どうもウハルです!
今回は〈物語〉シリーズのオフ&モンスターシーズン『忍物語』の「しのぶマスタード 其ノ參」の感想&解説を語っていきたいと思います!
ミイラ化したスーサイドマスターの発見、地獄ではなく天国に来てしまった阿良々木くん、そしてアセロラ姫との再会と「しのぶマスタード 其ノ貮」では様々な出来事が続けざまに描かれていましたが、今回の「しのぶマスタード 其ノ參」ではそれらを補足するように”WHY(なぜ)”の部分が明かされていきました
”なぜ”八九寺はミイラ化したスーサイドマスターを知っていたのか?
”なぜ”阿良々木くんは天国に来たのか?
”なぜ”アセロラ姫は阿良々木くんを呼んだのか?
今まで穴抜けとなっていたパズルのピースが少しずつ埋まり始め、今回の事件の全体像も少しずつ見えていく様子はまさにミステリー感あふれる展開であり、それこそ原作未読の方にとっては「え?そうだったの!」とか「え?どういうこと!?」みたいな展開が多かったのではないでしょうか?
さらに、ミステリーという点でいうのであれば、新たな被害者や暗号の発見など、また新たなピースが生まれ始めた部分もあり、今回のエピソードは非常に頭を使わさせる内容となっていたようにも思いましたね
ということで今回は、そんな”なぜ”が明かされつつも”謎”は深まった『忍物語』「しのぶマスタード 其ノ參」の感想と解説を語っていきたいと思います!
なお、前回のお話である『忍物語』「しのぶマスタード 其ノ貮」の感想と解説も語っていますので興味がある方は是非!
また、〈物語〉シリーズのアニメや原作小説についてまとめた記事もありますので、他の〈物語〉シリーズ作品に触れてみたいと感じた方はそちらも参考にしてみて下さいね
『忍物語』原作情報&アニメ化章数
”たまには縁(えん)も縁(ゆかり)もない女子を助けてみるのも乙だろう”
直江津高校の女子生徒が、相次いで失踪する事件が発生した。ミイラ化した状態で発見された少女達の首筋には、特徴的な傷跡があって・・・?大学一年生になった阿良々木暦は、犯人を突き止めるべく走り出す!
青春は、眩しいだけだと思ってた?原作『忍物語』巻末より引用
『忍物語』はシリーズ通巻23冊目の原作小説で全50章の作品となり、今回アニメ化された「しのぶマスタード 其ノ參」は18章から26章まで描かれた形になります
「しのぶマスタード 其ノ參」あらすじ
木乃伊となったスーサイドマスターを回復させるため、暦が辿り着いた先は地獄ではなく天国だった。天国で特効薬を手に入れ現世に戻ってきた暦は、心配する忍野忍と八九寺真宵、伊豆湖をよそに、スーサイドマスターの復元を始める。
018~026
秋アニメとして始まった〈物語〉シリーズ オフ&モンスターシーズンですが、この辺りで残り何話なのか少し気になり始めている方もいそうなので少し早めの解説
まず初めに注釈として、〈物語〉シリーズ オフ&モンスターシーズンが全何話なのかは公式の方からも告知は特に無い(調べた限り)ので、あくまで個人的な予想になりますのでご了承ください
この「しのぶマスタード」に関しては前述したとおり全50章で構成されたエピソードとなっていますが、これまでアニメ化された3話分で26章までと1話辺り約8章ずつで描かれている形になります
その点を踏まえた上で、原作の今後の展開や区切りの付けやすさなどを考慮しても、このまま1話約8章ずつで構成する可能性が非常に高いため、残りの少数(24章)を考慮すると残り話数はあと3話になると思われます
『忍物語』「しのぶマスタード 其ノ參」感想&解説
アセロラ姫との再会と阿良々木くんが呼ばれた理由
画像出典:〈物語〉シリーズ オフ&モンスターシーズン公式サイト
地獄に行くはずが天国に来てしまった阿良々木くん
彼が天国に来てしまったのは、厳密にいえば天国の住人となっているアセロラ姫が天国へ招いたからというのが正解でした
