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アニメ「刀語」第4巻 薄刀・針(はり)&「虚刀・鑢/第四章」 あらすじと感想をかたります!

刀語の4話目「薄刀・針」

先に内容のネタバレをしてしまいますが、この話のメインは七花の姉・七実と真庭忍軍虫組の三人との戦いになります

戦いが終わったら、「薄刀・針」の所有者・錆白兵との戦いは終わっているという予告と本編が違うという変わった内容になっています

ただ、この話を見ることで七実の例外的な強さが分かる重要な話となっています

「虚刀・鑢/第四章」は、鑢六枝と飛騨鷹比等との戦いと「歴史上最強の剣士」である錆黒鍵(さびこっけん)の実力が分かる話です

あまりの強さの為、「他の剣士のやる気を削ぐことになる」と言う理由から、記録に残されるはずではなかった程の錆黒鍵の強さがどれ程なのかと言う片鱗が見えます

それでは「薄刀・針」「虚刀・鑢/第四章」のあらすじと感想をかたります!

こんな方におすすめの記事です
  • 「薄刀・針」の内容を知りたい
  • 「虚刀・鑢/第四章」の内容を知りたい
  • 西尾維新作品に触れてみたい

この話の前の第3巻「千刀・鎩(つるぎ)」を知らないと言う方は、以前記事を書いていますのでそちらをご覧ください。(そちらもネタバレしてます)

また、「刀語」のまとめ記事もありますので「刀語ってどんな話?」と言う方はそちらもご覧ください

「千刀・鎩」

まとめ記事

刀語「薄刀・針」

あらすじ

蒐集対象である薄刀・針を所有するのは、かつてその回収をとがめから命じられながらも、

刀の魅力に取り憑かれ彼女を裏切った日本最強の剣士・錆白兵。

七花は、薄刀・針の蒐集の為、錆白兵と巌流島で決闘することとなる。

アニメ「刀語」公式サイトより

登場人物

  • 鑢七花(やすりしちか) CV:細谷佳正・・・虚刀流七代目当主。とがめと共に完成形変体刀12本を集める旅をしている
  • とがめ CV:田村ゆかり・・・自称「奇策士」。完成形変体刀12本の刀集めを七花に依頼した張本人。七花と共に刀集めの旅をしている
  • 錆白兵(さびはくへい) CV:緑川光・・・天才的な剣技を誇る美貌の剣士。日本最強の剣士と言われている。昔、とがめから「薄刀・針」の蒐集を依頼され達成するが、変体刀に魅入られそのまま失踪する。
  • 鑢七実(やすりななみ) CV:中原麻衣・・・七花の姉。ある体質の為、病弱。
  • 真庭蟷螂(まにわかまきり) CV:保村真・・・通り名は「首狩りの蟷螂」。真庭忍軍十二頭領の一人。虫組のリーダー。自分の爪を数十秒から数分間だが、詰めを自在に伸ばすことが出来る。忍法「爪合わせ(つめあわせ)」
  • 真庭蝶々(まにわちょうちょう) CV:阪口大助・・・通り名は「無重の蝶々」。真庭虫組。無益な殺生を好まない。自分や自分が持った物の重さを消すことが出来る。忍法「足軽(あしがる)」
  • 真庭蜜蜂(まにわみつばち) CV:三浦祥郎・・・通り名は「棘々の蜜蜂」。真庭虫組。虫組の中で一番若く、一番長身。毒を仕込んだ巻菱を20丈先からでも当てることが出来る。忍法「巻菱指弾(まきびししだん)」

薄刀・針 感想とあらすじ(ネタバレ有り)

出典:Amazonプライム

錆白兵と薄刀・針

(C)西尾維新・講談社/「刀語」製作委員会

「千刀・鎩」の蒐集を終えた七花ととがめの元に、錆白兵から「四季崎記記の刀を掛けて勝負だ」と果たし状が届きます。「薄刀・針」は「薄さ」「軽さ」に主眼を置かれて作られた変体刀の一本。羽毛のように軽く、硝子細工のように脆い、美しき刀です。その魅力に取り憑かれ、蒐集後に失踪した錆白兵は「日本最強の剣士」と呼ばれ、巌流島にて決戦する事となります

