顔から一転して、まさかこの後、あんな絶望的な状況になるとは夢にも思ってはいないでしょうが(笑)

そして、戦場ヶ原がこの日は文化祭の準備もせずに、早々に帰っていた理由もこれです

デートの準備をする為に、この日は「体調が悪い」と嘘をついて帰っていたという訳ですね

また、衝撃だったのが本気でものの頼み方が分からない戦場ヶ原

あれ照れて言い淀んでるのかと思っていたんですが、原作読んで「違うんだw」と結構本気で笑った部分でしたね

戦「違うわね。こうじゃないわ。デートを……」
阿「……?」
戦「デートをして……いただけませんか?」
阿「…………」
戦「デートをし……たらどうな……です……」
阿「………………」
こいつ……!
ものの頼み方が本気でわからないのか……!?
驚きだ。

『化物語』(下)「つばさキャット」より

戦場ヶ原は人にものを頼んだことがないのかな?(笑)

このガハラさんの流石っぷりに笑いつつ、これがまたラストのオチにかなり響いてくるやり取りでもあったので、二つの意味で流石だなと思わされた点だったりしましたね

斯くして、二人のドキドキとワクワクに満ちた波乱と感動の”初デート”が始まりました

そして、ここでは解説を二つと小ネタを一つ

まず解説の一つ目ですが、ここのシーンで登場するお弁当は実写映像となっています

それぞれのお弁当に「I♡KOYOMI」と「I♡HITAGI」と書いてある完全なバカップル弁当ではありますが、ウィンナーが”タコ”ではなく”カニ”になっているというのがまた作り込みが凄い部分ですよね

お弁当を食べていたり、卵焼きを取り落とすなどは原作通りではありますが、お弁当のデザインに関してはアニメオリジナルになるのでこの描き方は素直に感心しつつ、あまりのバカップルぶりに笑ってしまった部分でもありました(笑)

ちなみに、このお弁当ですが、戦場ヶ原のお弁当は自作だとキャラコメで話しています

そして、阿良々木くんのお弁当は戦場ヶ原作ではないみたいですw

羽「お弁当って、あの、I♡KOYOMIって書いてあるお弁当だよね。自作?」
戦「自作」
羽「阿良々木くんのはI♡HITAGIだったけど、あれも自作かな」
戦「親に作ってもらったんじゃない?」
羽「だとしたら心臓が強すぎるでしょ」

「つばさキャット 其ノ貮」キャラクターコメンタリーより

本当は戦場ヶ原が作ったけど照れ隠しという線もありますが、少なくとも戦場ヶ原は阿良々木くんのことが大好き過ぎますよねw

二人のラブラブ度合いがよくわかる良い描写でしたね

つぎに、解説の二つ目ですが、このお弁当を食べる時の戦場ヶ原の格好は、いつもと大分違います

制服に関しては、当時、直江津高校の女子の間で流行っていた「制服をノースリーブっぽく見せる格好」なんですが、髪形に関しては単純にお弁当を食べる時に邪魔だから上げていただけ

いつもの制服にアレンジを加えた姿&違う髪型と、大胆なイメージ変更があったシーンでしたが、ここに関しては原作通りではありながらも、アニメを作る側としては苦労した点だったみたいです

一般的にアニメキャラは髪型で特徴を出している面がある為、このひたぎの設定画を起こすのは苦労したとコンプリートガイドブックに載っていましたね

ただ、この作品の凄いところでもありますが、髪形が変わってもそのキャラクターのイメージが壊れないんですよね

今回の『化物語』では、そこまで大きな髪型の変更というのはありませんが、この後の《物語シリーズ》を通して見ると、大幅に各キャラの髪型が変わっていきます

それでも、ちゃんと「○○は○○」と認識でき、且つイメージも変わらないので、それだけ中身がキャラごとにしっかりと根付いている証拠なのかなとも感じている部分だったりしますね

そして最後に小ネタを一つ

二人が中庭でご飯を食べていた時に、柵が映っていましたが、そこに何やら文字らしいものが描かれており、ここに書かれている文字をよく見てみると「IICHIKO KAWAKITA」と読むことが出来ます

