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西尾維新原作のアニメ化作品紹介!魅力的で魅惑的で魅了される独特な世界へご案内!

どうもウハルです!

今回は、「西尾維新原作のアニメ化作品」をご紹介いたします!

巧みな言葉遊びや個性的なキャラクターで多くの人を魅了する西尾維新作品

西尾維新作品はその独特な世界観から「アニメ化不可能」とまで言われていました

しかし、それを見事に表現しきったシャフトが手掛ける『物語シリーズ』を皮切りに『西尾維新アニメプロジェクト』として続々とアニメ化され、映像として多くの人がその世界観を味わうことが出来るようになりました

さらに小説のみならず漫画原作も手掛け、その作品もアニメ化されたことで、さらに多くの人が西尾維新の世界観に浸ることが出来るようになりました

そんな西尾維新原作作品を一覧にしてご紹介いたします!

なお、並び順に関しては放送開始または発売開始時期順になっています

私自身、西尾維新原作のアニメ作品に関しては全作品視聴していますので、感想と解説も交えながら語っていきますね

どれか一作品でも気に入ったものがあったら他の作品も見て損はないと思っていますので、「他のも見てみたい!」と思った方は是非ご参考くださいね!

西尾維新とは

ペンネーム西尾維新(にしおいしん)
誕生年1981年
受賞歴第23回 メフィスト賞 受賞
デビュー作クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い
代表作「戯言シリーズ」
「物語シリーズ」
「忘却探偵シリーズ」
「最強シリーズ」
「刀語シリーズ」など
公式X西尾維新公式情報(@NISIOISIN_info

2002年にメフィスト賞デビュー作『クビキリサイクル』が刊行され、その後2019年には100冊目となる「ヴェールドマン仮説」を刊行

その後も刊行数を順調に伸ばし続けています

西尾維新さんはもの凄い速筆で知られ、1週間に1本のペースで持ち込みをしたり、1度のメフィスト賞で2~3作品投稿していました

この速筆があったからこそ、物語シリーズやクビキリサイクルなどのキャラクターコメンタリーや各作品の番外編などの原作も書けるんでしょうね

そして、ご存じの方も多いかもしれませんが、”西尾維新”というペンネームはローマ字表記にすると「NISIOISIN」

これは回文になり、また点対称にもなっているという面白いペンネームで、ここからも言葉や文字に対する遊び心が伝わってきます

西尾維新原作アニメ一覧

物語シリーズ

あらすじ

高校三年生のある日、阿良々木暦は階段から落ちてきた戦場ヶ原ひたぎを助ける。その時知った彼女の秘密。それは、彼女にはおよそ体重と呼べるものが無かったのだ。
蟹に逢った戦場ヶ原ひたぎ。蝸牛に迷った八九寺真宵。猿に願った神原駿河。蛇に巻かれた千石撫子。猫に魅せられた羽川翼。そして、鬼に襲われた阿良々木暦。
彼ら彼女らが織りなす青春怪異譚。青春に、おかしなことはつきもの・・・・だ!

キャラクター原案VOFAN
アニメーション制作シャフト
放送時期2009年
キャスト阿良々木暦:神谷浩史
戦場ヶ原ひたぎ:斎藤千和
羽川翼:堀江由衣
八九寺真宵:加藤英美里
神原駿河:沢城みゆき
千石撫子:花澤香菜ほか

この作品から西尾維新作品に触れた人も多いんじゃないでしょうか?

《物語シリーズ》は西尾維新作品のシリーズものとしては5つ目になります(各シリーズの1作品目発行順でいうと)

化物語に始まり、偽物語、《物語シリーズ》セカンドシーズンと続き、「《物語シリーズ》を全作品アニメ化する!」という流れになったのち、続・終物語、《物語シリーズ》オフ&モンスターシーズンがアニメ化

さらには劇場版として傷物語もアニメ化されています

この作品は巧みな言葉遊びや個性的で魅力的なキャラクター達、そして他のアニメにはない独特な演出方法などで多くの人を魅了してきた作品ですが、元々は西尾維新先生が100%趣味で書かれた小説と言うのはご存じですか?

