小説・ラノベ

「死物語 上」感想 吸血鬼を襲うパンデミックに究明と救命を!

どうもウハルです!

今回は『死物語 上(しのぶスーサイド)』の感想と解説をしていきます!

阿良々木くんの大学生編を描いたモンスターシーズンもついにファイナル!

キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードの名づけ親であり、決死にして、必死にして、万死の吸血鬼であるデストピア・ヴィルトゥオーゾ・スーサイドマスター

この1匹の吸血鬼から始まったモンスターシーズン

『死物語 上』は、今までの物語シリーズ同様、巧みな言葉遊びがふんだんに盛り込まれた1冊でした

今まで作中で語られてきた設定もうまく生かしつつ、原作小説だからこそのネタ&メタ発言の連発は面白かったです!

そして、今の時代に沿った内容が取り入れられていた辺りも共感出来て、とても楽しめました

ただ逆を言ってしまうと、今の時代の話過ぎて、数年後に読んだ時にどうなるかが微妙だなと思ったのも正直な所

さらに言えば、アニメ化は難しそうだなとも思いました

その辺りも含めて、『死物語 上(しのぶスーサイド)』の感想と解説をしていきます!

ちなみに、重要なネタバレは避けるようにしますが、内容を語る都合上、ネタバレ有りになりますのでご了承ください

併せて、『死物語 上』を読む上で楽しめる物語シリーズ5作品もご紹介いたします!

なお、以前『物語シリーズ』のアニメ&原作小説についての関連記事を書かせて頂きましたので、興味がある方は是非!

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「死物語 上」あらすじ

しのぶスーサイド

著:西尾維新, イラスト:VOFAN
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“儂が見るうぬの有様は、いつでも死に様ばかりじゃ”
デストピア・ヴィルトゥオーゾ・スーサイドマスターに会うため、故国『アセロラ王国(仮)』を目指す忍野忍と阿良々木暦。人間社会が異常事態に陥った中、怪異にのみ感染するウイルスが吸血鬼を死に至らしめていて――?
青春は、きみの隣で生きて・・・こそ。

著者西尾維新
イラストVOFAN
刊行講談社BOX
発売日2021年8月19日
キャッチコピー100パーセント趣味で書かれた小説DEATHデス

PV

「死物語 上」感想&解説

新型コロナの影で発生したもう一つのパンデミック

2021年8月現在、世界中で猛威を奮っている新型コロナウィルス

今回の『死物語 上』では、作中でもこのウィルスが猛威を奮い、阿良々木くん達の生活に影響を及ぼしていました

そんな、コロナウィルスの影で発生したもう一つのウィルスのパンデミックが、今回の話の肝になってきます

そのもう一つのウィルスとは”アンチ吸血鬼ウィルス”

”アンチ吸血鬼ウィルス”とはどういったものかと言うと…

”アンチ吸血鬼ウィルス”

年齢を問わず、吸血鬼のみに感染するウィルス。致死率はほぼ百パーセント。症状として最たるものは『脱水症状』。味覚や嗅覚はそのままの状態になるが、血に限らず、どんな水分も受け付けず、吐き出してしまい、点滴も逆流する。食事も出来ない。

水を恐れる狂犬病に近い症状と言うのが、吸血鬼っぽさを表していますが、この症状はかなりの地獄

喉が渇き、ジュースを飲もうとして口に入れたら、味はするのに飲めない

お腹が空いて、おいしそうな匂いが漂っているけど、食べられない

これは生き地獄以外の何ものでもありませんね…

なお、このウィルスに感染した吸血鬼は、灰になったりするわけではなく、ミイラ化していきます

そして、このウィルスの一人目の感染者が、デストピア・ヴィルトゥオーゾ・スーサイドマスターになります

なぜ一人目がスーサイドマスターと分かっているかと言う大きな理由は、モンスターシーズンの一作目「忍物語」が関係してきます

「忍物語」のネタバレにならない範囲で語るのであれば、スーサイドマスターは日本に来日して、事件解決後、強制送還されます

その後、放浪生活をしていた際の動線が、そのままパンデミックの感染地図となっているので、一人目と考えて間違いないという事ですね

今回、まさかの新型コロナウィルスの登場でかなり驚きましたが、これを別に面白半分で取り扱っている訳ではありません(当たり前ですが)