太陽が透けて見えるほどの薄い刀である「薄刀・針」と、その所有者で「日本最強の剣士」錆白兵の戦いにワクワクしていましたが、まぁ裏切られましたよね(笑)。基本的に七花ととがめは最初と最後に登場するだけなので、「4話から見ていたら確実に刀語ってどんな話か分からんな」と思いながら見ていました。ただ、このちょっとした登場で大事なことを語っています。また、とがめは鎖骨が弱点と言うのが分かります

七実に迫る真庭忍軍&蟷螂の男気

(C)西尾維新・講談社/「刀語」製作委員会

錆白兵の強さをとがめから聞いた七花は、島に残してきた姉・七実の事を思う

一方その頃、七実がいる不承島に真庭忍軍虫組の真庭蟷螂、真庭蝶々、真庭蜜蜂が向かっていた。この3人が島に来た理由は、七実を拉致する為だった

拉致をするために、まずは「首狩りの蟷螂」こと真庭蟷螂が七実の元に向かうことになり、万が一の為に「臙脂水晶(えんじすいしょう)」を置いていく。(臙脂水晶は持ち主が死ぬと割れる水晶です)

一人で七実の元に向かった蟷螂は、七実を見つけ出し、自身の爪を異常なまでに伸ばすことが出来る忍法「爪合わせ」にて襲い掛かりますが、七実に返り討ちにあう。

気を失っていた蟷螂が起きると、木に鎖で縛られていた。そして、目の前には七実がいた。さらに、以前七花が不承島にて倒した真庭蝙蝠の墓があった。

現状を悟った蟷螂は奥歯に仕込んでいた毒で自害をしようとするが、七実によって既に取り除かれていた後だった。さらに、七実は蟷螂に向かって「これから拷問をしようと思います」と言い放つ。

さらに、七実は蟷螂にある2択を迫る。それは「しゃべって死ぬか」「黙って死ぬか」の選択だった。そして、七実は拷問を始める。質問内容は「何人で来たかと、それぞれが使う忍法は何か?」という事だった。

質問を始める七実は、あらかじめ剥がしていた忍法「爪合わせ」にて伸びていた蟷螂の爪を、「噛んでみなさい」と蟷螂の口の中に入れる。

刃物のような爪を口に入れられた蟷螂は、喋るふりをして再度忍法を使って七実に攻撃を仕掛ける。しかし、その攻撃は七実に退けられ、七実はそのまま刃物のような爪を蟷螂の口に押し込み、喉を貫く。喉を貫かれた蟷螂は絶命した。

この辺りから「七実の容赦のなさ」が垣間見えてきます。蟷螂の拷問の際に爪を噛ませようとしたのも、七花が子供の頃爪を噛む癖があり、何度言ってもやめないから爪を全部剥いだことがあるから逆のことをしてみようという理由からです。これを聞いた時に「そこまでするのか・・・」と思っていた記憶があります。

そして、一瞬で殺されてしまったとはいえ最後まで拷問に屈しなかった真庭蟷螂は仲間思いで男気のある忍者でしたね

蝶々のフラグ&七実の稽古方法

(C)西尾維新・講談社/「刀語」製作委員会

蟷螂の死により、置いてきた臙脂水晶が割れ、混乱する蝶々と蜜蜂。「次は俺が行く」と言う蝶々を蜜蜂は止めますが、蝶々は「若いお前が生き残るべきだ」と言う。

そして蝶々が語ったのは「この任務が終わったら、俺、結婚するんだ」という事だった。さらに、馴れ初めを語ろうとする蝶々に対して、何かを悟ったように蜜蜂は「この辺でやめておいた方が・・・」と話を止める