そもそも『化物語』を書いたキッカケの一つとして「馬鹿な掛け合いに満ちた楽しげな小説を書きたかった」と「化物語・上」のあとがきで語られています

本書は怪異を主軸に据えた三つの物語ーーーでは、ありません。とにかく馬鹿な掛け合いに満ちた楽しげな小説を書きたかったのでそのまま書いたという三つの物語です。

化物語・上 あとがきより

※ここでいう”三つの物語”とは「ひたぎクラブ」「まよいマイマイ」「するがモンキー」のこと

さらに、もともとぽっかりと予定が空いていたらしく、その間に書いたのが「化物語」だと原作の「化物語・下」のあとがきで語られていますね

誤解を恐れずに言えば、この『化物語』は百パーセント趣味で書かれた小説です。仕事的要素は微塵もありません。元々ぽっかり空いたスケジュールを埋めるために手遊びで書いた小説なので、こうして発表していいものなのか、正直迷いがあります。

化物語・下 あとがきより

そんな「楽しくて趣味に溢れた作品」だからこそ、内容も面白くて、登場するキャラクターが生き生きしているように感じるのかもしれませんね

そして、化物語の後日譚である『偽物語』に関しては表に出るはずの無い小説だったみたいで、だから『偽物語』は200%趣味で書かれた小説だそうです

まぁここから先は裏話ですけれど、本来本書は表に出るはずのない小説で、実際、書き終わった後も作者はしばらくの間それを誰にも黙っていました。そのままプリントアウトさえせず闇に葬りさってしまおう、つまり、この小説はもう僕が独り占めしてしまおうと企んでいたわけですが、要するにはそんな感じで、本書は二百パーセント趣味で書かれた小説です。

偽物語・上 あとがきより

そして、この後に「制約やしがらみなしで、心の底から自由に小説を書けるのは楽しい」と語られています

個人的にも会話のテンポ感やその内容もそうですが、恒例となる『嚙みました』シリーズが一つの会話として成立し始めてきたり、忍野忍が登場するなど『化物語』よりも『偽物語』の方が楽しめて笑えたと感じた作品でした

その理由は、西尾維新さん自身が「化物語」以上に楽しんで書いたからというのも要因になっているのかもと感じましたね

ちなみに、《物語シリーズ》に関してはアニメ&原作の関連記事を書いています

アニメの方については本編に関する事はもちろん、「あとがたり」「キャラクターコメンタリー」放送順時系列、さらには「〈物語〉フェス ~10th Anniversary Story~」など約2万文字のボリューム魅力を総まとめして語りました

多少ネタバレがありますが、かなり参考になる内容に仕上げましたので作品に触れたことがある方もない方も、気になった方は是非ご参考ください

出演・声の出演:斎藤千和, 出演・声の出演:神谷浩史, 出演・声の出演:加藤英美里, 出演・声の出演:花澤香菜, 出演・声の出演:堀江由衣, 監督:新房昭之

またABEMAでは、プレミアム会員の特典として、円盤でしか聴くことの出来なかったキャラクターコメンタリーを視聴することが出来ます

これは登場するキャラクター自身が作品に対してコメンタリーをするというものになっており、その内容も西尾維新先生自らが書いたものとなっているので、〈物語〉シリーズの世界観を壊すことなく、さらには西尾維新の世界観すらもそのままになっているので、本編を見てハマった方には是非とも一度は聞いて欲しいですね

【キャラコメ視聴動画】

刀語シリーズ

あらすじ

刀を使わない剣術『虚刀流きょとうりゅう』。その七代目当主・鑢七花やすりしちかの元にやって来た奇策士きさくし・とがめ。彼女がやって来た理由は伝説の刀鍛冶・四季崎記記しきざきききが、人生を賭けて作った完成形変体刀12本の収集を依頼する為だった。刀に選ばれる実力を兼ね備え、『刀』のそれぞれの能力を使いこなす所有者。四季崎の刀を狙う真庭忍軍。多くの強敵相手に鑢七花ととがめの刀集めの旅が今、幕を開ける!