「IICHIKO」というのは麦焼酎で有名な「いいちこ」で、「KAWAKITA」というのはポスターやCMなどを担当したアートディレクター・河北秀也さんの苗字の部分ですね

なぜ、ここでその描写になっているのかは分かりませんが、このシーンを見てなんて書かれていたか気になっている人がいそうだったのでご紹介させて頂きました

初デートは父親同伴

校門前で千石や羽川と話し込んでしまったこともあり、早めに準備を済ませて、戦場ヶ原の住む民倉荘に向かった阿良々木くん

時計を見ると19時半で、少し遅くなってしまったかと思ったものの、戦場ヶ原には「少し早かったわね。まあいいわ」といわれ、そのまま一台の車に連れていかれます

車で移動する場所に行くのは問題無いとして、ここでの問題は二人とも免許を持っていない為、運転手がいるということ

そして、その運転手というのが戦場ヶ原の父親であるというのが、阿良々木くんにとって大問題でした

行く場所どころか父親同伴ということも知らなかった阿良々木くんは、まさかの状況に愕然としますが、戦場ヶ原は気にしていない様子

どころか阿良々木くんを追いつめるように、父親がいる車中で自分のことが好きかどうかや”戦場ヶ原”と言われたら父親に話を振って阿良々木くんに名前で呼ばせたりと、いつも以上に嫌がらせに余念がありませんでした

そんな楽しい馬鹿話を繰り広げ、阿良々木くんの”初デート”の希望がどんどんと崩されていきながらも、ついにデート場所へと到着

やっと一息つける状態になるかと思った阿良々木くんでしたが、その後の戦場ヶ原のまさかのセリフに戦慄します

阿良々木くんはここで少し待っていて。私が先に一人で行って先に準備をしてくるから。お父さんと歓談でもしておいて頂戴。

狭い車内に彼女の父親と二人きりという状況に、さしもの阿良々木くんも黙るしかありませんでした

感想&解説

個人差はありそうですが、”初デート”に彼女の父親がやってくるというのは正直キツイですね(笑)

ましてや阿良々木くんにとってはデートどころか、恋人が出来たのも初めての”初”尽くしの中でのこの状況なので、なおのことキツかったんじゃないでしょうかね

そんな中で受ける戦場ヶ原の嫌がらせの数々も中々に酷かったw

この車中でのシーンに関しては、阿良々木くんに同情ばかりしてしまいましたね(笑)

ただ、ここで話されている馬鹿話もこの後のラストの伏線となっているのが凄いところ

戦場ヶ原が自分のことを好きかどうか聞いてきた部分が、これまた最高のラストへと向けた伏線になっているので、この構成力の高さは本当に凄いです

そしてここでは解説を四つキャラコメ内での裏話を三つ紹介します

少し多いですが、その分楽しめるポイントも増えると思いますのでご了承を

まず解説の一つ目ですが、ここのシーンでは車内で繰り広げられる会話が描かれていますが、これは基本的には阿良々木くんの視点で描かれています

阿良々木くんが映っていない時は、目の高さもそうですが、手の映り込み方なども基本的には主観的な描き方がされています

また、阿良々木くんが映るシーンに関しては口元が映らないようなアップで描くような形になっているのも特徴的ですね

次に解説の二つ目ですが、一瞬ではありますが、道路に四文字熟語が流れていくシーンがあります

これはそれぞれ「開巻劈頭」「虚心坦懐」「和顔愛語」「遺憾千万」「異體同心」となり、阿良々木くんが置かれているその時の状況に合わせて流れてきています

意味と状況を短く解説するならこんな感じですね

  • 開巻劈頭……物語のはじまりのこと=デートのはじまり
  • 虚心坦懐……広く平らな心のこと=口数少ない阿良々木くんへ戦場ヶ原が親切から話を振ってあげる
  • 和顔愛語……笑顔で愛情のこもった言葉で話すこと=阿良々木くんを苛めたくなると笑顔で言う戦場ヶ原
  • 遺憾千万……非常に残念なこと=テスト結果が面白くもなんともないオチだったことに対する戦場ヶ原の感想&その感想に対する阿良々木くんの感想
  • 異體同心……仲が良いこと=戦場ヶ原と神原の関係性

