〈物語〉シリーズ オフ&モンスターシーズン

『愚物語』「つきひアンドゥ」感想&解説!待ちに待ったオフ&モンスターシーズンがついに開幕!

どうもウハルです!

今回は〈物語〉シリーズのオフ&モンスターシーズン『愚物語』の「つきひアンドゥ」の感想&解説を語っていきたいと思います!

まずはじめに、長いこと続編を待ち望み、オフ&モンスターシーズンの制作が決定した後もドキドキしながらこの放送日を待ち望んでいた中での率直な感想ですが…

そもそもこの〈物語〉シリーズが好きだからという偏見にも満ちた部分もあるかもしれませんが、それでもかつての〈物語〉シリーズでも味あわせてくれた巧みな言葉遊びや独特の映像表現、多彩なカメラワークや動きで見せる作画などで大いに魅了されました

また、原作既読でありながらも文字ではなく絵で見せてくれる新たな解釈や、所々で挟まれるメタネタ描写の数々も顕在であり、その表現力とユーモア性の高さには改めて感服させられっぱなしでしたね

そしてそれらの映像的な部分のみならず、今までの〈物語〉シリーズに引き続き、音楽を神前暁さんが担当されたというのもあって、耳でも楽しめる内容だったのも凄く良かったです

さらには今回のオフ&モンスターシーズンのエンディング主題歌であるYOASOBIの『UNDEAD』も素晴らしく、しかもその映像がこれまで同様ウエダハジメさんが担当されたというのがまた嬉しかった!

そういった諸々の点からも最高だったと感じましたし、何より「また〈物語〉シリーズが楽しめる!」という期待感を持たせてくれるには十分な初回だったと感じましたね

そんな〈物語〉シリーズのオフ&モンスターシーズン『愚物語』の一つ「つきひアンドゥ」の感想&解説をしていきたいと思います!

なお、私自身は既刊分は全巻既読済みの状態なので、この先のエピソードに関してはネタバレ無しで書かせて頂きますが、「つきひアンドゥ」自体のネタバレは大いに含みますのでご注意ください

また、この作品はABEMAでの無料独占配信(2024年7月時点)となっているので、「『オフ&モンスターシーズン』を見てみたい!」と感じた方はABEMAで無料で見ることも出きますし、この作品以外の見逃し配信やCM無しで見たい場合は月額960円のABEMAプレミアムで多くの作品を楽しむことも出来ますので興味があれば是非!

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最後に、今回のオフ&モンスターシーズンに興味を持ち、アニメや原作含め、これから〈物語〉シリーズに触れていきたいと思っている方は、以前に〈物語〉シリーズのアニメをまとめた記事原作小説をまとめた記事を書いたことがあるので、よろしければそちらを参考にしてみてくださいね

『愚物語』とは?

著:西尾維新, イラスト:VOFAN

”それじゃあ、僕の勝利を祈っていて。この世界と、きみが愛する人達のために”
阿良々木暦を監視する式神童女・斧乃木余接。死体の付喪神である彼女が挑む、命がけの死闘とは!?<物語>は育ち、走り続けて燃え盛る!
青春は、いたみ平和ピースのくりかえし。

原作『愚物語』巻末より引用

『愚物語』は原作小説における19作品目のシリーズ作品(番外編を除く、上中下巻なども含めて)になり、3つのエピソードで構成された短編集になります

そのエピソードというのは「そだちフィアスコ」「するがボーンヘッド」「つきひアンドゥ」の3つです

掲載順としては記載した順番となっており、今回のアニメに関しては第3話の「つきひアンドゥ」から始まった形になります

エンディング主題歌『UNDEAD』

アーティストYOASOBI
作詞・作曲・編曲Ayase

今回のオフ&モンスターシーズンの主題歌を担当されるのは『【推しの子】第1期』や『葬送のフリーレン 第1クール』など多くのアニメ作品の主題歌を担当したこともあるYOASOBIが担当