六百年前にキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードとなった時に、”美しき魂”のみが死に、それが分離してしまった為、その魂が天国へと来ていたアセロラ姫
彼女が語るには阿良々木くんを天国へと招いた理由は、決して阿良々木くんは地獄に行くべき人間ではないなどといった美徳的な意味合いではなく、阿良々木くんたちが助けようとしていたスーサイドマスターのためとのことでした
八九寺が考え付いた「血の池地獄の血を持ってくる」というのは発想としてはやはり間違っておらず、普通の吸血鬼であればその方法で問題はなかった
しかし、スーサイドマスターの場合はその方法では駄目でした
美食家であるスーサイドマスターは食に対するこだわりが強く、主に一品料理を好む彼女にとって、いわばブッフェやドリンクバーのような血の池地獄は自身のこだわりに反する食材となるため、スーサイドマスターはその血を口にすることがない
そんなスーサイドマスターにとって特効薬となりえるのは、選りすぐりのたった一人の血液だとアセロラ姫は話します
たとえば。たとえばこのわたくしの血液のような。
そう話すアセロラ姫は自身の鬼面に手を当てながら阿良々木くんに目を瞑るようお願いし、阿良々木くんは言われた通り目を瞑ります
どうやらアセロラ姫は顔に付けている面を外そうとしているみたいでしたし、そのご尊顔を直視してしまえば”美しさ”にやられてしまうことも重々承知していましたが、そもそも阿良々木くんはなぜ今更面を外す必要があるのかまでは分かりませんでした
するとアセロラ姫はその阿良々木くんの疑問に答えるかのように、一言付け加えます
それはもちろん、面をかけたままでは、接吻(せっぷん)ができませんから。
その唐突な答えに驚きながらも、阿良々木くんは何かを言える隙もなくアセロラ姫に口づけをされ、文字通り、キスで黙らされたのでした
感想&解説
浦島太郎の童謡の歌詞の中に「絵にも描けない美しさ」という言葉がありますが、この天国という場所において、アセロラ姫の存在だけはまさにその美しさを体現しているかのような描き方は印象的でした
天国という場所は万人にとっても綺麗な場所のイメージがあるとは思いますが、周囲は絵画のように描かれ、アセロラ姫だけは光を放っている感じが、周囲の景色以上の神々しさと美しさを兼ね備えたまさに”天国にふさわしき人物”といった感じがして、異質でもあり、ふさわしさも見事に感じることが出来たように思います
そして、この描写的な意味合いだけじゃなく、掛け合いでも”美徳”を感じさせるやり取りがある所は面白さがあって個人的には少し好きな部分だったりします(笑)
阿良々木くんに対して「あなたさまをそんなに悪い奴じゃないとは、実は思っていません」と正直に言う辺りは「阿良々木くんはアセロラ姫にさえそう思われてるんだw」と思えて、阿良々木くんの残念っぷりがさらに強度を増したような気がします
まあ、そういった残念な部分も含めて阿良々木暦ではあるので、そこがまた彼の良さでもあるから好きなんですけどね
そして、アセロラ姫が語るスーサイドマスターの偏食っぷりに関してはかなり納得
それこそ『業物語』ではその偏食が故に何度も餓死していましたしね
もしかしたらその辺りの感性は共感出来る人もいたかもしれませんね(ガチの余談ですが、私はドリンクバー大好き派なのでその感性は共感出来ませんでした)
ここでの解説は原作から1つです
その1つは、阿良々木くんがアセロラ姫を前にして正常を保てた理由です
これに関しては描写としてもアニメでは描かれていなかったので、補足的な意味合いとして捉えてもらってもOKです
最初に鬼面をつけたアセロラ姫と会った際に阿良々木くんは丁寧な口調で挨拶をした後、すぐに普段通りの口調で会話を続けていましたが、実は原作ではアセロラ姫が鬼面をつけているだけではまだ美しさを隠しきることが出来ておらず、阿良々木くんはもう少し丁寧な口調が続いていました