自己解釈も混じってますが、意味と状況的には大きくズレてもいないと思います

そして、解説の三つ目は忍野が神原のことをエロキャラだと勘違いしていたクダリ

ここに関しては以前の感想記事でも解説した内容ではありますが、この阿良々木くんと忍野のやり取りはアニメではカットされています

忍野の神原の呼び方が「エロっ子ちゃん」から「百合っ子ちゃん」になった経緯がまさにそのやり取りからですね(その解説は『蛇切縄』の感想&解説部分で語っています)

解説最後の四つ目は『黒岩涙』のクダリ

ここで「黒い」「悪い子」で『黒岩涙香』という話が戦場ヶ原から出てきますが、戦場ヶ原が黒岩涙香先生の本を読んでいたというのが分かる描写が『化物語』の2話で登場しています

その描写は、戦場ヶ原の下着シーンでほぼ描かれたAパートで登場する本棚のところ

夢野久作先生の蔵書の後に、黒岩涙香先生の蔵書が描かれているんですが、これはこの12話のやり取りがあったから入れられたアニメオリジナルシーンになります

ちなみにですが、「黒い」「悪い子」で『黒岩涙香』という事実はなく、実際は『黒岩』は本名の”黒岩”周六からで、『涙香』は「香奩体(こうれんたい)」という中国古典の詩風の一体の中の詩の一つであり、黒岩先生が愛読していた「紅涙香」から来ているそうです

そしてここからは裏話

まず裏話の一つ目ですが、戦場ヶ原がデートに父親が一緒なのを黙っていたことなんですが、これを嫌がらせだとはっきりと認めているセリフがキャラコメではあるんですよねw

「それ以外に何が?」と思う人もいるかもしれませんが、ちゃんと言い分もあるみたいなので紹介しておきます

戦「いや、みんな誤解してると思うのよ。みんな、私が阿良々木くんに対する嫌がらせで、お父さんに同行してもらったと思ってるんじゃない?」
羽「他にどんな理由があるのよ」
戦「違う違う。もうその時点で誤解なの。だって考えてみて。あんな人里離れた天文台に行こうと思ったら、高校生のはかない身では、親に頼るしかないじゃない。だからって、あらかじめ『お父さんの車で行くからね』って教えちゃったら、それじゃあどこかに遠出するのかなって、阿良々木くんが予想できちゃうじゃない」
羽「ああ。まあ、そう言われれば、確かにね」
戦「でしょ?羽川さんならきっとわかってくれると思っていたわ」
羽「でも嫌がらせだったんだよね?」
戦「はい」
羽「いい返事だ……」

「つばさキャット 其ノ貮」キャラクターコメンタリーより

納得の言い分ではあるものの、結局は嫌がらせと認める潔さが面白いですねw

まあ、その辺は疑う余地もない気もしますけど(笑)

次に裏話の二つ目ですが、阿良々木くんに下の名前を言わせようとする戦場ヶ原ですが、自分自身は「阿良々木くんを下の名前で呼ぶのは恥ずかしくて嫌だ」とキャラコメでは話しています

戦「やっぱりこれにも乙女な理由があるわけなのよ。愛する彼氏から、下の名前で呼んで欲しい。だからそのきっかけを作ろうと、可愛らしく策を巡らしているわけじゃない」
羽「策を巡らしている時点で可愛らしくないよ」
戦「最近阿良々木くんは、私のことをガハラさんなんてニックネームで呼ぶんだけどね。何かしら、ひょっとしてこのときのことを根に持っているのかしら」
羽「わかりやすくていいニックネームだと思うけどね。ガハラさんって。ちなみに戦場ヶ原さんのほうはどうなの?阿良々木くんのことを、下の名前で呼んだりはしてあげないの?」
戦「嫌だ、やめてよ。そんなの、恥ずかしくって、照れるじゃない」
羽「あまりにも勝手だね」