こちらの楽曲は7月1日より先行配信され、それと同時にこの楽曲の元となっている西尾維新先生書き下ろしの短々編「なでこパスト」「しのぶフューチャー」が公開されました

〈物語〉シリーズ公式サイト:西尾維新書き下ろし短々編「なでこパスト」「しのぶフューチャー」

こちらの楽曲に関しては、短々編も読んだ上で曲も聴かせて頂きましたが、相変わらずの表現度の高さに驚きました

というか、聴きようによっては”耳で聴く〈物語〉シリーズ”と言ってもいいのではないかと感じたほどです(原作小説はAudible版もありますが、それとは別に)

過去に色々とやらかした千石撫子の葛藤を描いた「なでこパスト」が1番で、不死の吸血鬼の忍だからこそ果ての無い未来に絶望する内容を描いた「しのぶフューチャー」が2番になっており、それをカウンセリングと言う形で見聞きする斧乃木余接の視点で語られているかのような歌は本当にお見事でした

また、その斧乃木余接が過去のシリーズ作品で言った名言も歌詞に含まれているのがさらに凄い!

「不幸に甘んじて 満足するなよ 幸せになろうとしないなんて 卑怯」と言う歌詞は『終物語 しのぶメイル』にて余接が阿良々木くんに言った名言の一つですが、この言葉は個人的に〈物語〉シリーズにおいても屈指の名言の一つと思っているのでかなり嬉しかったですし、聴くたびに心に刺さってきます

またアップテンポな曲調も素晴らしく、この軽快なノリがまた凄く良かったですね

そして、安定のウエダハジメさんがイラストを担当するエンディング映像がこれまた素晴らしい!

もう何度でも見れるどころか、今後何度でも見るであろうこの映像は本当にドストライクでした

そして、このエンディングが流れた時に思ったのが、もしかしたらエンディングは『愚物語』&『撫物語』と『業物語』&『忍物語』でそれぞれ違うバージョンで流れるのではないかと言うこと

過去に『偽物語』という作品が放送された際のエンディング主題歌はClariSの「ナイショの話」だったんですが、その時は「かれんビー」と「つきひフェニックス」でバージョン違いの映像が流れたことがあったんですよね

またオープニングにはなりますが、『猫物語(黒)』にて第参話だけ2番が流れると言った感じで、内容に合わせて主題歌にも意味のある変化をつけてくるのが〈物語〉シリーズという作品です

この『UNDEAD』の1番で撫子、2番で忍が描かれているように、『愚物語』「つきひアンドゥ」&『撫物語』は余接と撫子、『業物語』&『忍物語』では忍がメインとなるエピソードとなっており、今回のエンディングもそれに合わせて変化をつけてくるのではないかと感じているので、本編だけじゃなくエンディングにも注目しながら見ていきたいですね

「つきひアンドゥ」感想&解説

お前のほうが怖いよ

〈物語〉シリーズ オフ&モンスターシーズン公式サイトより

阿良々木家に身を寄せるようになった斧乃木余接

二月から阿良々木家にいるようになってから半年が過ぎようとしている中で、観察対象は阿良々木暦ではなく、”しでの鳥”を宿す阿良々木月火へと移っていました

そんな月火は元々姉である火憐と同室ではあったものの、火憐の高校進学と同時に1人部屋となっていました

その為、余接の監視もいくらかやりやすくはなっており、そんな余接にロリコンである暦は連日のようにアイスを差し入れていました

そもそも死体の怪異である余接に食欲というものはありませんが、人間の振りをするという行動自体に意味がある為、暦のアイスをありがたく頂戴していました

もちろん、人形だと思い込んでいる月火が居ないところで

そういった条件があった中、今日も暦から差し入れられたアイスの蓋を舐めるくらい余裕が出来ていた頃に事件は起きました

「きゃ、きゃあ!なんとなく気が乗らなくて登校中にUターンして家に戻ってきたら、私のぬいぐるみがアイスクリームを食べてる!?」

余接の油断と言うのもありますが、あまりにも自由過ぎる月火の行動

しかしプロである余接は慌てることなく、咄嗟にアイスを投げ出し、ぬいぐるみの振りをします

ただ、さすがの月火もそんなことで騙されることはなく、検分するように触りまくりますが、もはやぬいぐるみと化した死体人形の余接は微動だにしません

あまりの無反応さに月火は首を傾げながら部屋を出て行き、余接も少し胸を撫で下ろしたのも束の間、戻ってきた月火は料理で使う鉄製のボールを両手に持っており、そして中に入っていた大量のサラダ油を余接にぶっかけました