それを見ていたアセロラ姫は、鬼面だけでは足りないと判断し、阿良々木くんが履いていたスニーカーを借りて、全裸+鬼面+スニーカーという妙に背徳的な姿になったことでやっと阿良々木くんは正常になりました
正直、絵面だけを想像すると酷い絵が思い浮かんではしまいますが、それくらいまでしないと”美しさ”が消せないというのもまた難儀なものですね
さらに、ここのパートでは比較的に阿良々木くんの軽口はカットされていましたが、原作だとアセロラ姫のバストサイズを聞いたり、無礼なジョークをしたりしていたんですが、これもまた自殺しないようにするための生存手段として行っているクダリもあります
ひとつだけ訊いてみるか。中でも重要なことを。
暦「すみません。その豊潤なバストのサイズを教えていただいてもよろしいでしょうか。あ、いかがわしい意味じゃありませんよ。是非ランジェリーを贈らせていただきたくて」
ア「阿良々木さま。初対面の女性に対してそのような質問をするのは、あまり褒められたことではありませんよ。場を和ませるための悪ふざけのつもりだと承知しておりますが、十年後、二十年後、生きながらえた際に後悔するような発言は、控えるべきかと」
普通にめっちゃ叱られた。姫に。裸の姫に。
己の矮小さを知ることで自殺したくなってしまうレベルのプリンセスを前にすると、場を和ませるためと言うより、不敬な軽口は生存手段なのだが――しかし、天国で自殺しないように気をつけなきゃいけない奴なんて、僕くらいのもんだろうな。原作『忍物語』より引用
原作でも語っていますが、天国で自殺しないように気を付けなきゃいけない状況に立たされている人間はきっと阿良々木くん以外いないでしょうね
少なくとも自分は他の作品でも天国で自殺しないようにする人間を見たことはないです
スーサイドマスターの回復
画像出典:〈物語〉シリーズ オフ&モンスターシーズン公式サイト
天国でアセロラ姫に口づけをされた阿良々木くんは、気が付くと北白蛇神社の本殿に戻ってきていました
見慣れない天国の光景から、見たことのある神社の光景へと戻ってきたものの、目の前では泣き喚きながら阿良々木くんを呼ぶ忍野忍と八九寺真宵というこれまた見慣れない二人の姿があり、阿良々木くんは少し驚きました
しかしさらに驚くべきは、その二人以外にも目の前に臥煙伊豆湖がいたということ
どうやら地獄に送ったものの、なかなか蘇生しない阿良々木くんを助ける為に、臥煙伊豆湖のところに連絡が来たのでこの場にいるということらしいですが、彼女は明らかに怒ってる様子でした
本人としては怒ってはいないとは言っているものの、それでも阿良々木くんからの謝罪の言葉を待っている感じでしたが、阿良々木くんは現在、口の中にあるものを吐き出さないようにするのに必死で口を開けることが出来ませんでした
まずはそれを吐き出す為に阿良々木くんは立ち上がり、そのままミイラとなっているスーサイドマスターの元へと近づきます
そしてそのままスーサイドマスターの体を抱き寄せ、アセロラ姫から託された特効薬「唾液」を”口づけ”ならぬ”口移し”で飲ませました
唐突に行われたその行為に忍は驚愕しますが、スーサイドマスターの体はみるみると瑞々しさを取り戻し、ミイラ化状態からの復元を果たします
その光景を見ていた臥煙伊豆湖は見事だと言いつつも、目を覚ますのにはもう少し時間が掛かるだろうということも話しました
そしてその間に、この場にいる全員で事件解決に向けて一致団結していくために、情報共有をしていくことにします
そのためにまず、臥煙伊豆湖は新たに得た情報を明かすことにしました
第四のミイラが発見された。女子高生のミイラが。
感想&解説
先程の解説で「全裸+鬼面+スニーカー」を背徳的と表現しましたが、その背徳的という意味では治療行為とはいえ、ミイラに口づけする図というのも中々のものでしたね