「つばさキャット 其ノ貮」キャラクターコメンタリーより

計算高いような初々しいような戦場ヶ原さんが可愛いと思てしまったのは私だけでしょうか(笑)

ただ、この後(といってもだいぶ先ですが)に互いに名前で呼び合うというビッグイベントもあるというのを考えると、この初期のころが微笑ましくもなってしまうやり取りではありましたね

最後の裏話三つ目ですが、本編で戦場ヶ原が神原のエロさについて庇うシーンがありましたが、実はこれは庇うと言うよりは「あれは普通だ」と思っている部分があるというのがキャラコメでは語られています

羽「でもこれ、どの辺までが本気で、神原さんを庇ってるの?戦場ヶ原さんだって、まさか心の底から、神原さんのことをまともだと思っているわけじゃないよね?」
戦「いや、それが案外微妙なところでね。俗っぽい話になっちゃうけれど、エロいかどうかっていう話をするなら、その度合いは、神原も普通の女子とそんなに変わらないと思うのよ」
羽「そうなんだ」
戦「ただ、エロさっていう軸とは別に、神原にはもう一本、変態っていう軸があるのよね。そっちが、洒落にならないくらい問題なの」
羽「エロと変態は別ですか」
戦「別ですよ。特に神原の場合はね」

「つばさキャット 其ノ貮」キャラクターコメンタリーより

エロの師匠が語る弟子の行動分析は中々でした(笑)

ただまあ、車中で繰り広げた戦場ヶ原のNG行動を見ているとその境界線もよく分からなくなってきますけどねw

あなたは間違いなく神原の師匠でしたよ

ひたぎ父との会話

「阿良々木くん――とか言ったね」

何を話していいのか分からなかった阿良々木くんに、戦場ヶ原の父親はそう切り出して話しかけてくれました

「娘を頼む」という飛び切りの親父ギャグをいきなり入れてきましたが、それはあくまで場の雰囲気を和ませる一手

そこから自分が今まで出来なかったことここ最近での変化など【娘】について話し始めます

仕事人間で一緒の時間を中々過ごすことが出来なかったこと、母親や病気のこともあり心を閉ざしてしまったこと、あんなに楽しそうな娘を見るのは久しぶりだったこと

そんな風に娘を変えてくれたのが阿良々木くんだということを知っていた戦場ヶ原の父親は素直に「大したものだ」と感想を述べました

ただ、阿良々木くん自身はそれを過大評価だと感じており、「あくまで一人で助かっただけで、自分はそこに立ち会ったに過ぎない」と戦場ヶ原の父親に伝えます

それを聞いた戦場ヶ原の父親は「それでいいんだよ」と言いながら、それがどれほどありがたいことかも語りました

必要なときにそこにいてくれたという事実は、ただそれだけのことで、何にも増して、ありがたいものだ

父親として役目を果たしているとは言い切れないながらも、娘の見る目を信じている戦場ヶ原の父親は、今度は冗談ではなく、本気で阿良々木くんに「娘をよろしく頼むよ」と伝えました

その言葉を阿良々木くんが受けっとった直後、準備を終えた戦場ヶ原が戻ってくるのがフロントガラス越しに見え、二人の会話はここで終わるのでした

感想&解説

戦場ヶ原父の初登場シーンですね

担当声優が立木文彦さんで、その渋い声にピッタリの戦場ヶ原父の佇まいは、出来る男感が出ていて凄く良かったです

そして、親が子を想う強い気持ちが表れているようなセリフがまたカッコいいこと!