ぬいぐるみの振りをしているため避ける事も出来ず、全身油まみれになった余接ですが、月火の行動はそれに止まらず、鼻歌を歌いながら手にしていたマッチに火をつけ、カウントダウンをし始めます

もはや狂気じみた行動ではあるものの、それでも余接は動くことなくその場に止まっていますが、火の付いたマッチはどんどん近づいてきます

そして、カウントも残り2になったところで、月火は短くなったマッチの火の熱さに思わず手を離し、火が付いたまま放り投げてしまいます

その行動にはさすがの余接も動かざるおえなくなり、ベッドの上に転がっていたアイスを手に取り、そのまま宙を浮かぶマッチをカップでキャッチして鎮火

そのまま着地したものの、油まみれの体だったので、足元が滑ってそのまま転んでしまいました

そんな余接の動きを見た月火は「やっぱりぬいぐるみが動いた!なにこれ、超怖い!きゃあああ!」と絶叫しますが、逆にそのセリフを聞いた余接は、この状況を見ているであろう全ての人が思っていることを心の中で唱えました

「お前のほうが怖いよ」

感想&解説

もはや月火の行動は誰にも読めないし、読めたらきっと危ない人です(笑)

それくらいの恐怖感を煽る月火の行動に対して、「お前のほうが怖いよ」は共感しかないですし、なんならこのセリフが出る前に「月火怖い…」って思ったくらいですw

あと、これはアニメでは語られず、原作で余接が思っていた事でもありますが、そもそも「ぐふふ」とか「うけけ」って笑うヒロインなんてそうはいませんよね

見た目の可愛さに反して、「こいつに触ると火傷する」を地で行っているようなヤバさ全開の月火が異常なまでに印象的だったパートでした

このパートでの解説はやはり、その狂気性に満ちた月火を前にしていた時の斧乃木余接の心境でしょうね

アニメでは月火の行動に描写が当てられていて、余接の心境までは登場してきませんでしたが、原作だと余接はガッツリとこの時の心境を語っています

そもそも今回、月火が取った”火をつける”という行動は死体人形である斧乃木余接にとってはかなり的確な対処法でした

もともと死んでいる余接は”感覚”というものがないので、殴られようが蹴られようが全く問題ありませんが、実は燃やされるのだけは非常にマズい

なにせ死体のため、燃やされてしまっては浄化され、成仏してしまいかねないから

そんなほぼ唯一といっても良いほどに的確な対処法を取る月火のヤバさを感じつつ、人形が生きているかを確認するために火をつけるという行動に出ること自体にもヤバさを感じていましたね

「怪異でもしねーよ、そんなこと」って原作では言ってるくらいです(笑)

また、視聴した人で何人気付いたか定かではありませんが、月火が部屋に戻ってきた時に持ってきていた物を覚えていますか?

大量のサラダ油が入った鉄製のボール火をつけるためのマッチ

そう…彼女はこれ2つだけしか持ってきておらず、消火用の水を持ってきていない状態で油を人形にぶっかけて火をつけようとしてたんですよね…しかも自宅の部屋で…

そこを考えても、月火のヤバさが際立つ気がします(汗)

一応、余接がこれまでの月火を観察してきた結果、そこまでバカな人間ではないし、きっとマッチの火を消すだけだからスポイトぐらいの小さな容器の中に水を入れてポケットにしのばせていると結論付けましたが、その答えは原作でも定かにはなっていません

魔法少女よつぎ

〈物語〉シリーズ オフ&モンスターシーズン公式サイトより

なんとか月火を誤魔化す為に自分を「異次元から来た正義の魔法少女」と名乗ることにした余接

あまりに急ごしらえの設定ではあったものの、月火はその話を鵜吞みにして信じてくれました

どころかむしろ興味津々となってしまい、余接の話をもっと聞こうとしてきますが、そもそもそこまで設定を作り込んで話を始めたわけではないので、目の前のモデル(月火)を参考に魔物をでっち上げました