キャラクター原案
アニメーション制作WHITE FOX
放送時期2010年(月1放送)&2013年(週1放送)
キャスト鑢七花:細谷佳正
とがめ:田村ゆかり
否定姫:戸松遥
左右田右衛門左衛門:小山力也
真庭鳳凰:置鮎龍太郎 ほか

原作は2007年に1ヵ月に1巻のペースで刊行され、それが全12巻なので12ヵ月連続刊行という噂に違わぬ速筆ぶりを見せて刊行された作品です

それもあって、2010年にアニメ化された時は1ヶ月に1話と言う変わった放送の仕方をしていました

これはプロデューサーの鳥羽洋典さんが原作の刊行の仕方もそうですが、「月に一度の楽しみ感を出したかった」からという意図があったらしいですね

この企みには当時、個人的には見事にドはまりしました

「来週が楽しみ!」ではなく、「来月が楽しみ!というか待ち遠しい!!」になるあのワクワク感は今でも忘れられませんし、1年かけて最終回を迎えた時の「とうとう終わってしまった感」も凄かったですね

今その感覚は味わえませんが、この作品も非常に面白い作品です

言葉遊びはもちろんの事、特徴的なのは個性的なキャラクターと個性的な完成形変体刀

登場キャラクターに関しては他の西尾維新作品に比べるとぶっ飛んだ能力というのはあまりない印象がありますが、それに負けない個性を持っています

特に個性的なのが真庭白鷺まにわしらさぎこと「逆さ喋りの白鷺」

このキャラクターはその名の通り言葉を逆さでしゃべります

例えば真庭白鷺まにわしらさぎ忍法にんぽうと言う言葉を逆さ喋りにすると「うぽんにのぎさらしわにま」といった感じです

これを声優の羽多野渉さんが演じられているんですが、その苦労はどれほどのものだったんでしょうかね(笑)

そして、個性的な完成形変体刀

四季崎記記が作った完成形変体刀の12本はそれぞれ”ある特徴””ある能力”を持っています

最初の方はまだ理解出来るんですが、途中から「なんだこれは?」というような能力になってきてそれがまた凄い

凄すぎて途中から刀の原型失くしてくけど、しっかりと刀なんですよね、これが(笑)

そして、その刀が作られた理由と刀がどうやって作られたのかと言う真実は驚きの一言

この辺りの発想力は西尾維新作品ならではといった印象もあり、かなり驚かされました

さらに、それぞれの刀の名前も言葉遊びがふんだんに盛り込まれています

そう思えるのが、漏れなくすべての刀の名前の漢字に『かねへん』が用いられているという事

十二本の完成形変体刀の名称

  1. 絶刀・鉋(かんな)
  2. 斬刀・鈍(なまくら)
  3. 千刀・鎩(つるぎ)
  4. 薄刀・針(はり)
  5. 賊刀・鎧(よろい)
  6. 双刀・鎚(かなづち)
  7. 悪刀・鐚(びた)
  8. 微刀・釵(かんざし)
  9. 王刀・鋸(のこぎり)
  10. 誠刀・銓(はかり)
  11. 毒刀・鍍(めっき)
  12. 炎刀・銃(じゅう)

よくこんなに思いつくよなと感心しっぱなしです(笑)

しかも、この刀を使用する所有者たちの技も刀の名前にちなんだものが数多く登場します

例えば、絶刀ぜっとう・鉋の所有者が使う技は『抱腹絶刀ほうふくぜっとう』、斬刀ざんとう・鈍の所有者が使う技は『斬刀狩ざんとうがり』、千刀せんとう・鎩の所有者の使う技は『地形効果・千刀巡せんとうめぐり』みたいなかんじです

こんなに厨二心を揺さぶる言葉遊びがあるでしょうか?(笑)

しかも、ただの当て字じゃなくて、ちゃんと意味がある当て字になってるのが本当に凄い

キャラデザが特徴的なので、苦手な人もいるかもしれませんが、最後まで是非見て欲しいと思う作品です

【番宣スポット】

出演:細谷佳正, 出演:田村ゆかり, 出演:中原麻衣, 出演:池田昌子, 監督:元永慶太郎

めだかボックス

あらすじ

文武両道、容姿端麗、才色兼備、有言実行…完璧超人である黒神めだかは箱庭学園1年生にして98%のぶっちぎりの支持率を得て箱庭学園生徒会長に就任。そんな黒神めだかの公約の一つである『目安箱』の設置。それは「24時間365日、誰からのどんな相談でも受け付ける」という投書箱で通称”めだかボックス”と呼ばれていた。人吉善吉、阿久根高貴、喜界島もがなも生徒会に加わり、生徒たちの悩みを解決するため、生徒会メンバーは今日も生徒会を執行する!

