どうもウハルです!
今回は〈物語〉シリーズのオフ&モンスターシーズン『撫物語』の「なでこドロー 其ノ壹」の感想&解説を語っていきたいと思います!
2話目にして毎週の楽しみと化している〈物語〉シリーズのオフ&モンスターシーズンですが…
今回ももの凄く面白かったです!
特に今回に関してはアニメだからこその演出表現が凄まじく、視覚的な部分で楽しませる演出がすごく多かった印象がありました
漫画家を目指す千石撫子だからこそのマンガや本で例えた様々な演出は、これまでの”千石撫子”の歴史を非常に分かりやすくしてくれましたし、なによりこれから始まる『撫物語』において重要な”4人の撫子”の存在を再認識するには十分な演出だったと感じます
そんな今回の『撫物語』「なでこドロー 其ノ壹」は起承転結でいうのであれば”起”の部分にあたり、今回の物語に発展することになった経緯と発端が描かれていました
過去の撫子たちの登場にかなり懐かしさを感じながらも、”今撫子”がその過去と向き合いながら、現在で直面してしまった危機にどう対処していくのかを存分に楽しみながら『撫物語』を最後まで視聴していきたいなと感じた「なでこドロー 其ノ壹」でしたね!
ということで、今回は千石撫子の”新しい始まりの物語”である『撫物語』「なでこドロー 其ノ壹」の感想と解説を語っていきたいと思います!
なお、前回の〈物語〉シリーズ オフ&モンスターシーズンの『愚物語』「つきひアンドゥ」の感想&解説も語らせて頂きましたのでよろしければそちらも是非!
そちらではエンディング主題歌である「UNDEAD」についても少し語らせて頂きました
また、〈物語〉シリーズのアニメや原作小説について語らせて頂いたまとめ記事もありますので、他の〈物語〉シリーズに触れてみたいと感じた方はそちらも参考にしてみて下さいね
『撫物語』とは?今回はどこまでアニメ化した?
”夢を追ってひたむきに努力とか、そんな恥ずかしいことしないでよ、恥ずかしい”
『撫物語』巻末より引用
かつて神様だった少女・千石撫子。夢を追い、現実に追いつめられる彼女は式神童女・斧乃木余接の力を借りて、分身をつくることに成功する。しかし4人の「撫子」達は、ばらばらに逃げ出してしまい・・・?
自分さえ、手に負えないのが青春だ。
『撫物語』は原作小説における21作品目のシリーズ作品となり、オフシーズンとしては『愚物語』『業物語』に続く3作品目の小説になります
キャッチコピーは「1000パーセント千石で書かれた小説です。」
こちらの小説は千石撫子の新しい始まりの物語になりますが、元々は八九寺真宵と斧乃木余接の新しい物語となる「まよいイーブン」と「よつぎノーサイド」を合わせた3つの物語で構成される予定でした
ただ、今回の「なでこドロー」が想像以上に話が膨らんでしまったため、撫子単体でのシリーズ作品となったそうです(原作小説『撫物語』のあとがきより)
その為、メインキャラ一人で一冊の作品はこの次の『結物語』を含めても、オフシーズンの中ではこの作品のみとなります
また『撫物語』は全31章で構成された物語になり、今回の「なでこドロー 其ノ壹」は1章から7章までがアニメ化されました
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『撫物語』「なでこドロー 其ノ壹」感想&解説
扇さんの登場
久しぶりの外出に道路の勝手がわからず走り回っていたジャージ姿の千石撫子
その為、曲がり角でも不用意に飛び出してしまった所、自転車に乗っていた忍野扇とぶつかりそうになってしまいました
「危なーーーーく、ないっ!」
しかし、ギリギリのところで忍野扇がかわしてくれたため、撫子自身に怪我はありませんでしたが、避けた扇自身は大事故かと思うレベルの転倒
撫子はその身を案じて近くに行き、声をかけますが、「平気っ!」と扇はどうやら全く怪我がない様子
というか、以前にも全く同じようなことがあったため、多分そうだろうという予想は撫子自身もしていました
それよりも驚きと言う点でいうのであれば、以前会った扇とは服装が違っている点
前に会った時は女子用の制服を着ていたはずですが、いま目の前にいる扇は学ランを着ており、さらには扇からは「初めまして!」と言われてしまいました
明らかに会ったことがあるものの、扇がそういうのであればそうに違いないと思うことにしつつ、扇からは「これから学校に行くのかい?」と続けて声をかけられました
ジャージ姿で学校に行くわけは無いし、そもそも不登校中でもあるので、外にいる理由は特に話すことはせず、その場を離れようとする撫子でしたが、その後ろから扇に「さっき制服姿の千石ちゃんを見掛けたからてっきり」と言われたことで思いっきりUターンをして扇の元へと駆け寄りました
お、扇さん!