話を止められ、疑問に思った蝶々だが、戦いに向かう前にタバコを吸おうとするが「禁煙している」と途中で吸うのをやめ、タバコを蜜蜂に預ける。その後、割れた臙脂水晶を蝶々と蜜蜂で半分ずつ持ち、左胸に入れる

七実の元に向かった蝶々は、七実と対面し戦闘を始める。

蝶々は、重力を無視して動き回れる忍法「足軽」真庭拳法を駆使した技を使い、七実に襲い掛かる。その技を避けた七実は、「技を習得するだけに得た時間や努力が凄い。そして羨ましい」と語る。その言葉に疑問を感じる蝶々だが、忍法「足軽」を使って七実を殺そうとするが、気づくと目の前には七実はおらず、背後にピッタリとくっついていた。忍法「足軽」を使った七実は、蟷螂の忍法である「爪合わせ」を使って蝶々の左胸を臙脂水晶ごと貫く

真庭忍法を容易く使う七実に驚く蝶々。そんな蝶々に七実は語る

「1回見れば大抵のことは覚えられます。2回見れば盤石。私の稽古は『見稽古』。私の修行は見る事なんです」

忍法を見たことで、真庭忍法を使えるようになっていた七実は蝶々を殺す

「○○が終わったら結婚するんだ」は完全に死亡フラグですよね。見ながら「あ、これダメなやつだ」と思いながら見ていました。そしたら、その後の蜜蜂の反応があったので、蜜蜂もそれに気づいたみたいでしたね。これは、あとがたりの内容になりますが、蜜蜂を演じられていた三浦さんも「そのつもりで演じた」と語っていました

そして、ここで登場する「見稽古」ですが、見るだけで相手の技が使えるというかなりチート級の修行方法です。例えば、100年かけて修行し、努力して得た技も七実が見てしまえばすぐに使えるようになってしまうといういわば「相手の努力を無にする」修行方法です。七実は、父・六枝から例外的な強さ、反則的な強さと言われ、虚刀流を教わっていませんでしたが、七花が修行している姿を見ただけで虚刀流を会得しています

七実の日常と蜜蜂の願い

(C)西尾維新・講談社/「刀語」製作委員会

蝶々を殺されたところを目撃した蜜蜂は怒りを覚え、七実に近づく

その時、病気により元々体が弱かった七実はふらつき、咳き込み始めたところを蜜蜂が撒菱(まきびし)に毒を塗り、相手に当てる忍法「撒菱指弾(まきびししだん)」を使う

撒菱が直撃した七実の前に現れる蜜蜂は、死なない程度の毒が塗ってあるとはいえ、喋り続ける七実にもう一度忍法を使う。それにより吹き飛ばされた七実は木に寄り掛かるような形で動けなくなり、その七実を殺すため蜜蜂は刀を抜き七実に向かって振り下ろす

しかし、刀は木に刺さり、七実の姿が消えていた。その瞬間、背後から撒菱が蜜蜂に飛んでくる。「足軽」を使って移動した七実は、自身に刺さった撒菱を使って蜜蜂の忍法を使ったのであった

「どうして生きていられるのか、なぜ死なないのか分からない」とまで言われるほどの痛みや病気を抱える七実にとって、死なない程度の毒は日常でしかなく「この程度の毒で痛みや苦痛を感じられるあなたが羨ましい」と蜜蜂に話しかける

七実が耐えられる毒なら自分も耐えられると言うが、七実は撒菱にある仕掛けをしていた。それは、蟷螂が自害するために仕込んでいた毒を撒菱に仕込んでいたのだ

その毒により、死の寸前を迎える蜜蜂に対して七実は「刀で死ぬか」「毒で死ぬか」の2択を迫る。「刀での死」を選んだ蜜蜂は2つの願いをする

  • 死体を皆と同じ場所に埋めて欲しい
  • タバコを置いてほしい

そして真庭虫組は全滅した

死なない程度だったとはいえ毒すら効かない七実とその理由に関しては驚きました。確かに、「絶刀・鉋」蒐集の際に病弱の設定はありましたが、それを忘れさせるほどの強さから、改めての病弱の内容死ねない体と言うのは六枝が語っていた「例外的な強さ」の一端ではありますね。少し先の話になりますが、七実の強さや病気の理由に関しては、刀語内で語られますのでその時にまたお話いたしますね