そしてそれを見た忍が「とうとうそこまで見境なく…」って言う辺りは、阿良々木くんのロリコンっぷりが浸透し過ぎていてちょっと笑っちゃいましたw
また、八九寺が言っていた「乾燥ワカメが元に戻る感じに似ている」という表現はまさに的を得ていて、みるみると瑞々しさを取り戻す様子はその光景を彷彿とさせるような感じになっていました
そんな中「ついに復活か?」と思われたものの、事はそう上手くは運ばない
まだ眠りから覚めないスーサイドマスターは今回の事件の重要人物ではあるので、さすがにもう少し物語としては引っ張っていく感じになるのは致し方ない部分はあるものの、結論を早く知りたい人にとっては、まだ当事者から話が聞けないというのはもどかしく感じてしまう部分なようにも感じました
そしてそこからの臥煙伊豆湖が齎す新たな情報
第四の被害者が発見されるということは捉えようによっては「間に合わなかった」とも受け取れる残念な情報ではありますが、それでもこの進展が今後どう関わってくるのかに注目していきたくなる部分でもありましたね
ここでは原作から解説を3つしていきます
まず1つ目が、臥煙伊豆湖がここにいる理由です
これに関しては阿良々木くんを蘇生するためではあるんですが、そもそも臥煙伊豆湖は忍や八九寺から直接連絡を貰ってここにいるわけではありませんでした
忍や八九寺が阿良々木くんを蘇生させる為に連絡を取った人物というのは実は斧乃木余接
二人はまず余接に連絡を取り、その余接が臥煙伊豆湖に連絡をしたというのがここに至るまでの経緯になります
専門家の元締めではありますが、忍や八九寺にとってはそこまで親交の深くない臥煙伊豆湖にいきなり連絡をするというのは少し違和感があった方もいるかもしれませんが、先に交友を深めていた斧乃木余接に連絡を取っていたと考えると納得出来る流れですよね
次に2つ目ですが、ここでの解説は阿良々木くんがスーサイドマスターに口移しをする際のシーンについてになります
阿良々木くんは天国にてアセロラ姫から口移しで唾液を受け取り、それをスーサイドマスターに飲ませるまでずっと口の中に入れていましたが、実はこれは少なからず吸血鬼性をまだ持っていた阿良々木くんにとってもかなり自制心が必要な行為でした
あのスーサイドマスターが認めた一流の食材であるアセロラ姫の血液ならぬ唾液ですが、それを口に入れている時点で阿良々木くんは少し味見をしている状態になっており、その美味しさはスーサイドマスターも満足すると確信するレベルのもの
逆に言ってしまえば、どんな吸血鬼にとっても美味の食材であるのは間違いなく、阿良々木くん自身、唾液を飲み込まないように自制心を抑えるのに必死だったと原作では描かれていますね
最後に3つ目ですが、臥煙伊豆湖が復元したスーサイドマスターを見て言った「この『戻し』こそが、吸血鬼化なんだから」という意味についてです
この辺は分かっていた方も多そうですが、念のための解説ですね
今回見事にミイラ化からの復元を果たしたスーサイドマスターですが、これは所謂、吸血鬼化に失敗した状態から成功した状態へと戻っている状態になります
つまり、現在ミイラ化している女子高生たちに同じ行為をしてしまうと、ミイラが復元してしまい、失敗した吸血鬼化が成功した吸血鬼化へと変化してしまいます
スーサイドマスターに施したのがいくら治療行為だったとしても、ミイラ化した女子高生たちにも同じ治療行為をしてしまうのは救うことにならず、むしろ本末転倒してしまう治療行為とも言えます
そういった意味合いを込めて臥煙伊豆湖は、この治療行為は女子高生たちには行えないと言った訳ですね
第四の被害者の発見と新たな暗号
画像出典:〈物語〉シリーズ オフ&モンスターシーズン公式サイト
第四の被害者であるそのミイラは、行方不明となっていた女子バスケットボール部員の一人である官宮鶚(かんぐうみさご)
彼女が見つかった場所は貯水湖の底で、重りをつけて沈められていたらしい