”その私”がいたところに”この私”を案内してください!――私、”私”を捜してたんです!
「”私”が”私”を探す」というよく分からないことを言う撫子でしたが、その理由を知るには少し時間を遡ることになります
感想&解説
冒頭のナレーションの部分は省いて本筋のところから書き始めさせていただきましたが、その冒頭の部分で少し触れるのであれば、撫子がいう「これだけキャラがブレている登場人物」というのは他の作品でも中々いない気がします
性格的な部分や見た目的な部分はもちろんのこと、言っていることとやっていることも違えば、自分を呼ぶ呼称すら違うし、なんなら好きな人に対しての接し方ですら登場するたびに変わっていますからね
ここで余接が「いつでもどこでも誰とでも、ずっと同じ性格のやつがいたらそれこそ異常」と言っているのも分かりますが、それにしても変わり過ぎな感もあります(笑)
多くの登場人物の場合、「このキャラと言えばこれ!」というものが存在すると思いますが、千石撫子の場合、「この時期の千石撫子はこれ!」みたいな時期ごとによってキャラクター性があるキャラのような感じがしますし、それでいて、それこそが千石撫子と思わせる特徴は一つの個性なのかもしれません
そう考えると漫画家を目指している今のほうが明確な”私”を持っている分、個性がなくなったとも言えなくもないかもしれませんね
そんなナレーションから始まり、そして既視感抜群の登場を果たした忍野扇
オフシーズン初登場となりますが、安定の何を考えているのか分からない気味の悪さがありますね(褒めてます)
何でも分かっている風なのにもかかわらず、「僕は何も知らないよ」という読めなさ加減もさることながら、彼が齎す情報は往々にして重要だったりするファクターさ加減は今回も顕在でした
今の撫子にとって重要な情報となる”私”情報を得たことで始まった波乱の”自分探しの物語”が開幕となります
ここでの解説は2つ
1つ目は省いてしまったナレーション部分からで、斧乃木余接が「ずっと同じ性格のやつがいたら異常」ということを言っていますが、原作だとこの解釈はもっと具体性を持って説明しています
そして、それは辛辣に且つ危険視するほどに異常だと言っている内容にもなっていました
「いつでも、どこでも、誰とでも、ずっと同じ性格で通せる奴なんて、いたらそのほうが異常だと思うけれどね。いたらそいつは排除すべき危険分子だよ。どんな人でも、どころか神様だって、機嫌のいいときと悪いときはあるだろう――その日、体調が悪ければ、口のききかたは乱暴になるかもしれない。電話を受けたとき寝起きだったら、ぞんざいな対応を取ってしまうかもしれない。晴れてるか雨が降ってるかで、バイタルも変わってくるかもしれない。孫が誕生した瞬間だったら、許しがたい巨悪さえ許せるかもしれない。余所でしくじった直後で、埋め合わせをしたい気持ちかもしれない。誰しも感情があるし、たとえなくても、状況はある。常にフラットでいるなんて、不可能だよ――しかも、受け取り手にもコンディションはあるしね。聞くほうに聞く気がなければ、どんな箴言(しんげん)も戯言(ざれごと)だよ。そして誠に残念なことに、こういう事実は何ら言い訳にもならず、僕達は、それらすべてをひっくるめて、己自身として背負わなくちゃならないんだ」
原作小説『撫物語』より引用
人と言っても良いし、生きているものと言っても良いですが、そういったものは基本的に短期的にも長期的にも常に変化しているものです
「優しい人」とか「怖い人」とか「面白い人」といった大まかな印象は同じだと思いますが、それでも日によって度合いが変わってくるのは事実です
多少極端な捉え方にはなりますが、仮にその度合いでさえ、いつでもどこでも誰にでも同じ人がいるのであれば、それはもはや”生きている”とは言えない機械のようなものな気がします
もしくは、何か企みを持って接している危険な何かですかね
少なくとも、そういった変化のない人に対して信用すると言うのは難しいのかなと感じた余接の解釈でしたね
そして2つ目は、撫子と扇が接触しそうになったシーンについてです
このシーンに関しては過去の〈物語〉シリーズを視聴したことがある人にとっては記憶にもある場面かと思いますが、これは〈物語〉シリーズ セカンドシーズンの中の一つである『囮物語』の際の撫子と扇の出会いのシーンと同じになります