むしろ、今回の話の鍵としてかなり重要な役割を果たしています

というか、コロナウィルスから一つの着想を得て、今回の話を考えたのではないかと思いました

といのも、元々「死物語」に関してサブタイトルが発表された時は『しのぶスーサイド』ではなく、『ですとぴあデスティニー』『ですとぴあデスティネーション』でしたしね

そう考えると、元々どういった話を書くつもりだったか気になるところではあります

そして、今回、この時事ネタを盛り込んだことでアニメ化と言う点においては厳しくなったと感じたのが正直な所

これは原作でも少し触れていますが、仮に『死物語 上』がアニメ化するとなると何年、下手したら十年以上も先の話になります

その時にコロナがどうなっているかは全く分かりませんが、その時にこの内容に共感出来るかと言われるとかなり微妙な所

特に、作品では2021年での現状について触れているので、これから時が経つにつれて、共感度は薄れていくように感じました

ただ、この辺りは原作者の西尾先生自身も分かってて書いているみたいです

作中で、似たようなことを余接が語っています

リアルタイムな証言をそうやって残さないと、歴史に埋もれてしまうから。その辺、どう折り合いをつけていくのか。現実と空想の線引きは、難しくなる一方だ。

「死物語 上」より

ちなみに、今回コロナウィルスが作中でも猛威を奮っていますが、その影響は阿良々木くんの周囲にも影響を及ぼしています

それは作中でもしっかり描かれていて、阿良々木くん視点になりますが、彼ら彼女らのコロナ禍での過ごし方を軽くまとめるとこんな感じになります

登場人物たちのコロナ禍の過ごし方

  • 阿良々木暦=両親の事情により、妹たちの面倒を見るため実家に帰省。大学の授業はリモート授業を受けている。
  • 戦場ヶ原ひたぎ=寮生活を継続。ステイホーム中。
  • 羽川翼=音信不通。ただ、アフリカ大陸で医療関係の奉仕活動に従事していた事までは知っている。
  • 八九寺真宵=うどんを持ってアマビエさまにお願いをしに行っている。
  • 千石撫子=自業自得により音信不通。
  • 神原駿河=大学に進学したものの、ステイホーム中。ソーシャルディスタンスを保ちつつ、一度だけ部屋の片づけに行った。
  • 阿良々木火憐&月火=姉妹揃って私立栂の木高校に進学。コロナ禍を機に買い与えられたスマートフォンを駆使して、中学校時代の同期にSNSで呼びかけて、オンラインイベントを開催している。
  • 老倉育=下宿先にてステイホーム中。授業もリモート授業を受けているが、性格上、パソコンやスマホのインカメラが苦手。忠実なる幼なじみ・阿良々木暦が電話で自分の実家に誘ったところ「死ね」と言われて電話を切られる。
  • 忍野メメ=行方不明。
  • 忍野忍=阿良々木くんの影の中。
  • 食飼命日子はむかいめにこ=大学での唯一の友人。下宿先にてステイホーム中。

コロナ禍においても、キャラの特性を活かしつつ、しっかり対策をしている辺り、さすがだなと思いましたね

特に、老倉育の不憫さは中々極まっている(笑)

確かにあの性格では、必然的に自身にカメラが向けられているリモート授業は苦痛でしかないですよね

ただ、そんな老倉にも良い事はありました

それはストーカー気質の隣人が居なくなり、心身の健康を取り戻したこと

ちなみに、老倉の部屋は角部屋で、隣の部屋には阿良々木くんが住んでいます

大学に入ってから、阿良々木くんは老倉の事が好き過ぎるんだよな…(笑)

いざ!アセロラ王国(仮)へ!

そもそも、なぜスーサイドマスターが”アンチ吸血鬼ウィルス”に感染したのが分かったのか

そのキッカケは『忍の直感』です

阿良々木くんと忍がペアリングされていて同調されているように、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードとその名付け親のスーサイドマスターも多少なりとも同調しています

その同調性は阿良々木くん程では無いので、「なんとなく、スーサイドマスターの身に何かがあった」程度の認識でしかありませんでした

そして、実際に行ってみるとスーサイドマスターは”アンチ吸血鬼ウィルス”に感染していたという訳ですね

さらに、もう一つ解説

今回向かう先で、かつて『うつくし姫』だった忍が滅ぼした国「アセロラ王国(仮)」ですが、この国はヨーロッパにあります

このコロナ禍でどうやってヨーロッパまで向かったかと言うと、斧乃木余接の”例外のほうが多い規則アンリミテッド・ルールブック”を使っての移動でした

「アセロラ王国(仮)」に行きたい阿良々木くんですが、コロナ禍であること以前に、そもそも海外に渡航する手段が無い

臥遠伊豆湖とも諸事情により絶縁状態になってしまった阿良々木くんが思いついた一つの手段が影縫余弦に連絡を取ること

偶然であり、奇跡的にも”アンチ吸血鬼ウィルス”の件に噛んでいた影縫によって助力を頼まれた阿良々木くんは余接の力を借りて渡航する事になります

当然、コロナ禍なので自身が感染することもそうですが、感染させるリスクも考慮しなければならない

元々吸血鬼体質であり、回復速度が早いので感染しても発症する可能性はかなり低い二人ですが、それでも周囲に感染させてしまうリスクはある(アンチ吸血鬼ウィルス含め)