そして、これ以上風呂敷を広げてややこしくするわけにもいかなかった為、さっさと切り上げてこの場を去ろうとしたところ、月火からまさかの提案が出されます

それは、一緒に魔物を倒すということ

あまりに想定外の事態に口調も変わってしまうくらい動揺する余接でしたが、ノリノリになってしまった月火を止めることは誰にも出来ず、とりあえず時間稼ぎの意味も込めて月火には学校に行ってもらい、残った余接はどう収拾をつけるか考えることにしました

感想&解説

冒頭のヤバさよりも、この”人の話をまったく聞かない感じ”こそが月火らしいと思ってしまいましたw

生まれてこの方、真剣に人の話を聞いたことが無い月火は、やっぱり話を聞かない人間のままなようです(笑)

それにしてもこの行動力と動いたらひたすら突っ走る感じはもはや感心のレベル

無表情であるはずの余接が目を泳がせるほどに動揺するって相当だと思います

しかも、パニックになり過ぎて魔法少女という設定からさすらいの浪人みたいな「否」とか「いかぬ」って口調に変化してしまうくらいですしね

そこがまた月火の魅力でもありつつ、怖いところでもありますw

そして、ここのシーンで使われた劇伴が魔法少女感全開で凄く内容にマッチしていて良かったです

他のシリーズ作品でもこの音楽は使ってなかったと思うので、このシーンのためだけの音楽なんでしょうね

ここでの解説は原作から1つ描写表現から1つ

まず原作の方ですが、余接が魔法少女を名乗った理由は実は二つありました

一つは、余接は上司である臥煙伊豆湖から阿良々木くんを除く阿良々木家の家族には「正体がバレないようにしろ」と言われており、その解釈として専門家の助手であり、怪異であることがバレてはならないという意味だと捉え、であれば、「正体を見間違われる分はギリギリセーフでしょ?」という考えだったということ

そしてもう一つが、もし仮に正体を見間違われるために別の怪異を名乗った場合、『くらやみ』が来襲する可能性が非常に高かったからです

その辺りを考慮した結果、魔法少女を名乗ることにしたという訳です

ちなみに、魔法少女の設定を話す際は、阿良々木くんが好きなプリキュアシリーズに寄せようとしたみたいですが、素養自体が無かった為、適当な設定になったそうです

次に描写表現の方ですが、至るところで『魔法少女まどか☆マギカ』の表現が使われていたというところです

これに関しては気付いた人も多そうですけどね(笑)

月火の部屋にあったモニターの『魔法少女よつぎ☆ピース』とかはそのまんまでしたw

また、時々差し込まれていた雑誌の掲載記事みたいな部分も『まどマギ』で使われていた紹介記事です

実際の画像は紹介出来ませんが、「ドキドキの魔法タイム まどマギ」で画像検索すると出てくるので、気になる方は調べてみると良いかもしれません

アニメ制作が同じシャフトだからこそ出来るこのネタは、かなり驚きつつも爆笑しましたねww

ちなみに、余接が魔法少女に変身してポーズを取っていたシーンですが、あれは原作小説『愚物語』の表紙のポーズです

手に持っているステッキも含めて再現度の高いシーンでした

著:西尾維新, イラスト:VOFAN

千石撫子との初対面

〈物語〉シリーズ オフ&モンスターシーズン公式サイトより

一分後、余接は阿良々木家のご近所さんである千石撫子の家へとひとっ飛びし、自宅に引きこもり中の千石撫子に協力を仰ぐことにしました

というのも、今回の件に関しては月火を納得させる必要があり、その方法としては彼女の目の前で魔物を退治することが必要となるという結論に至ったからです

そして、その為には魔物役が必要不可欠であり、その魔物を手に入れるために千石撫子の元を訪れたという訳です

ただ、余接は千石の元へと訪れたものの、玄関から入ってくるわけではなく、千石の部屋の窓から直接侵入し、なおかつ千石は余接とは初対面だった為、急な来訪と言う意味もあって、千石は椅子から転げ落ちるほどに驚きました