それに関しては多くの人が気付いたかとも思うんですが、このシーンに関して凄いのはその『囮物語』の時と立ち位置や動きの構図、カメラワーク、差し込まれる絵の描写に至るまでほぼほぼ一致しているという点です
これに関してはすでに言われている人もいたので、試しに二つを見比べて見てみたんですが、あまりに同じ過ぎて笑っちゃいました(笑)
撫子の悲鳴のあげ方や扇の細かなセリフなどといった微細な部分の違いはありますが、それ以外の扇が壁にぶつかった時の姿や撫子の振り向きざまの構図、自転車や撫子や扇を映す時のカメラワーク、場面切り替えのタイミングなどもほぼ同じなんですよね
ここのシーンは新たに描き直して今回放送していると思いますが、こういった細かな点にもこだわっている辺りがこの作品らしいなと感じた点ですね
一万時間の法則とご両親からの宣告
”一万時間の法則”
どんな分野でも、一流と呼ばれる人たちは必ず”一万時間”の鍛錬を積んでいるという調査結果があるそうです
それだけの数字を聞くと絶望的な感じがしますが、裏を返せば、かなり大雑把でざっくりと計算すると約一年間努力をし続ければ一流になれると言うことでもあります
しかしそれは希望的観測であり、人は24時間ぶっ通しで鍛錬を続けるわけにもいかず、出来たとしても1日8時間程度であり、そうなると三年と言う月日が生じてきます
その数字は人によっては適度にうんざりする年月ですが、それでも出来ない年月ではありません
ただし、当の千石撫子に関してはもはや三年という月日も残されていませんでした
なぜなら、両親から「中学校を卒業したら働きに出なさい」と宣告されてしまったからです
三年どころか一年足らずしか猶予が無い状態に追い込まれてしまった撫子でしたが、彼女はそのことを斧乃木余接にも話しました
余接は先日の蛞蝓の件以来、週4で部屋に遊びに来るようになっていましたが、その話を聞いた彼女は「ようやく両親も重い腰をあげたのか。それは言祝ぐべきだね。おめでとうございます」と言いました
そして、あくまで努力をしている撫子を評価した上で、「努力は有料なんだよ」と語り、「中学卒業と言うのを一つの基準にするというのは親として全うだ」とも語りました
撫子自身もその辺りは重々承知しており、その上で、「中学卒業までに一定の成果を上げて親を納得させる必要がある」と話します
それを聞いた余接は、撫子の抱える問題である”時間が無い”という部分の解決策として2つの方法を教えました
1つ目は、自身の顔写真やプロフィールを漫画と一緒に投稿し、それを売りにしてデビューするということ
これに関してはもはや論外とも言える方法であり、撫子自身も「それはしない」ときっぱりと断りました
そして2つ目は、撫子自身が残り一年で”一万時間の努力”をするという方法
これに関してはすでに無理と言う結論に至っており、三年かかることを一年でやろうとするのであれば努力の量を三倍にするしかないと話します
それを聞いた余接は、2つ目の方法の真意を話し始めました
「努力の量を三倍にするんじゃなくって、お前の人数を三倍にすればいいんだよ」
感想&解説
作中でも撫子や余接も「真偽はわからない」とか「眉唾もの」と言っていますが、”一万時間の法則”というものはあくまで定義や目安みたいなものだと自分も思います
何かを成そうとするのであれば、それくらいの努力量をこなす覚悟と決意が必要であり、また「一流の人でもそれくらいの努力をしてきたんだ」と思えれば、ある程度の努力に対するモチベーションは保たれる気がしますしね
ただしそれは、「時間があればの話」でもあるのは事実
これまで散々甘やかされ続けてきた撫子に訪れた突然の”働け宣告”とそれによって生じたタイムリミット
もはやその努力する時間すら無くなってしまったかのように感じる中で、余接が提案した2つ目の方法は中々突飛でしたが、興味がそそられる展開でもありましたね
ここでの解説は原作から2つとアニメから1つ
まずは原作1つ目ですが、アニメでは余接が撫子の部屋に遊びに来ているという説明のみで余接の来訪理由が終わっていましたが、実は遊びに来ている理由は余接が月火の愚痴を言いに来ているというのが大きいです
というのも、余接は月火を見張るために阿良々木家に滞在していますが、その仕事と言うのは想像以上に精神的に過酷なもの