そこで考えられたのが『感染者が出ていないところを経由しての”例外のほうが多い規則アンリミテッド・ルールブック”』です

これで、二つのウィルスの感染拡大を防ぐための最大限の努力をしつつ、無事「アセロラ王国(仮)」への渡航を果たしました

いくら余接とは言え、ひとっ飛びでヨーロッパに行くほどの能力はないので、どうしてもどこかを経由しながらの技の使用になるんですが、それもコロナの影響が…

ただ、コロナに関しては吸血鬼性を高めれば発症のリスクをかなり下げることが出来る

どころか、程度によっては無効化する事すら可能なんですが、そこまで吸血鬼性を高めると今度は”アンチ吸血鬼ウィルス”が発症するリスクが高まる

阿良々木くんの前に立ちはだかる壁はいつも高いですね

ちなみに、迎えに来た余接はしっかりマスクをしての登場&ソーシャルディスタンスを徹底した登場でした

「やあ、久しぶりだね、鬼のお兄ちゃん、略して鬼いちゃん。僕は死体だから感染症のリスクはないけれど、念のためソーシャルディスタンスを取って。それ以上一ミリも近寄らないで」

「死物語 上」より

余接らしい登場の仕方(笑)ではありますが、さらに自前の容器でアルコール除菌もする徹底ぶり

なんともよくできた付喪神つくもがみです

変わり果てたスーサイドマスター

無事渡航を果たし、「アセロラ王国(仮)」へ到着した阿良々木くんたちはそこから、スーサイドマスターがいる『死体城』へと向かいます

城で待っていた影縫余弦から、諸々の説明を受け、スーサイドマスターと面会することになった二人

その姿は、かつて出会った姿とは想像もつかない変わり果てた姿となっていました

ハードでクールだった彼女はどこへやら

老衰にも憔悴しているようにも見えるその姿は、1年前に1度会っただけとは言え、阿良々木くん自身、そのあまりの痛々しさに胸が締め付けられるほど

忍自身も絶句しかかるほどでしたが、この面会のもう一つの役割として『”アンチ吸血鬼ウィルス”のパンデミックの原因について』質問しない訳にはいきませんでした

しかし、スーサイドマスターからの返答は「マジでなにもわからねーんだよ…いつ感染したのかも、どこで感染したのかも」でした

嘘をついているように感じない…と言うより嘘をつく気力すらも無くなっているように感じた阿良々木くん

嘘をつく気力は無くなっているものの、まだ多少の虚勢は張れるスーサイドマスターは忍とその元眷属である阿良々木くんを気遣いつつ、死力を尽くして語り、忍もそれに答えるように突っ込みを入れます

しなびた姿をこれ以上晒したくねえってのもあるがな。できればハードでクールな、格好いい俺様を記憶しておいてほしいもんだぜ」
「格好いいうぬなど、あまり見せてもらってはおらんがの。儂が見るうぬの有り様は、いつでも死に様ばかりじゃ」

「死物語 上」より

スーサイドマスターのことを『盟友』と忍は語っているんですが、友に限らず、親しい人や近しい人が弱っていく姿は心に来るものがありますよね

特にこのシーンで印象的なのは、変わらずに接しようとする二人の姿

相手を気遣うような素振りは見せず、また相手に気遣わせるような素振りは見せまいと”今まで通り”に振舞おうとする二人

互いに、「相手がどうしてほしいのか?」「相手がどういう行動を取るのか?」が理解出来ているからこその虚勢の張り合いは、強い信頼関係を感じさせました

多くの過程と一つの仮定

スーサイドマスターとの面会も果たし、”アンチ吸血鬼ウィルス”の究明に動き出した阿良々木くん

物語シリーズの特徴の一つでもありますが、こういったミステリー要素が盛り込まれているのも魅力の一つですね

さすが、元々ミステリーでデビューした西尾維新が「100パーセント趣味」で書いているだけあります(笑)