それを聞いた阿良々木くんは悪意すら感じるその発見場所に人間性も感じつつ、残るもう一人の行方不明者である木石総和(きせきそうわ)もミイラ化している可能性を考えるべきか臥煙伊豆湖に尋ねます
臥煙伊豆湖はその可能性も楽観できる状況ではなくなったと話し、さらに被害者が出る可能性も話し始めます
すると八九寺が「わたしだったら土に埋めますね」とこれまた無惨な推理を始めましたが、これはどうやら思い付きで言った訳ではなく、八九寺自身がスーサイドマスターを見つけたのがこの山の中で土に埋もれているのを発見したからこそ披露した推理のようでした
それを聞いた臥煙伊豆湖は、とりあえず八九寺とスーサイドマスターの関係性は後で聞く事にし、先に今回の官宮鶚が発見された際に一緒に発見されたものを阿良々木くんに教えます
その新たに発見されたものというのは携帯電話に残された数字の暗号
「820/280/610/160」と残されたその暗号は前回同様、臥煙伊豆湖にも阿良々木くんにも意味が分からないものとなっていましたが、それを再び食飼命日子(はむかいめにこ)に解読してもらうために阿良々木くんは少し時間を貰うことにしました
臥煙伊豆湖は暗号の件は阿良々木くんに一任し、自分は暗号が残されていた事でロックが解除されていた携帯電話から情報を得ていくことを話したところで、一旦の情報公開を終了しました
そして次に、八九寺が持っている情報を聞くために彼女に話を促します
口止めされていたというのもありますが、八九寺が持っている情報はまだ阿良々木くんたちも知らない内容だったため、八九寺は口のチャックを外し、いよいよ1週間前に出会ったスーサイドマスターとの出来事を語り始めるのでした
感想&解説
ここのパートに関しては「スーサイドマスターは犯人ではない」というのを裏付けているような部分が多い印象があり、特に忍が話す「スーサイドマスターは素数を知らない」というのはかなり説得力があるように感じてしまいました
これに関してはスーサイドマスターが登場する『業物語』を見ていたからというのはありますが、一般人でさえ素数をスラスラ言える人がどれだけいるのか疑問なところです
そもそも臥煙伊豆湖自身もそこまでスーサイドマスターを疑っていたわけではないようでしたし、それでいうと今回浮上してきたスーサイドマスターを犯人に仕立てようとした吸血鬼の存在の方が気になるような展開となっていましたね
こういった別の人物を犯人に仕立て上げる展開というのはまさにミステリーあるあるのような気もしますが、逆に言うと犯人の可能性自体の幅はかなり広がっても来る展開ではあるので、ややこしくはなってくる気もします
この辺りの犯人が仕掛けたミスリードを搔い潜るにはもう少し情報が必要にはなってくる感じですね
そして、その情報と成り得る要素を含んでいるのが新たな暗号の存在
前回は素数が使われた暗号でしたが、今回は末尾が0の時点で素数ではないのは素人目にも明白ではありますが、それでもやっぱり意味は分からない
今回は前回の時と違って、すぐに解読法が判明しなかったので、少しの間考えてみるのも良いかもしれませんね
ちなみに私は前回同様、今回の暗号も100年経っても分からない自信があります
なお、ここでの解説は特になしになります
ギャグネタに関しては紹介しても良いかなというのもあったんですが、ネタ自体が西尾維新原作の他作品ネタだったり、それにまつわるメタネタだったりするので、今回は触れずにいようと思います
ただ、その代わりと言ってはなんですが、今回の暗号のヒントを少しだけ提示しておきます
前回の暗号の際に注目すべき点というのは「B」と「Q」のアルファベットでしたが、今回の暗号で注目すべき点は末尾の「0」です
前回の「B」と「Q」は数字の代替の役割を果たしていましたが、今回の暗号に関しても代替という意味ではその辺りは似ています