月火の友人である撫子ですら「そんな過酷な仕事がこの世にあるでしょうか」と原作では言うほどですし、今までの月火の行動や性格を知っていればその過酷さもわかるってもんです(笑)
死体人形で感情も無い余接ですら「阿良々木家にずっといると、頭がおかしくなりそうなんだよ」と言わしめる程なので相当なんでしょうねw
そう考えると、前回、千石撫子と関りを持てたことは余接にとってかなり大きなことだったようです
次に原作2つ目ですが、余接がデッサンモデルをしていたシーンの補足になります
ここのアニメ描写に関しては原作でも描かれていた部分になっており、大仏の姿や『サモトラケのニケ』はアニメオリジナルでしたが、『考える人』のポーズに関しては原作通りです
元々死体人形である余接は疲れを知らないので長時間同じ姿勢でも問題無く、どんなポーズもお手のもの
さらにいうなら余接は体の部位を取り外したり、『例外のほうが多い規則(アンリミテッド・ルールブック)』によって小さくはなれなくても一部を大きくすることも出来ます
そのため、『ミロのビーナス』のポーズを取る際は両腕をパージするという驚きの再現度を見せたりしたこともあったそうですし、『例外のほうが多い規則(アンリミテッド・ルールブック)』に関しては「これをこんな平和利用してもらえる日がくるなんて思わなかったぜ」と原作では余接が語っていましたね
そしてアニメ描写での解説ですが、それは作中で登場した『よしよし』という雑誌に掲載されていた作品について
この『よしよし』というのは少女マンガ雑誌の『なかよし』をパロディにしたものだと思いますが、実はそこに掲載されていた作品名もまた、実際に『なかよし』に関係している作品名をパロディしたものでした
ここで登場していた作品数は17作品あり、「アニメで登場した作品名=実際の作品名」の形でまとめるとこうなります
ちなみに、今回使われた『よしよし』の表紙は『なかよし』の2023年7月号だと思われ、アニメだと右上の月の部分が「6」になっていますが、表紙に掲載されている作品名の並び順的に間違いないと思います
特典に関しても、アニメだと「メモリアル★コンパクトミラー」になっていますが、実際の方は「七夕★メモリアル扇子」と似通っている部分もあるので、この『よしよし』のパロディの元ネタはこれでほぼ間違いないと思います
4人の”千石撫子”を描きなさい
「お前の人数を三倍にすればいい」という余接は、その意味が全く分からない撫子を置き去りに話を続けます
基本的にマンガ家の仕事と言うのはアシスタントを含めて行う共同作業であり、その共同作業を行う上で、コミュニケーション能力は非常に重要
ただし、撫子はその能力が皆無なので他人とのコミュニケーションはほぼ不可能です
しかし、他人とはコミュニケーションは取れなくても、”自分”となら出来るだろうということ
そして、3人だと心許ないから本人も含めた5人なら、努力も、努力の成果も一年足らずで何とかなるのではないかと言うことでした
それを聞いたところでいまいちピンとこない撫子でしたが、余接が言うには自分自身の式神を使ってそれを行うと言うことらしいのですが、それでも、そもそもそんな技術すらない撫子に「式神を作れ」というのは無茶な話ではありました
ただ、余接も無根拠でこんなことを言っている訳ではなく、先日の蛞蝓の件での撫子の異才に着目して今回の提案をしていると話します
彼女が描いた蛞蝓豆腐は想像以上のパワーを持っており、それは一つの画力の証明にもなっていたのではないかと話す余接
それに付け加えて、その異才を元締めである臥煙伊豆湖に見せておけば庇護下に加わることが出来、完全に無害認定されているわけではない撫子の安全も保障できるかもしれないとも話しました
うまく言いくるめられているような感じがするものの、撫子は余接の提案を飲み、4人の自分をスケッチブックに描くことにしました
その際にそれぞれデザインを変えるように指示を受けた撫子は、髪形と服装を変えて過去の自分を描きます
その4人にはそれぞれ名前も付けられ区別がつくようになされました
そして、現在の撫子を「今撫子」として、”4人の撫子”の下書きを終えた撫子は、これからの将来と進退の為に、魂を込めて清書を始めます
描きますよお、えいやっ!