ここで登場した「必要なときにそこにいてくれたという事実は~」のところは個人的にも好きなセリフで、以前書いた『《物語シリーズ》名言集』でも取り上げたくらいです

そんなイケおじの戦場ヶ原父ですが、このキャラクターは『化物語』という作品に於いてもかなりレアな登場人物で、ゲストキャラでセリフがある登場人物というのは『化物語』内ではこの戦場ヶ原父だけです

そんなレアキャラの声が絶対的安心感を誇る立木さんというのがまた、ベストキャスティングだと思いましたね

そしてここでは、アニメではカットされてしまった部分を紹介します

戦場ヶ原父のセリフがカッコいいというのは先程書かせていただきましたが、原作だと他にも親らしい言葉だったり、納得してしまうような言葉を言っていたりします

例えば、このセリフ

子供がやったことは親の責任だが、親がやったことに、子供には何の責任もないんだから

化物語(下)「つばさキャット」より

宗教に嵌ってしまった母親に対して、特に何をするわけでもなく、ただ醜い争いを繰り広げてきた戦場ヶ原父

それを見てきた戦場ヶ原が、病気のことも重なって心を閉ざしてしまったことに対して言ったセリフなんですが、この言葉は自身のこれまでの行いが間違っていたと素直に受け入れながらも、懺悔と後悔を感じさせるようなセリフですよね

親が子供にしてあげられることというのはたくさんありますが、逆に子供に何かを背負わせるというのはしてはいけないことなんだと改めて感じた言葉でした

また、「心を閉ざした人間が言いたいことを言う対象」というのは二種類あるというセリフも原作にはあるんですが、この言葉も中々にいいセリフです

心を閉ざした人間が、言いたいことを言いたいように言う対象は、二種類だけだ。ひとつは、嫌われても構わない相手。もうひとつは――嫌われる心配のない相手だ

化物語(下)「つばさキャット」より

阿良々木くんと戦場ヶ原の関係性でいうのであれば、自身の秘密を知られ、文房具を武器に攻撃を仕掛けてきた時は、戦場ヶ原にとって阿良々木くんは”嫌われても構わない相手”

彼氏彼女という関係性となり、互いに深く知ってきたことで愛情が生まれ、絶対的な信頼関係が出来ているからこそ言いたいことが言えるようになった現在が、戦場ヶ原にとって阿良々木くんは”嫌われる心配のない相手”

原作に書かれていることからの自己解釈になりますが、このセリフもまた納得させられてしまう説得力がありました

どちらも”素の自分”を見せてはいるものの、前に立ちはだかり手を出すか、横で肩を寄せ合い手を繋ぐかで全く意味合いが違ってくる

そういう捉え方をすると、1話での戦場ヶ原との出会いのシーン12話での車中やラストシーン見事な対比となっていることを暗示しているセリフになっているので、すんなりと頭に入ってくるのかもしれませんね

戦場ヶ原があげられるもの

戻ってきた戦場ヶ原が後部座席のドアを開け、父親にここまで連れて来てくれたことへのお礼を伝えた後、阿良々木くんを外へと連れ出します

ここがどこなのか今だに分かっていない阿良々木くんでしたが、特に説明をされるわけでもなく、今度は頭を抑えられたまま上を向かないように戦場ヶ原に”ある場所”へと連れていかれます

草木が茂る道を登った先の少し開けた場所

ビニールシートが広げられたその場所に着いた阿良々木くんは、今度は戦場ヶ原から「目をつぶって横になりなさい」と言われます

その意図するところは流石に察することが出来たので、言葉に従って目を閉じ、ビニールシートの上に横になります

「目を開けていいわよ」と言われて、目を開けたその先に広がる光景

語彙力を失ってしまう程に綺麗だと思わされたその満天の星空に、阿良々木くん心を奪われました

二人でその星空を見上げていると、戦場ヶ原は、星空に指を差しながら、そこに広がる星の話をし始めます

あれがデネブ。アルタイル。ベガ。有名な、夏の大三角――ね

彼女の語る言葉はわかりやすく、まるで御伽噺を聞いているかのような心地よさもあり、阿良々木くんは自然と笑みも浮かんできました

一通り星座の説明を終えた戦場ヶ原は、唐突に阿良々木くんに「これで全部よ」と話し始めました

その会話の意図が分からなかった阿良々木くんでしたが、その後に語る戦場ヶ原の言葉で意味を理解します

勉強を教えてあげられること。可愛い後輩と、ぶっきらぼうなお父さん。それに――この星空。私が持っているのは、これくらいのもの。私が阿良々木くんにあげられるのは、これくらいのもの。これくらいで、全部