なぜ全ての数字の末尾が「0」であり、それが表しているものが何なのか
そこが分かれば今回の暗号を解く取っ掛かりは掴めるかもしれませんね
スーサイドマスターの来訪理由の考察
今から一週間前、八九寺が神様を務める北白蛇神社に突如、空からスーサイドマスターは現れました
それこそ空から落下してくるように現れた彼女でしたが、下にいた八九寺を避けるように着地をしたため、着地に失敗し、一度は木っ端みじんになって死んでしまったようです
ただ、そこから復活を遂げたスーサイドマスターは八九寺に今回日本を訪れた理由を話し始めます
その理由というのは、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードに会いに来たということ
スーサイドマスターが話すその来訪理由に関しては、八九寺自身も嘘をついているようには感じず、さらに言えば道を尋ねられたら教えないわけにはいかない立場でもあるので、八九寺はスーサイドマスターに忍が幼女となっている今の現状は伝えず、彼女を送り出しました
その後はてっきり二人は感動の再会を果たしているものと思っていた八九寺でしたがその一週間後の今日、山に埋められていたスーサイドマスターを見つけることとなったらしい
八九寺がそこまで語ると、臥煙伊豆湖は納得したように頷きますが、それでもまだまだ不明な点が多いのも事実
やはりスーサイドマスターが目覚めて直接話を聞く必要性があることを再認識することとなりましたが、その話を聞いていた忍自身もその意見には賛成だったようでした
というのも、忍自身は今回の一連の事件に関してはスーサイドマスターが犯人であることは絶対にないと考えており、その根拠として今のスーサイドマスターは忍以外の食材を食べられない状態となっているからでした
おいしい食材しか食べないのではなく、おいしい食材しか食べられない
そういった理由から、普通の血ではもはや水よりも薄く感じてしまうほどに舌が肥えてしまったスーサイドマスターが女子高生の血を吸うというのは考え難いというのが、忍がスーサイドマスターが犯人ではないと言い切る理由となっていました
その考え自体は取り入れる価値のある考えではあるものの、阿良々木くんは忍が語ったその理由から新たな可能性を見出していました
それは、スーサイドマスターは唯一食べられる食材である忍を食しに来たのではないかということ
六百年もの間、音沙汰もなかった彼女が突如現れたということは、飢えて弱った末に、昔のツレを食しに来たというのは十分に考えられる
ただ、それを言葉にすることはなく、阿良々木くんはとりあえず自分の中にだけに止めておくことにしました
そのタイミングで、この場を仕切っていた臥煙伊豆湖が一旦の解散指示を出し、各々が出来ることをやる為に、この場はお開きとなりました
仕切り直しの人員配置
そんな中で阿良々木くんは暗号を解いてもらうために曲直瀬大学へと車を走らせますが、その速度は気持ち速まっていました
4人も被害者が出ているという事実は情報操作という面においても隠しきるのはこれ以上は難しいという点やこれ以上の被害者が出ないために解決を急がなければならないということもその要因となっていましたが、それ以上に懸念すべき点がありました
早期解決が見込めなければ、暴力陰陽師である影縫余弦が間に合ってしまう
あの臥煙伊豆湖ですら手に負えず、ましてや”生きた爆弾”とも称される彼女が到着する前に、この事件を穏便に済ませたいと思っていた阿良々木くんは車のスピードを上げて大学へと向かうのでした
感想&解説
八九寺が語るスーサイドマスターとの出会いに関しては、なんともまあスーサイドマスターらしいとも思える感じでした
八九寺を避ける為とは言え、その結果で木っ端微塵となり「どうやらまた死んでしまったらしい」と言っている辺り、完全に彼女の口癖化してきている感じはちょっと笑っちゃいましたね(笑)