そんな千石に余接は特に気遣うこともなく、今回の経緯の説明とその為に協力するように伝えると、千石は月火らしさを感じながら余接に協力することにしました

ただ、もはや神ではなくなった彼女に出来ることは少なく、千石自身も何をすればいいのか分からない状態でしたが、余接はかつて詐欺師の貝木泥舟が使った彼女の中に残っている”蛞蝓豆腐”という怪異の残滓に目をつけ、それを魔物として活用しようと考えていました

それを取り出す為に、千石に蛞蝓の絵を描いてもらうことにしますが、漫画家志望の千石は思っていたよりも本格的に描いてくれるようで、下書きから始めてしまいました

絵を描き終わるのにも時間がかかりそうだし、ただ待っているというのも退屈だったため、余接は世間話程度で千石に「漫画を出版社に応募とかしてないのか?」と話しを振りました

すると千石は応募自体はしたことがあるものの結果は出ず、インターネットのコミュニティにも投稿したことはあるけども、そちらも芳しくないということを話しました

もともと退屈しのぎで振った話題だった為、余接自身そこまで深く興味を示さず、「世の中そんなに甘くないってことだね」と話題を締めようとしました

それを聞いた千石もそれには同意しつつ、そして彼女なりの今の現状をこう語りました

「私は、世の中が甘くないことが、とても嬉しい」

かつて砂糖漬けのごとくに甘やかされてきた少女のその言葉を、余接は無表情に聞いていました

感想&解説

〈物語〉シリーズにおける全ヒロインの中で一番変化したキャラクターは千石撫子だと感じていますが、その中でも特に今の千石撫子が一番好きだなと感じたのがこの「世の中甘くないことが、とても嬉しい」と言った時ですね

人によっては甘やかされることを良しとする人もいるかもしれませんが、彼女の過去を見る限り、その甘やかされ方はまさしく過剰でした

だからといって本人自体はそれに甘んじていた訳ではなかったものの、それでも特に何かを変えようとする訳でもない

そんな彼女が多くの経験と失敗を経て、自ら前へと進んで行く姿は成長を感じましたし、素直に微笑ましく感じましたね

そして、今回の話で一番ネタ要素の多い描写が連発したシーンがここでしたね(笑)

『化物語』の円盤4巻のジャケットが登場したり、漫画版『化物語』の6巻を余接が読んでいたりとシリーズ関連のネタがここで出てきた時は驚きました

そして、再度漫画版の『化物語』が出てきた時は22巻の表紙だったので、「余接はそんなに待ってるの?」と別の意味でも驚きましたねw

また、アラレちゃんネタや『きんぎょ注意報』を描かれた猫部ねこ先生の画風が登場したりと、相変わらずのネタ描写にも笑わせてもらい、ここのシーンでも〈物語〉シリーズの健在さを思い知らされた気がします

ここでの解説は原作からで、余接が千石撫子の元を訪れることにした理由を解説します

アニメでは詳細は語られていませんが、そもそも魔物役として最初に余接が思い浮かんだ人物は忍野忍でした

彼女自身はもはや魔物には見えない容姿をしていますが、彼女の持つ物質具現化能力があればハリボテの魔物の一体くらいなら簡単に作ることが出来ます

ただ、彼女に頼むにしても問題がありました

余接と忍は不仲だという部分もそうですが、それよりも忍と一心同体である阿良々木くんに今回の件が伝わってしまうのは非常にマズい

月火を監視しているということは阿良々木くんにも秘密にしており、それがバレたら月火を守ろうとする可能性も出てきます

そこを考えて忍に手伝ってもらうことを諦めたものの、さらに言えば、同じ理由から阿良々木くんと繋がりのある人間は軒並みアウト

いっそのこと専門家に頼ろうかとも考えますが、この町には新たな神様である八九寺がいることによって平和そのものであり、怪異現象が起きにくい状態となっていた為、頼むこともできない