「厳密に言えば毒舌や暴言もある」という冗談も少し交えつつ、さらに「自身の肉体というのもある」という話もします

その露骨な言い方に、返答に困る阿良々木くんでしたが、その言葉には続きがありました

戦場ヶ原は中学の頃に、母親が嵌ってしまった宗教の幹部に乱暴されそうになった過去があります

その過去は、戦場ヶ原にとって恐怖の一つであり、同じことを阿良々木くんとするというのもまた怖いと思ってしまうのが正直なところでした

ただ、それは行為が怖いのではなく、その結果、阿良々木くんを嫌いになってしまうかもしれない自分が怖いという意味でした

私は今、阿良々木くんを失うのが怖い

その言葉を聞いた阿良々木くんは特に何かを言うこともなく、戦場ヶ原の手を握ります

そして、戦場ヶ原は今まで幸福な人生では無かったけど、不幸だったからこそ阿良々木くんと出会えたのであれば、それは良かったと思えるくらい阿良々木くんが好きなことを伝えました

だから、この怖さをすぐに克服することは出来なくても、いつかはなんとかすることを約束し、その約束をした上で、「阿良々木くんに現時点であげられるものはこれが全て」と話します

そして、二人はそのまま夜空を眺めつづけ、再び互いの好きなところを語り合った後、戦場ヶ原はまたも唐突に頼み事をしてきました

キスをします。違うわね。こうじゃないわ。キスを……キスをして……いただけませんか?キスをし……したらどうな……です……。

キスをしましょう、阿良々木くん

相変わらず頼み事が下手な戦場ヶ原ではありましたが、最終的に妥当なところに落ち着いた頼み事

二人はそのまま静かに見つめ合います

こうして阿良々木くんにとっての初デートという記念すべき日は、二人にとっての記念すべき日へと変わったのでした

感想&解説

神シーン降臨!!

阿良々木くんと戦場ヶ原のここまでのふざけ合いも全て吹き飛ばすかのような、最高のシチュエーション!

この星空をプランニングした戦場ヶ原さんが本当に素晴らしすぎました!!

これは阿良々木くんでなくとも、思わず見蕩れてしまう光景だったのではないでしょうか?

それほどまでに息を呑み、息をするのも忘れてしまいそうな綺麗な星空でしたね

そして、ここでED『君の知らない物語』の歌詞と繋がるという、ストーリーと歌詞のリンク具合が半端なかった!

戦場ヶ原が「あれがデネブ。アルタイル。ベガ」と言った瞬間の自分のテンションの上がり具合は今でも忘れません

最高の神シーン&最高の神曲を本当にありがとうございましたと関係者の方々にはお礼を言いたいですね!

そして、ここでの解説はもちろんエンディングについて

TVオンエア版の最終話で大きなインパクトを与えた要因となった歌詞ですが、これは原作を実際に読んでいたryoさんが意図的に入れている部分です

『化物語』のアニメコンプリートガイドブックでのインタビューで、「歌に入れたら面白そうだと感じた」というのと「原作ともリンクしていたから入れた」というのが語られています

そして、これは少し裏話でもあるんですが、実はこの「あれがデネブ。アルタイル。ベガ」というセリフは脚本段階ではカットされていた部分でした

その為、ryoさんは「原作未読の人には分からない、でも知っている人はニヤリとするものにしようと思った」とも語られていましたね

ただ、まさか最終話でこんな形でセリフが登場するとは知らず、ryoさん自身も驚いたらしいです(笑)

自分は、曲を作っているときは、その第12話がテレビ放映時の最終話になるとは聞いていなかったんです。だからまさかこの歌詞が、こんな形でテレビの最終話にはまるとは、と驚きでした