ただ、物語シリーズの場合、例外も当然ありますが、シリーズを通じて分かる真実というものが多々あります

と言うよりは、ある作品での出来事が起因、または原因でその出来事が起こったと言うのが正しいですかね

物語シリーズで例を一つ挙げるのであれば、「忍野扇の正体」が一番分かりやすいですかね。念の為のネタバレ回避の為、詳細は語りませんが、気になる方は「終物語(下) おうぎダーク」を見てくださいね

今回の『死物語 上』での”アンチ吸血鬼ウィルス”に関しても、かつての出来事が複雑に絡み合い、多くの過程を経た結果、生じた出来事

それらを繋ぎ合わせて導き出した阿良々木くんの一つの仮定

結果として、その仮定はスーサイドマスターの救命にも繋がっていきます

ただ、これも他のシリーズでもよくあるんですが、阿良々木くんは肝心なところを一つ間違えます

そもそも阿良々木くん自身、自分の考えが全て正しいと思っていません

今までもそうですが、元々は「助けたい」という想いから動き、仮説を立てたり実際に目にした結果、「助けられるかもしれない方法を思いついた」と言うのが正直な所でしょう

実際、作中でも似たようなことを阿良々木くん自身が語っています

何が『僕の考えが正しければ』だ――僕の考えが正しかったことなど、これまで一度でもあったか?
せめて『僕の悪い予感が当たっていれば』である――これなら百発百中だ。

「死物語 上」より

「悪い予感ばかり当てる主人公」と言うのも中々珍しい(笑)

ただ、阿良々木くん一人では解決に導くことがあまり無いのも事実

今までも、そして今回も、多くの登場人物達に支えられて物語を終焉へ、そして終息へと向かわせた阿良々木くん

物語シリーズらしい大学生編のフィナーレでした

抑えておきたい物語シリーズ 5作品

いきなり「『死物語』から読んでみよう!」という方は中々いないかと思いますが、それでも「これを機会に読んでみよう!」または「見てみよう!」という方はいるかもしれません

ただ、物語シリーズは『死物語(上)(下)』も含めると、28冊(混物語、月物語は除いて)刊行されていて、アニメ化されていない『愚物語』以降でも10冊刊行されています

なお、「120秒で分かる《物語シリーズ》」として化物語~死物語までどんな作品が刊行されたかのダイジェスト版PVがありますのでご参考ください

PV

正直な話、全部読めるのが一番良いですが、それだとかなり時間が掛かる…(笑)

なので、個人的に『死物語 上』を読むうえで、これを抑えておくと内容の重要な流れは理解しやすいと思った5つをご紹介いたします

『死物語 上』で鍵になる物語

1.化物語(上)特にするがモンキー

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2.偽物語(下) つきひフェニックス

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3.終物語(中) しのぶメイル

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4.業物語 うつくし姫&あせろらボナペティ

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5.忍物語 しのぶマスタード

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細かい点まで言えばまだありますが、登場人物や大まかな流れを知るのであればこの5つの物語で問題無いと思います

さらに言えば、するがモンキー(全3話)&つきひフェニックス(全4話)&しのぶメイル(全6話)はアニメ化しているので、これはアニメで見て、業物語&忍物語は原作で読むというのもありですね

ただ、あくまで『死物語 上』を読む上での最低限のものになりますので、さらに細かくだったり、「物語シリーズ全体」または「紹介した5つの物語を知るために」となるとまた話は別になりますのでご注意を

まとめ

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阿良々木暦の大学生編を描いたモンスターシーズンはこれにてファイナル

そこにまさかの時事ネタを絡めてくるとは思ってもいませんでしたが、存分に楽しませてもらいました

今回、ネタバレ部分もありましたが、西尾維新節全開の言葉遊びがふんだんに盛り込まれた1冊となっているので、この感想を見た後でも十分楽しめると思いますよ!

そして、『死物語 上』となっているように、当然『死物語 下』もあります

そちらは千石撫子がメインの成長譚!

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”おやすみなさい。いい夜と、いい夢を”
専門家の見習いとして、斧乃木余接、貝木泥舟と共に西表島へ向かう千石撫子。敵は蛇遣い・洗人迂路子あらうんどうろこ――全ての元凶にして、臥煙伊豆湖の実の娘である。撫子が挑む”死闘”の結末は――?
ありがとう。また遭う日・・・までが、青春だ。

こちらも読ませて頂きましたので、感想を語らせて頂きました!

ただ、こちらは完全にネタバレになりますのでご注意ください

『死物語 下』ネタバレ感想

それでは、今回はこの辺で!

また会いましょう

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