「薄刀・針」の回収と七実の思いつき

(C)西尾維新・講談社/「刀語」製作委員会

錆白兵との戦いも終わり、茶屋にて戦いの感想を語りあう七花ととがめ

錆が使った剣技の凄さや勝てたことにに対しての感想を語るが、七花は錆が死に際に放った「虚刀流が四季崎記記の遺品だ」と言う言葉が気になっていたが、その真意は分からないままであった。そして、暫定・日本最強剣士となった七花は次の変体刀「賊刀・鎧」の回収に向かう

真庭虫組を弔った七実は、七花の使う最終奥義・七花八裂に重大な欠点がある事に気づき、それを教えるためにどうしようか考えた結果、七実はある事を思いつく

「私も混ぜてもらおうかな。刀集め」

終わりです。錆との決闘も終わって、「薄刀・針」の回収も済んでいるのでこれ以上はありません

「あれ~?」ってなりましたよね。さすがに。前回の予告では、白熱したバトルシーンがありましたがそんなシーンはありません。今回は、七実と虫組の戦いだけです

ただ、最初に見た時の感想は、七実の強さの秘密や真庭忍軍虫組の能力と戦い方が分かったので「まぁいいか」と言うのと「西尾維新さんらしいな」と思っていましたね。最後のナレーションでも「題目そのものにツッコミどころ満載な」と言っていましたし、これが第4話なんです

最後に、七実が放った最後の言葉は今後の伏線になりますのでご期待ください!

虚刀・鑢/第四章 朗読者:緑川 光

登場人物

  • 鑢六枝(やすりむつえ)・・・虚刀流六代目当主。六人で一人と言う特徴がある。
  • 千刀流の少女・・・出雲の戦場跡にて父親を探す少女。探している途中で鑢六枝と出会う
  • 飛騨鷹比等(ひだたかひと)・・・大乱の首謀者。尾張幕府の謀反人。とがめの父親。鑢六枝が唯一好敵手と認めた男。
  • (くび)・・・元真庭忍軍。恰幅のいい男だが、頭がなく、首から上が刀になっている。飛騨鷹比等の参謀。
  • 錆黒鍵(さびこっけん)・・・歴史上最強の剣士。どんなものでも刀として使用出来る。錆白兵の母親。

第四章 内容

飛騨鷹比等の戦い方を一言で言うのであれば「自爆」と言うことに尽きる

辺り一帯を灰燼と化すことが出来るほどの分量の火薬を体に巻いて、後先考えずに戦う

しかし、それは凡俗の見方であって、鷹比等にとってはこの戦い方は確実無比の計算があり、これが自分に最も相応しい戦い方であるという自信がある。だから、鷹比等は笑いながら戦って、殺すのだ

自治区出雲。焼け野原になっているこの戦場にて、飛騨鷹比等鑢六枝は殺し合う

鷹比等は信じられないような近距離で、手持ちの火薬玉に点火して、六枝の体を焼こうとする。この距離でそんなことをすれば、鷹比等自身も無事では済まないだろうに、そんなのはお構いなしと火薬玉を使用する

六枝は鷹比等の攻撃に対し、火薬玉をしっかり遠方に弾き飛ばす。そんな行為を鷹比等は読んでいたかと言うと、もちろん読んでいる。それだけ六枝の実力を高く評価している

六枝と鷹比等の戦いは、これが初めてではない。二人は何度も何度も殺し合っている。そこにある種の連帯感を感じあえるほどに。だから、鷹比等はそれを踏まえた上で、こんな戦い方をするのだ

その戦いに巻き込まれないように、また邪魔にならないように離れていた鷹比等の参謀であるは、そんな戦い方を見ながら「親方様は、仮に鑢六枝がどこにいるような剣士だったとしても同じように戦うだけの事だろう。どんな小さな命でも、自分の命を懸けて戦おうと決めているのだから」と思う