『化物語』アニメコンプリートガイドブック「なでこスネイク」ryoインタビューより一部引用

きっと歌詞に影響されて、このシーンを入れたんだなというのは想像できますね

そしてそこがサプライズというのが、良い仕事してます(笑)

また、この曲を作るにあたって、最初は『化物語』をなぞった曲にしようとしたらしいんですが、ひたぎ目線だけで書いても面白くないと感じ、舞台設定だけ借りて、2人で星を見に行った別の高校生にしようというコンセプトで作られたそうです

その為、ryoさんとしては、別々の場所ではありながらも、阿良々木くんたちと同じ時間軸上の物語で、歌に登場する高校生たちは阿良々木くんたちと会っているかもしれないというイメージの楽曲なんだそうです

エンディングに関してはこの第12話のシーンがあったので、第2話の感想の時に触れて以降、敢えてほとんど触れずに来ました

そして今回やっと触れることが出来たので書かせて頂きましたが、改めて、『化物語』という作品に携わった多くの方たちが、どれほどの熱量を持ち、より良い作品作りをしてきたかというのがよく分かりますね

また、気付いた方も多いかもしれませんが、12話のみEDの歌い出しが冒頭からになっています

これは、TV版の最終回であるこのエピソードをより感動的にするための演出らしいんですが、個人的にはこの冒頭部分も絶妙に内容とリンクしているように感じました

例えば「いつも通りのある日のこと」の部分は、デートと言う非日常ではありながらも、二人のやり取りに関しては”いつも通りの日常”ですし、「今夜、星を見に行こう」の部分は読んで字の如く、このデート自体が歌詞とリンクしています

ryoさんのイメージとしては、別の学生のやり取りではありますが、やっぱり阿良々木くんと戦場ヶ原の二人の今回のデートを彷彿とさせるような歌詞が散りばめられていますね

まとめ

出演・声の出演:斎藤千和, 出演・声の出演:神谷浩史, 出演・声の出演:加藤英美里, 出演・声の出演:花澤香菜, 出演・声の出演:堀江由衣, 監督:新房昭之

化物語の第12話『つばさキャット 其ノ貮』の感想と解説でした!

多くの感動と興奮を与えてくれた今回の話

EDに関してもそうですが、OPだったり、こまごまとした演出だったりと、『化物語』という作品に関わってきた全ての人達が相当な熱量を持って作られてきた作品だというのが明確に分かった回でもありました

「こうした方が面白いんじゃないか?」「ああした方が伝わりやすいんじゃないか?」という、作品に対しての”好き”が表現されているからこそ、見ている側にもその魅力が伝わってきたのかなとも感じています

また、そういった部分は製作スタッフさんだけじゃなく、キャスト陣やOP&ED主題歌に携わった方々も同じで、「このキャラはこう考えているのでは?」「原作にこういった表現があるからそれを活かそう」というように、それぞれの個性とセンスが光りあって作られている作品だなとも感じましたね

そう考えると、この《物語シリーズ》という作品は、誰一人欠けても駄目だったんだなと感想&解説をしていて、しみじみと思った今日この頃でございました

さて、TVオンエア版は今回の第12話が最終回となっていますが、「つばさキャット」篇自体はまだ続いております

再放送に合わせて書いてきた感想&解説記事ですが、「どうせだったら最後まで書ききっていこう!」ということで、『化物語』の各話感想記事はもう少しだけ続きます

ここまでで至らぬ点もあったかとは思いますが、最後までお付き合いいただけますと幸いです

ということで、次回からはネット配信へと変わった第13話「つばさキャット 其ノ參」です

ある日、阿良々木暦は、原因不明の頭痛に苦しむ羽川翼からメールで呼び出される。羽川が待つという公園に駆けつけた阿良々木は、彼女の身に起きた異変を知ることになる。

『化物語』西尾維新アニメプロジェクト公式サイトより

ここまででも度々訴えてきた頭痛によって、体に異変が生じてしまった羽川翼

ついに”ゴールデンウィークの続き”が始まる次回のエピソードも見所満載となっていますので、是非お楽しみください!

それでは今回はこの辺で!

また会いましょう

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