感想&解説
あまりに突拍子もないことではありますが、そもそものこの発想自体は『愚物語』の時の”蛞蝓豆腐”から来ているという点を考えると、あながち余接の提案自体も分からなくはない気もします
撫子が描いた蛞蝓豆腐のパワーはこれでもかと言うくらい見せてもらいましたし、何より余接自身も「漫画家として意外と大成するのかもな、あいつ」と言うほどの画力ではあったので、今回の”4人の撫子”が見事に顕現した理由も納得です
そしてその”4人の撫子”ですが、もうとにかく懐かしかったですね(笑)
最初期の”おと撫子”もそうですが、〈物語〉シリーズにおけるボスキャラとまで言わしめた”神撫子”など、もはや千石撫子オールキャストともいえるこの面々はテンションが上がりました
また、冒頭のナレーションでも「キャラがブレブレ」と言っていましたが、それもまた視聴者の認識的にも具体化したようで、ブレ度合いの分かりやすさと言う点でもこの”4人の撫子”の登場は中々良かったように感じました
あと、ここのパートで登場した多くの演出の数々がこれまたシャフトらしさに溢れていたように感じましたね
「5人」という所で余接が全身で”5”を表現していたり、式神の説明で日本画風の見せ方をしてきたりと、言葉だけでなく絵としても分かりやすく伝えてくるこの細かな遊び心は、見ていて非常に面白かったです
ここでの解説は原作から2つしていきます
まず1つ目が、この斧乃木余接が提案した「”4人の千石撫子”と一緒に漫画を描く」という展開は、”とある有名作品”にも似たようなエピソードがあり、原作では撫子もその事について言及しています
その有名作品というのは『ドラえもん』
この『ドラえもん』の数あるエピソードの中に「ドラえもんだらけ」というタイムパラドックスを描いたとされるエピソードがあります
私自身、そのエピソードを知らなかったので、調べた上でざっくり内容を説明すると、のび太がドラえもんに大量の宿題を任せて眠りにつくと、翌朝、宿題は終わっていたものの、ドラえもんは傷だらけになっていて、その理由が気になったのび太はタイムマシンを使って前日の夜に行くことにします
するとそこには2時間後、4時間後、6時間後、8時間後のそれぞれ違った時間軸のドラえもんが5人いて、のび太の大量の宿題をこなすというエピソードです
このエピソードを調べて、オチを見た時はそのカオスっぷりと藤子・F・不二雄先生の発想力に驚きましたが、確かに本筋というか、ストーリーの起点としてはこの「ドラえもんだらけ」と「なでこドロー」は似ているなと感じました
そして、私は知りませんでしたが、この「ドラえもんだらけ」は数多くある『ドラえもん』のエピソードの中でも有名なエピソードらしいので、もしかしたら今回の「なでこドロー」を見た時に「あれ?これって…」と思った方は、あながち間違いではないです
そして2つ目が、”逆撫子”の名称は『撫物語』ではなく、アニメ版の副音声からの逆輸入だということ
これに関しては原作だと、”逆撫子”という名称について撫子自身がこういう風に語っています
それ(逆撫子)、公式用語になっちゃうんですね。
原作『撫物語』より引用
それこそアニメ版の副音声で、そんな呼ばれかた(呼ばわれかた)を(よりにもよって実行犯である他ならぬ月火ちゃんからも)しているとは聞いていましたが。
実際、『囮物語② なでこメデューサ(下)』の副音声はファイヤーシスターズこと阿良々木火憐&月火のコンビでお送りしており、その中であのキレた状態の撫子を「逆撫子」と言っている場面はありました
ただ、あくまで名称と言う意味合いでは実はこれよりも前に”逆撫子”というのは登場しており、それが2013年9月21日に読売新聞にて掲載された「なでこミラー」という短々編になります
こちらは〈物語〉シリーズ セカンドシーズンの放送を記念して、各物語が放送される際に、そのヒロインにちなんだ新聞広告(短々編)が掲載される企画があり、その短々編の内容はどれも共通して”本”にまつわるものになっていました
その内の一つである「なでこミラー」は、千石撫子が『ジキル博士とハイド氏』について語ったもので、その語りの相手は月火でした
その際に、互いに真逆の性格をしているジキルとハイドにちなんで、月火からこんな質問がありました
月「撫子ちゃんだったら、どう?もしも自分と正反対の性格の子が目の前に現れたら、その子のこと、好きになれると思う?」
「なでこミラー」より引用
撫「え……どういう意味?」
月「だから、真逆の撫子ちゃん。逆撫子(さかなでこ)ちゃんとご対面したとき、仲良くできると思う?そういう子と、合うと思う?」