漫画暁月あきら
アニメーション制作GAINAX
放送時期2012年
キャスト黒神めだか:豊崎愛生
人吉善吉:小野友樹
阿久根高貴:浪川大輔
喜界島もがな:茅野愛衣
不知火半袖:加藤英美里 ほか

2009年から週刊少年ジャンプにて連載されていた作品です

漫画原作自体は「放課後、七時間目。」(作画:高河ゆん)「うろおぼえウロボロス!」(作画:小畑健)に次いで3作品目で、週刊連載の漫画原作をしたのはこの作品が初になります

2012年4月にアニメ化され、同じ年の10月に2期の「めだかボックス アブノーマル」が放送されました

この作品は個性的なキャラクターと言う言葉がこの作品で使われなければ、どの作品にも使われないと断言出来るほど登場キャラクターの能力のぶっ飛び具合が凄い作品です

主人公の黒神めだか自体も超人的過ぎる程の能力を持っていますが、なにより敵キャラの能力がもの凄い

その中でも凄いと思っているのが球磨川禊と安心院なじみ

球磨川禊の能力は「大噓憑き(オールフィクション)」で、現実(すべて)を虚構(なかったこと)にするこの能力は、自身の傷だけでなく視力などといった五感もなかったことにするのが可能で、相手の死すらもなかったことに出来ます

そして、自身の死に対しては自動で発動してしまう為、死にたくても死ねない状態になっています

本人のひねくれ過ぎてマイナス過ぎる性格も相まって、この能力を持った球磨川禊の強さが尋常じゃないです

ただ、そんな強さを持ちながら、これまた性格のせいで「どんな勝負にも勝てない」という矛盾をはらんでいるのも面白い

こういった能力や球磨川禊のキャラクター性も相まって、人気投票では1位を獲得したこともあります

そして、極めつけの安心院なじみ

アニメでこの本領を発揮していませんが、彼女の強さはどの作品で比較しても最強レベルなのではないかと思えるくらいぶっ飛んでます

この作品ではスキルとして大きく分けると異常〈アブノーマル〉過負荷〈マイナス〉の2つが存在します

その中から複数のスキルを所持しているキャラクターと言うのは登場しますが、安心院なじみが持っている能力の数は文字通り桁違いです

その数は異常<アブノーマル>が「7932兆1354億4152万3222個」過負荷<マイナス>が「4925兆9165億2611万0643個」

合計で1京2858兆0519億6763万3865個」です

ここまでくるともはや笑えますし、「京」なんて単位を使う作品を他に知りません(笑)

この中には肉体を強化するスキルや精神を操るスキル、自然を操るスキルに時間を操るスキルなどそれ単体でも十分な強さを誇るスキルがあるのに、それ以外にも強力なスキルを持っている証ともいえるこの保有数!

ちなみに、原作漫画でこの能力の一部が登場しましたがその個数は600個

しかも、そのスキル名簡易説明が第143箱で1ページにつき100個

600個分が6ページにわたって読者向けに見開きページで羅列されているという驚異

その本当に一部の刀剣系スキル10個だけ紹介しましょうか

刀剣系スキル10個

  1. 刀を精製するスキル『見囮刀』ソードルックス
  2. 影を斬るスキル『戦影の尻尾切りシャドウアウト
  3. 肉を気切らずに骨を断つスキル『裁人の手技ボーントゥビーミート
  4. 命中のスキル『狙数増ゲットターゲット
  5. 一振りで二回斬るスキル『二重走ツインランナー
  6. 斬ったら爆発するスキル『大爆傷ダイナマイトスマイル
  7. 追加攻撃のスキル『二の腕三の剣アドホックアタック
  8. 居合のスキル『健脚の抜き足レッグウォーカー
  9. 刀が曲がるスキル『ひねくれ者トリックソード
  10. 刀を遠隔操作スキル『想査剣リモートライト