「はははは。腕を上げたなぁ六枝くん。僕の爆弾攻撃をものともしないじゃないか」

そんな風に笑いつつ戦う鷹比等に対して、六枝は答える

「前に殺し合ったときよりも更にひどくなっているな。お前のそのエゲツの無い性格は」

「エゲツの無い?おいおい違うよ。僕は目的のためには手段を選ばないというだけであって人畜無害の男だよ」

そんなやり取りをしながら、戦いの最中であるにも関わらず鷹比等は六枝に「一緒に手を組まないか?」と誘うが、六枝は一瞬の迷いもなく断る

さらには、六枝の所有者であり、六枝の妻である鑢みぎりの事や、鷹比等の奥さんの話をしつつ、互いの近況報告をしながら相手を殺そうとしている

勝負は互角に見えて、鷹比等の方が押している。しかし、それは鷹比等の方が強いというわけではない。幼子である自分の子供と相撲をして負けるほど彼は弱い。では、なぜこのような状況になっているのかと言うと

「きゃっ」

今まで六枝の脇に抱えられながら、六枝の戦いの邪魔にならないよう黙っていたが、耐えられなくなった少女がついに声を上げた。片手を封じられ、さらに重心がうまく取れないような状態のまま戦っていた六枝は、その状態で鷹比等の猛攻を防いでいたのだ

そんな六枝に感心しながら鷹比等は「邪魔になるなら放り出しちゃいなよ。その時は、六枝くんより先にその子を爆破すると約束するけどね」と宣言する。そんな鷹比等に対して、六枝は「お前みたいなやつを『最低』と言うんだよ」と言い放つ

飛騨鷹比等の戦い方を一言で言うのであれば「自爆」であるが、二言目を付け加えるのであれば「容赦なき徹底」である。自分の命を懸けているがゆえに、他人の命を犠牲にする事に躊躇しない。「容赦」の二文字を自分の娘に与えて捨てているのである

そんな二人の戦いを、離れた位置から見つめる目が合った。しかし、その離れた位置の離れ方が半端ではなく、およそ人間の視力では見えっこない位置からのものであった

そんな場所から眺めているものは、隠れたりすることもなく堂々と観戦している。それはそうである。六枝や鷹比等、ましてや首にさえ見えるような位置にはいないのだから

「ふむふむ。たいしたものだにゃん。もう殺し合いとか決闘と言うより、あの二人だけで戦争を形成しているにゃん」

女と言うよりは童女、童女と言うよりは幼女と言う方が、少なくとも外見からすれば適切である。その幼気(いたいけ)な風貌や、裾を引きずるように一枚だけ羽織っている着物の柄、そして、浮かべている無邪気な表情からすれば5歳に足りているかも怪しい。しかし、見た目に騙されてはいけない。彼女は、30歳を超えていて、ましてや出産さえも経験している。

彼女の名前は錆黒鍵という。幕府の暗部を担う十一人衆と一人で匹敵すると言われるほどの腕の持ち主で、剣聖とも呼ばれている。歴史上最も強い剣士とも、死神とも呼ばれていた。

「虚刀・鑢。四季崎のお父様が作られた作品の中では最高峰とはいえ、まだ未完成のはずなんだけどにゃん。どうしてあの領域まで達しているのかにゃん」

こんな独り言でも、誰に聞かれても自分は構わないといったように大きな声で口にする。六枝がここまで引き上げられた要因の一つとして鷹比等が関係しているのではないかと思案しつつ、