ただ、そんな出会いがあった中で、まさかその後にミイラ化した状態で出会うことになろうとは、いくら神様の八九寺とは言え、予想は出来なかったでしょうね
そしてその来訪理由から、阿良々木くんが「忍を食べに来たのではないか?」と考えてしまうのも分かる気もします
視聴者視点としては大まかな来訪理由自体は『業物語』のラストで描かれていたので分かる部分ではありますが、阿良々木くん視点で言えばスーサイドマスターとは今回が初めての対面になるため、どういった吸血鬼なのかは全く判断できないので、「忍を食べに来たのでは?」と疑心暗鬼のような考えに陥っても無理はないような気がします
そして、今回のエピソードのオチともなっている影縫余弦の存在
影縫を呼び戻したのは臥煙伊豆湖ではありますが、彼女の鉄拳制裁っぷりは言わずもがなであり、もはや制御不能の爆弾ともなりえる存在ともなっているので、今回の事件に関して穏便に済ませたいのなら早期解決はもはや必須
まだまだ”謎”も多く、犯人すら見当が付いていない中で阿良々木くんがどう立ち回っていくのか見物ですね
ここでの解説は原作から1つとアニメではカットされたもったいない面白やり取りを2つ紹介します
まず原作からの解説ですが、これは『忍物語』からの解説というよりは別のシリーズ作品からの解説になります
今回、八九寺がスーサイドマスターとの出会いの話をしていましたが、実はこの話自体は実際に短々編として原作に存在しています
そのエピソードは「まよいウェルカム」というものになり、この短々編は2017年に行われたAnimeJapan2017のイベントの一つである『西尾維新の挑戦状』のクリア特典として書かれた作品になります
内容としてはスーサイドマスター視点の語りで描かれたもので、日本に来訪した際に出会った八九寺とのやり取りが繰り広げられている内容になっています
これを読むと今回八九寺が語っていた内容の正確さが分かるだけじゃなく、スーサイドマスター自身が八九寺を見てどんな印象を受けたのかなども分かるので、補足的な意味合いとしてはピッタリな作品となっています
ざっくりとあらすじを語るならこんな感じですね
”どうやら、また死んでしまったらしい”
昔のツレに会いに来たスーサイドマスターは不時着に失敗し、木っ端微塵となってしまう。その落下場所で出会ったこの土地の神である八九寺真宵はどうやらスーサイドマスターの探し人の居場所を知っている様子。しかし、中々居場所を教えない八九寺は、スーサイドマスターに”ある約束”を持ちかける。
なおこの短々編に関してはイベントのクリア特典というかなり限定的なものであり、今までは中々読める機会が少ないものとなっていたんですが、ありがたいことに先日発売された〈物語〉シリーズの短々編を集めた『短物語』にこのエピソードは収録されていますので、興味がある方はお手に取ってもいいかもしれませんね
次にアニメでカットされた面白やり取りですが、まず1つ目は忍が「『うつくし姫』の血液を口にしてしまえば、他の人間の血など水よりも薄かろう」と言ったセリフの後になります
これに関しては天国で会ったアセロラ姫も同じようなことを言っていましたが、実は忍自身もそのことには気づいており、さらに言えば「スーサイドマスターに意識があれば血の池地獄の血も絶対に飲まなかった」と原作では語っていました
そしてそこまで話した後の忍が妙な勘の良さを発揮して放ったセリフから始まる一連のやり取りです
忍「ん……?いや、でも待てよ?地獄の血の池とて、意識がなかったとて、スーサイドマスターの口に合うか……?我があるじ様がスーサイドマスターに飲ませたのは、もしかして……?」
やばい。
忍がかつてない勘の良さを発揮し始めた――その治療法の発案者である八九寺もその自問に、『そう言えばそうですね』みたいな顔をしている。
しかたない、タイミングを計っている場合じゃないか、忍の説を補強するためにも、ここで僕の死後の体験を、横入りで語らせてもらおう。