これなにが凄いってダブルネームを考えているのもそうですが、言葉遊びにもしっかりなってるのも凄いですよね(「大爆笑」→「大爆傷」→「ダイナマイトスマイル」とか

さらに言うと、この600個のスキルは西尾維新先生自らが何もない状態から3日間で作り上げたらしいです(笑)

西尾維新、恐るべし…

ただ、この作品動画配信がかなり限られてるのが残念なところ(2025年4月時点)

動画配信されているバンダイチャンネルで「めだかボックス」1話&「めだかボックス アブノーマル」1話は登録無しで無料視聴出来ますが、それ以外の話は有料になりますので気になる方は、無料分のみ視聴してみても良いかもしれません

公式サイト

バンダイチャンネル「めだかボックス」第1箱

また、ジャンプ+で1話~3話まで試し読みが出来ます

こちらの方が話としては先まで見れますね

ジャンプ+:「めだかボックス」第1箱

クビキリサイクル(OVA)

あらすじ

日本海にある孤島《鴉の濡れ羽島》。そこの屋敷に住む主・赤神イリアによって集められたあらゆる分野の天才たち。
その天才の一人として呼ばれた玖渚友くなぎさともの付き添いで一緒に島にやって来た「ぼく」(通称:いーちゃん)。天才たちに囲まれる中迎えた四日目の朝、屋敷の中で首斬り死体が発見されるが、事件はそれだけで終わりではなかった……

キャラクター原案
アニメーション制作シャフト
放送時期2016年
キャストぼく:梶裕貴
玖渚友:悠木碧
哀川潤:甲斐田裕子
赤神イリア:伊瀬茉莉也
班田玲:桑島法子 ほか

西尾維新さんのデビュー作であるこの「クビキリサイクルですが、このシリーズは「戯言シリーズ」と呼ばれ、西尾維新作品の中で唯一この作品から派生して他のシリーズ作品が生まれている作品です

このシリーズに登場する殺人鬼集団『零崎一族』にスポットを当てた「人間シリーズ」

同じくこのシリーズに登場する人類最強の請負人・哀川潤「最強シリーズ」

この2つのシリーズ作品が「戯言シリーズ」から派生したシリーズ作品になります

アニメ「クビキリサイクル」はOVAのみの作品になりますが、「なぜOVAなのか?」と言うのは公式サイトのインタビューで新房監督が語っていますね

当初は、2時間のミステリー映画にできないかという話だったんです。そのつもりで脚本会議を始めたのですが、西尾さんにとって『戯言シリーズ』はやはり特別な思い入れのある作品だと知り、「じゃあ2時間に縮めるべきではないのでは」という話になって。ただ2時間以上となると映画としては長過ぎるし、TVアニメ1クールには満たないので、OVAならいいんじゃないかと決まっていきました。

OVA「クビキリサイクル」公式サイトより

西尾維新さんにとってもそうですが、制作の方々もこの作品を大切にしているのが良く分かるインタビューですね

さて内容の感想を…

まず、話に関しては色々考えさせられるミステリーだと思っています

殺人事件が起きるのでトリックや犯人について考えるというのもそうですが、そもそも『常識』や『当たり前』というものはなんなのかというものを考えさせられた作品でした

正直、一番そう思っているポイントが盛大なトリックのネタバレになるので多くは語りませんが、ボカシていえば「事実としては目の前にあること以外あり得ない。しかし、それを”普通”と思うかどうかは別である」といった感じでしょうか

当時原作を読んだ時にこの感想を持ったので、一時期は自分の中の『当たり前』を疑ってばかりいましたね(笑)

また、「天才とは?」という点においても考えさせられました

この島に集められた天才たちを西尾維新先生が考えた「天才の定義」に従って書かれていくこの作品のキャラクター

それぞれが何かに突出しているからこそ、一線を越えてしまった天才たちの考え方は常識外で規格外だと感じさせられました

極めつけはやはり「天才だからこそ出来る事」になってくるんですが、その部分の詳細を語るとそれも盛大なネタバレになるので、「なにそれ気になる!」と思ってくれた方はOVAか原作を見て頂きたいなと思います