「いっそ思い切って、ヒダにゃんが将軍をぶっ殺してくれた方が助かっちゃったりするかもしれないんだにゃん」

そんな打ち首になってもおかしくないようなことを臆面もなく言っている黒鍵は「ただ、ヒダにゃんはそこまでするつもりはないんだろうにゃん」と言う

「結局、それは鑢家か錆家がやらなくちゃいけない事なんだろうにゃん」

そんなことを言いながら、足元に落ちていた木の枝を拾う

「ヒダにゃんが勝とうがヤスリにゃんが勝とうがあの否定的お方にとってはどっちでもいいんだろうけど、四季崎の血統を次世代まで持ち越したくないにゃん。せっかくの機会だにゃん。この場でヤスリにゃんには名誉の戦死をしてもらうにゃん」

そんなことを言いながら、黒鍵は大した長さの無い細い枝を両手で上段に構えた。黒鍵は棒状のものであれば、くるくる丸めた紙の筒であろうと彼女にとっては刀になるのである。そして、彼女は集中することもなく、躊躇することもなく、枝を、刀を無造作に振り下ろす。

それはいわゆる素振りである。しかし、黒鍵が放った素振りの破壊力は甚大だった。まさしく「災害」である

六枝や鷹比等、首を区別なく巻き込む竜巻のような暴風が生み出され、地は避け、天は割れ、草一本残らない大崩壊が起きた

この災害により、大乱における鑢六枝と飛騨鷹比等の初戦は幕を閉じた

この災害の中、二人は生き残っていた。どうやって生き残っていたのかと言うと、六枝は抱えていた少女に助けられていた。少女の手には一本の枝が握られていた。千刀流である少女は、錆黒鍵の一撃である「刀」を自分の刀として使ったのだ。

錆黒鍵の放った一撃の衝撃波で気絶してしまっている少女をそのまま寝かせ、六枝はその場を去った

一方、飛騨鷹比等は首に助けられ一命をとりとめていた。黒鍵の横やりがあったとはいえ、今回の戦いで、六枝の実力を直接測れたことで十分だと語る。そして、次の六枝への嫌がらせとして一つの作戦を語る

「次はあの刀の持ち主、すなわち鑢みぎりちゃんを人質に取ってみるよ」

第四章 感想

なんかどんどん飛騨鷹比等の性格の悪さが分かってきているような気がしますね。まぁ本人からすればそんなことは無いのでしょうが、私からすると「ザ・悪役」と言った印象しかもうありません(笑)

そして、新たに登場した錆黒鍵の実力は天才ならぬ、天災といった感じでしょうか。棒状のものなら何でも刀にしてしまうまでなら、まだ少しだけ理解も出来ますが、普通の素振りで天を裂くのは文字通り「災害級」です。それって「もはや人間ではないのでは?」と思ってしまいました。その異常なまでの強さがあったがゆえに、他の武士たちのやる気を削ぐ事になるという理由で、歴史に残されるはずではなかったというのは納得です

そして、最後に名前が登場した鑢みぎり。先ほど「ザ・悪役」と私が評した飛騨鷹比等が、彼女を語る際に「人の形をした悪意」と言うほど性格が悪いです。そんな彼女のお話が「虚刀・鑢/第五章」になりますので、是非お楽しみください

ちなみに、今回の朗読者は緑川光さんですが、一言。イケボ過ぎてヤバいです

最後に

まとめ

今回の「薄刀・針」と「虚刀・鑢/第四章」は主に「反則的な強さを持つ者」の実力が分かるお話でした

「薄刀・針」は予告詐欺、タイトル詐欺ではないかと言うような内容ですが、七実の「例外的な強さ」が分かるとても重要な話です

この話があって、今後の刀集めの話に繋がっていきますのでそれぞれの設定をしっかり覚えておいてくださいね

そして、次のお話「賊刀・鎧」から刀の形に変化が・・・。さらに、とがめの宿敵・否定姫が登場します。そして、とがめの口癖「ちぇりお」が間違いだと気づいて、まれな混乱ぶりをみせるお話になっていますのでお楽しみくださいね

それでは、今回はこの辺で!ちぇりお!

次回予告

次回対戦相手:校倉必(あぜくらかなら)

蒐集対象:賊刀・鎧(よろい)

決戦舞台:薩摩・濁音港

賊刀・鎧
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