臥「何を言ってるんだい、忍ちゃん!こよみんがそんな嘘をつくはずがないじゃないか、永遠のパートナー関係である忍ちゃんと、大親友である八九寺ちゃんに!それともこよみんがきみ達を騙しているって言うのかい?」
臥煙さんが不必要なくらい大仰なフォローを入れてくれた――超然としていてくださいよ、お願いですから。
時機を逸して黙っていただけなのに、意図的に騙したみたいな既成事実ができあがっていくじゃないか。
無理矢理恩に着せるな。
「それもそうじゃな」「それはそうですね」
なにげに僕の信頼が厚かった。
全方位から。原作『忍物語』より引用
この『忍物語』において、阿良々木くんが第三のミイラに襲われそうになった時に臥煙伊豆湖が大声を出したのですら珍しかったのに、まさかこんな場面でまたその珍しい大声が聞けるとは(笑)
しかも、これまでの阿良々木くんの行動を考えると信憑性皆無な気がするのに、すんなりと信頼してしまう忍と八九寺の無垢さ加減がもの凄く笑っちゃいましたよねww
ちなみに、アセロラ姫と会ったことを阿良々木くんが忍たちに語るシーンはアニメでは描かれていませんでしたが、これは実際に原作でも語っておらず、阿良々木くん自身がどう話したものかと考えていたところでのこのやり取りだったので、阿良々木くんは臥煙伊豆湖の大仰なフォローに結構あたふたしていました
次にカットされてしまった面白やり取り2つ目ですが、先程紹介したのやり取りのすぐ後の臥煙伊豆湖が忍の意見に対して「取り入れる価値のある証言だ」と言った後のやり取りになります
美食家であるスーサイドマスターが『おいしい食材しか”食べられない”』ことを聞いた八九寺が発したセリフからのやり取りです
八「『食べられないには二種類ある。好きだから食べられない。嫌いだから食べられない』――って奴ですね」
暦「奴ですねって、クリシェみたいに言ってるけれど、誰の言葉だ、八九寺?」
八「わたしの言葉です」
暦「だろうよ」
それ、『わたしの言葉です』のほうを、むしろ言いたがってるだろ。
臥「同じことが逆からも言えるね。『食べたいには二種類ある。好きだから食べたい。嫌いだから食べたい』――八九寺ちゃんの言葉だ」
八「なんと!手柄をわたしに譲っていただけるのですか!臥煙さま、あなたは神です!」
お前が神だ。
さすがは奇人変人揃いの専門家集団のトップに立っているだけあって、人心掌握のテクが、神を掌握できるレベルに達していた。原作『忍物語』より引用
こういっちゃなんですけど、この神様チョロすぎるw
これこそが八九寺らしさとも言えるんですが、それにしても掌握され過ぎでしょ(笑)
そして、阿良々木くんの語りによるツッコミもまた”神”を絡めた絶妙なツッコミで、この辺りのやり取りを見ると〈物語〉シリーズらしくて凄く好きなやり取りでした
まとめ
- ABEMA
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〈物語〉シリーズのオフ&モンスターシーズン『忍物語』の「しのぶマスタード 其ノ參」の感想&解説でした!
明かされる謎と深まる謎
そして、スーサイドマスターの過去を知る忍が捜査に加わったことで得られた多くの証言などは、今回も新たな事実が判明していく中で、可能性という点においても幅が広がっていき、ますますこの事件がどういった絵を見せてくれるのか気になる内容となっていました
まだまだピース自体はバラバラではあるものの、次第にその関連性自体は見えてきてはいるので、そこをどう繋げていくのかは今後の展開と阿良々木くんの活躍に期待と言ったところですかね
秋アニメとして始まった〈物語〉シリーズ オフ&モンスターシーズンですが、他の作品と違い、終わりが見えるどころかまだまだ面白さは加速する勢いを見せているところなので、引き続き〈物語〉シリーズを楽しんでいきましょう!
それでは今回はこの辺で!
また会いましょう