演出方面での感想を語るのであれば、さすが安定のシャフト作品と言った感じですね

『物語シリーズ』でも時々あった広すぎる部屋だったり、会話の内容と全く関係のない事柄が後ろで起きている演出だったり、回想シーンの内容のインパクトをさらに強調するかのような演出だったりと文字では補いきれなかった部分を見事に表現していると感じました

そして、ミステリアスな内容をさらにミステリアスにする梶浦由記さんの劇伴も相まってかなり作品の世界観に引き込まれました

音楽と言えば三月のパンタシアが歌うOP「群青世界」Kalafinaが歌うED「メルヒェン」も作品の世界観をかなり表現していると思います

ノンテロップOP「郡青世界」】

そして、最後に語りたいキャラクターコメンタリー

もうこれに関しても安定の面白さでしたw

今回のキャラコメもほぼ雑談しか語られず、しかも「最強シリーズ」の宣伝もしちゃうというとにかくやりたい放題の内容になってましたね

そして相変わらずのネタ発言連発も面白かった!

最終巻での「ぼく」&哀川潤のキャラコメでドラえもんの話したり、こち亀の話したりと〈物語〉シリーズのキャラコメ同様、自由で面白い会話劇が繰り広げられていました(ちなみに〈物語〉シリーズネタもしっかりあります 笑)

ちなみに、今回のキャラコメをどういった方針で書いたか等は公式サイトでのインタビューで西尾維新さんが語っていますので興味がある方は是非!

公式サイト

OVA「クビキリサイクル」 原作者・西尾維新スペシャルインタビュー

もしも「クビキリサイクル」の公式サイトを見るのであれば、音を出してサイトを覗くことをオススメします

作品を印象付けるような梶浦由記さんが手掛けた音楽が流れるサイトは必聴です

さらにちなみになりますが、西尾維新デビュー20周年動画として西尾維新書き下ろし短々編である『緊急対談!戯言遣い×阿良々木暦』という動画が公開されており、戯言シリーズの世界線設定のぶっ飛び具合が多少は分かる内容ともなっていますので、興味がある方は一度見ても良いかもしれませんね

十二大戦

あらすじ

十二年に一度開催される第十二回目の十二大戦。その戦いに勝利した者は、どんな願いでもたった一つだけ叶えることが出来る。干支の名を冠する十二人の戦士たちが、互いの命と魂を賭けて繰り広げられるバトルロイヤル、ここに開戦!

イラスト中村光
アニメーション制作グラフィニカ
放送時期2017年
キャスト寝住:堀江瞬
憂城:岡本信彦
断罪兄弟・兄:江口拓也
断罪兄弟・弟:鳥海浩輔
迂々真:緑川光
砂粒:早見沙織
庭取:佐倉綾音 ほか

この作品はちょっと特殊な形で作られた作品です

というのも、西尾維新先生が9本のお題を元にそれぞれ原作を作り、それに9人の作家さんが絵をつけ、漫画化した短編マンガ集「大斬-オオギリ-」の中の一つに「どうしても叶えたいたったひとつの願いと割とそうでもない99の願い」というものが収録されています

著:西尾維新, 著:暁月あきら, 著:小畑健, 著:池田晃久, 著:福島鉄平, 著:山川あいじ, 著:中山敦支, 著:中村光, 著:河下水希, 著:金田一蓮十郎

この時の作品のお題は『願い』

そのお題を元にこの原作を書き、中村光先生が漫画化したところ、このキャラクターデザインを西尾維新さんが気に入り、そこから前日譚となる「十二大戦」という小説を書いたというのがこの作品が小説化した経緯です

つまりキャラデザありき&最終話から作られた作品が「十二大戦」というわけですね

こういった部分も西尾維新作品らしいと思う点になりますが、この「大斬-オオギリ-」で掲載された時の作品タイトルからも分かる通り、生き残った戦士は98個の願いを考え、98回否定し、叶えたい”たった1つの願い”に辿り着きます(ちなみに100個のうち1個の「願い」と「その否定」は読者に委ねてます)