ここでいう”逆撫子”というのは、あくまで”真逆の性格をした撫子”という意味合いになるので、今回のキレたバージョンの撫子とはまた違うものになりますが、意外と”逆撫子”という名称自体は以前から使われているんですよね
逃げ出した4人の”撫子”
時間は戻って撫子と扇
「えいやっ!」と気合を入れて描いた撫子でしたが、事態はそう上手くはいかず、逃げ出してしまった”4人の撫子”を捜しまわっていたところで手に入れた扇の情報を元に、二人で制服姿の撫子を見掛けた場所へと向かいます
その道中、扇から「なぜ逃げ出してしまったのか?」ということを聞かれます
ことの経緯としてはこうです
首尾よく”4人の撫子”の式神化を成功させた撫子と余接でしたが、そもそも大前提として忘れていた部分がありました
それは、「漫画家になるために努力する」というのは現在の撫子のスタンスであり、過去の撫子たちはそれが一切なく、どころかひたすら隠そうとしていた頃の撫子達が”4人の撫子”でした
その為、一致団結とは程遠く、むしろ互いが互いを自己嫌悪するという最悪の状況になり、その結果、四散するように逃走し、現在に至るという訳です
逃げ出した撫子達を捕まえないと町がパニックになると考えていた”今撫子”ですが、扇からは「そこまでになるようなことはないと思うよ」と言われつつ、「ただ、問題行動を起こしたら、それは”今撫子”がその責任を追わなきゃらない」とも言われ、”今撫子”は一刻も早く”4人の撫子”を捕まえなければと決意します
そんな話をしていると、扇が制服姿の撫子を見掛けた場所へと到着
その場所は千石撫子がよく知る場所であり、今では行きにくくなった場所でもありました
扇さんが私を目撃した場所。そこは、私のよく知る場所でした。公立七百一中学校の、校門前です。
感想&解説
見事見事に大惨事(笑)
まあ、他人事なので”(笑)”なんて付けてますが、実際問題、当の千石撫子としては一大事以外の何ものでもないですよね
それこそ扇も言っていますが、仮に”4人の撫子”が何かをやらかしてしまった場合、それは全て今の千石撫子が責任を負わなければならないのですから
ことが起きてしまった原因自体、自身で招いたことではありますが、それ以外にも今まで責任逃れをし続けてきたツケが回ってきたかのような今回のエピソードは、見事に千石撫子という一人の人間の”清算の物語”といった感じがしますね
そしてその一つ目の清算の場所が、何もなければ今も通い続けていた公立七百一中学校
制服姿の撫子はここで何をしているのか?
そして、今の撫子は無事に”4人の撫子”を捕まえることが出来るのか?
今後の展開や”今撫子”の大活躍に期待しながら次回をお待ちください!
なお、ここのパートでの解説はありません
前回に引き続き、今回も最後のパートで解説なしというのも心苦しいですが、比較的に原作通りの内容や描写だったりするので致し方無し…
次回以降はなるべく解説出来るパート切りを心掛けたいものです
まとめ
『撫物語』「なでこドロー 其ノ壹」の感想&解説でした!
今回の〈物語〉シリーズはオフ&モンスターシーズンと銘打って放送が開始されましたが、そのオフシーズンの中でも、実はこの『撫物語』が個人的には一番のお気に入り作品です
そんな中での「なでこドロー 其ノ壹」の視聴をしましたが、これまでの〈物語〉シリーズを彷彿とさせるような演出面や細かなこだわりなど、『愚物語』「つきひアンドゥ」に引き続き、大満足の一話となっていて非常に嬉しかったです
そして、今回だけでもかなりの量を喋っている花澤香菜さんですが、この後はもっと大変だったと思います
なぜなら”4人の撫子”を演じ分けながら、現在の撫子とナレーションもしなければならないから!
これまで多くの作品でも名演技を見せてくれた花澤香菜さんですが、今回の『撫物語』でもその名演技っぷりを楽しみにしつつ、この後のエピソードも堪能していきたいですね!
そして、本筋とは関係がありませんが、今回の『撫物語』のアイキャッチはストーリー仕立てとなっていて、これもまた今後の展開が気になるような一つの楽しみとなったので、そちらも併せて『撫物語』を楽しんでいきたいと思います!
次回は『撫物語』「なでこドロー 其ノ貮」になります
「制服姿の撫子を見た」と言う忍野扇とともに、千石撫子は目撃場所の公立七百一中学校に到着。不安を抱えながらも、校内へ足を踏み入れた撫子。彼女が目撃したその光景は意外なものだった。
〈物語〉シリーズ オフ&モンスターシーズン公式サイトより
それでは今回はこの辺で!
また会いましょう