しっかり99個の願いを考え、しっかり98回否定しているのがまた凄いですし、100個の内の一つを読者に投げるというユニークさは西尾維新作品らしいですね

そして、そこから辿り着いた《たった1つの願い》も本当に予想外過ぎてかなり驚かされました

さらに、この「十二大戦」に登場する干支に関する戦士たちは、それぞれの干支の名前を宿しているのもそうですが、それぞれの殺し方や性格を表した「○○殺す」という肩書きがあります

これもまた西尾維新作品らしくて好きですね、厨二っぽくて(笑)

各戦士の肩書き

  • 子の戦士「うじゃうじゃ殺す」
  • 牛の戦士「ただ殺す」
  • 寅の戦士「酔った勢いで殺す」
  • 卯の戦士「異常に殺す」
  • 辰&巳の戦士「遊ぶ金欲しさに殺す」
  • 午の戦士「無言で殺す」
  • 未の戦士「騙して殺す」
  • 申の戦士「平和裏に殺す」
  • 酉の戦士「ついばんで殺す」
  • 戌の戦士「噛んで含めるように殺す」
  • 亥の戦士「豊かに殺す」

言葉遊びや会話劇と言った部分では少し物足りなさがある作品ではありますが、個性的なキャラクターや欲望、そして暗い部分の心理描写と言ったそれぞれの戦士が持っている”心”の表現の仕方に関してはクセのある面白い作品です

特に「兎の戦士」である憂城うさぎの個性的過ぎる性格と見た目は中々ぶっ飛んでますし、このキャラを担当している岡本信彦さんの声と演技がハマり過ぎててやたら恐怖感を煽ってきます

ちなみに、この作品は「殺し合いのバトルロイヤル」になるためグロ目の表現が多々ありますので、そういったのが苦手な方はご注意を

美少年探偵団

あらすじ

十年前に一度だけ見た星を探す少女・瞳島眉美どうじままゆみは今日も夜空を眺めていた。そんな時に出会ったのは一人の少年・双頭院学そうとういんまなぶ。眉美が探している星を見つける為に、彼が団長を務める「美少年探偵団」の事務所(美術室)へと連れて行き、学を含めた5人の美少年と共に眉美は星探しを始める。眩しいほどに美しい謎解き冒険譚、ここに開幕!

キャラクター原案キナコ
アニメーション制作シャフト
放送時期2021年
キャスト瞳島眉美:坂本真綾
双頭院学:村瀬歩
咲口長広:坂泰斗
袋井満:増田俊樹
足利飆太:矢野奨吾
指輪創作:佐藤元 ほか

「美少年シリーズ」と呼ばれているこの作品は、主人公・瞳島眉美がある事件から関わることになった5人の美少年と共に数々の事件を美しく”解決していくストーリーです

原作に関しては2019年12月に発売された「美少年蜥蜴【後編】」にて一度完結しましたが、2021年5月にシリーズの続刊である「モルグ街の美少年」が発売され、この巻を含め全12巻になります(2021年5月現在)

西尾維新さんはシリーズものだけでなく、単巻でも多くのミステリー作品を書かれていますが、TVアニメとして放送されたミステリー作品はこの作品が初です(『クビキリサイクル』はOVA、『掟上今日子の備忘録』はTVドラマなので

この作品はその多くのミステリー作品の例に漏れず、非常に難解であり、ユニークであり、そして壮大な内容

私自身アニメから入ったので原作未読なんですが、毎週毎週頭を捻らせつつも、解決編を見て「そういうことか!」と驚かされっぱなしでした(笑)

そして、”美しい”解答とその手際には惚れ惚れします

さらに、タイトルにもある通り、6人の団員がみんな”美少年”!1人は女性ですが 笑)

容姿の美少年ぶりもそうですが、それぞれが”【美】に関する通り名”を持っていてそれもまた個性を非常に表していて面白いです

美少年たちの通り名

  • 瞳島眉美…美観のマユミ
  • 双頭院学…美学のマナブ
  • 咲口長広…美声のナガヒロ
  • 足利飆太…美脚のヒョウタ
  • 袋井満…美食のミチル
  • 指輪創作…美術のソーサク

キャラデザをされたキナコさんのイラストもそうですが、それを煌びやかに表現したシャフトならではの作画が美しさを際立たせています

最後に、新房監督×シャフトの安定の作画と演出はやっぱり見ていて面白い

西尾維新さんの独特な世界観の表現もそうですが、美しく表現するための陰影の付け方や舞台劇を思わせるかのようにキャラクターにスポットライトを当てる演出、一見すると理解できないような不可解さとユニークさに溢れた背景や心情の描写

これらが相まって作品をより”美しく”しています

美少年系の作品はそんなに得意じゃないんですが、非常に楽しめた作品ですね

番外編

xxxHOLiC

第17話「ジショウ」

あらすじ

侑子ゆうこのお遣いで伊達眼鏡を買いに行くことになった四月一日君尋わたぬききみひろ。その帰り道、突然目の前で女性がバイクにはねられる。その女性の名前は櫛田くしだ塗絵ぬりえ。塗絵は「やってはいけないこと」をなぜかやってしまい、自分を不幸にしてきたと言う。それを聞いた四月一日は「アヤカシの仕業では?」と考え、侑子に塗絵の事を話す。その話を聞いた侑子は塗絵を”ミセ”に連れてくるように四月一日に伝えるが…

西尾維新が描いた小説版「xxxHOLiC」である「アナザーホリック ランドルト環エアロゾル」に収録されている3つの短編作品のうちの一つ

基本的にアヤカシ絡みの内容が多く登場する「xxxHOLiC」ですが、この話は数少ないアヤカシが登場しない話です

さらに言えば、登場人物はあらすじで登場している3人しか登場しないので、モナコや百目鬼静や九軒ひまわりといったレギュラーメンバーも登場しません

しかしその内容は「xxxHOLiC」という作品の世界観を壊さず、西尾維新らしい内容のものになっていると思います

この「xxxHOLiC」と言う作品で度々登場する『対価』

物であれ何であれ「何かを得るためには同等の『対価』が必要になる」

独特な描き方ではありますが、その『対価』について描いているこの話は納得しつつ、色々考えさせられる内容となっています

そして、侑子が塗絵から貰った『対価』も人によっては「とてつもなく大きなもの」かなと感じたお話でした

内容とは関係ないですが、この話で登場している振子時計がもの凄く内容をミステリアスに演出していて良い役割をしてますよ

まとめ

西尾維新原作のアニメ化作品の紹介とその魅力や感想を語らせて頂きました

独特な世界観や個性あふれるキャラクター、そして巧みな言葉遊びや文字表現で多くの人を魅了してきた西尾維新作品

『物語シリーズ』の作品数が多いので、結構多いイメージがある方もいるかもしれませんが、意外にもシリーズとして分類すると6作品なんですよね(まぁ1人の原作者で6作品と言うのも多いほうとは思いますが

『物語シリーズ』を除けば、話数としてはそんなに多くない作品ばかりなので、ここまでこの記事を読んで頂いたあなたが「これ見てみよう!」という作品があったら幸いです

ちなみに、西尾維新作品に触れたことが無い方に個人的にオススメする作品順はこんな感じですね

西尾維新作品おすすめ順

  1. 〈物語〉シリーズ
  2. 刀語
  3. 美少年探偵団
  4. 十二大戦
  5. クビキリサイクル
  6. めだかボックス

動画配信の有無も考慮し、見易さも含めての判断基準にはなりますが、やはりまずは〈物語〉シリーズから入って欲しいなと言うのが正直な所

人気シリーズだからというのもありますが、西尾作品の代表作の一つとして多くの人が頭に浮かべる作品の一つだとも思うので、まず入るのであれば〈物語〉シリーズからが一番かなとも思います

そして、それが面白かったら刀語も是非見て欲しい!

この2作品は本当に面白いですし、独特のキャラクターを作り出す発想力や巧みな言葉遊びを存分に感じれると思いますよ!!

この力説がちょっとでも伝わってくれればいいなと思います(笑)

それでは、今回はこの辺で!

また会いましょう

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