そこまで考えて白羽の矢が立ったのが千石撫子です

彼女は月火の幼馴染みであり、怪異経験者でもあるため色々と話が早い

さらに言えば、阿良々木くんの関係者の中でも縁が切れている数少ない人物でもありました

ほとんど余接の都合ではあるものの、ここまで考えて余接は阿良々木家から千石家へとひとっ飛びしたという訳です

彼女が引きこもりであり、在宅していること自体は月火関連の調査ですでに知っていたので、その辺りも都合が良かったようですね

ちなみに、千石撫子が描いた「キミとなでっこ!」実際に読めます

といっても、特典として描かれたものになるので単行本みたいな感じではないんですけどね

この「キミとなでっこ!」は作・西尾維新先生、漫画・遠山えま先生で作られたもので、読む方法は2つ

1つ目は〈物語〉シリーズのヒロイン本の一冊である千石撫子のヒロイン本で読む方法です

こちらはフルカラーで掲載されており、第一話が収録されています

2つ目が『恋物語 二巻 ひたぎエンド(下)』のブルーレイ&DVDの限定生産盤の特典として封入されている別冊ブックレットで読む方法です

こちらはフルカラーで掲載された第一話に加えて、第二話&第三話も収録されています

私自身、この「キミとなでっこ!」は両方で読んでいますが、率直な感想をいうのであれば、超絶甘々な王道詰め込み過ぎ少女漫画って感じですねw

まぁ、名作にはならなくとも迷作になりえて、歴史に残らなくても黒歴史には残ると言った感じです(笑)

ゴリ押しまではしませんが、撫子らしさ全開の内容ではあるので、興味があれば話のネタにでも読んでみても良いと思いますよ

vs蛞蝓モンスター

その日の夜、余接が戦いの舞台として選んだのは浪白公園

人気が無く、開けた場所と言う意味ではうってつけの場所であり、余接自身、他に適当な場所を思いつかなかったというのもあって選んだこの場所に結界を張り、月火と共に魔物を倒すための準備をしました

テンションが上がっている月火をよそに、余接は予め月火に頼んでいた塩を持ってきているか確認し、そしてそれを公園の砂場のほうで撒いてくるように頼みました

塩を撒けば魔物が反応して出てくるという話を信じた月火は、なんの疑問も持つことなく砂場へと向かいますが、そこには予め余接が仕込んでおいた千石が描いた蛞蝓の絵がありました

結界を張って雰囲気を出し、自ら撒いた塩で魔物が登場して、それを魔法少女が退治するという流れを見せれば”参加してる感”は十分だろうと感じた余接は月火の動向を陰ながら伺っていましたが、その時にふと千石が言っていた「世の中甘くないことが嬉しい」という言葉を思い出しました

生きている実感と言うのは人それぞれではあるものの、どんなに恵まれた人生を送っていたとしても、ある程度の不満や不安といった”人生の適度な難度”があるからこそ、人は生き甲斐と言うものを感じることが出来る

生きていない死体人形である余接自身にはその意味は全く理解できない感情ではありましたが、不死身の怪異を宿す阿良々木月火はどうなのだろうかと考えてしまいました

永遠の命を持つ不死鳥・”しでの鳥”にとっては生きていることが普通な訳で、死ぬことがない存在に、限りある人生の美徳を説くことはどれだけ残酷で侮辱的に響くのだろうかと…

そんな益体も無いことを考えていると、突然、月火の悲鳴が聞こえ、砂場からは巨大な蛞蝓が現れていました

サイズ感としてはここまで大きなものを想定していなかった余接でしたが、これは千石撫子の画力によるものが大きいと感じつつ、予定通り、『例外のほうが多い規則(アンリミテッド・ルールブック)』でその蛞蝓を木っ端みじんに吹き飛ばしました

そしてそのまま月火に手伝ってくれたお礼を言って幕引き…となるはずが、そうは上手く行きませんでした

吹き飛ばしたはずの蛞蝓豆腐が元通りに復活し、そのまま口から火を吐いて襲い掛かってきました

余接は月火の前に立っていたのでそれを避けるわけにはいかず、さらには体中がサラダ油まみれだった為、過剰に炎上しましたが、地面を転がり鎮火しました

ことごとく上手く行かないこの状況の原因や蛞蝓豆腐の特性などの考察をするものの、今はそんな状況でもないと、目の前にいる蛞蝓豆腐の退治を優先させることにし、攻撃を仕掛けてくる蛞蝓豆腐に塩をかける為に待ち構えていると、さらに予想外の展開へと発展

なんと月火が余接を助けるために自分の身を投げ出して庇いに来てしまったため、月火が蛞蝓豆腐の攻撃をもろに受けてしまいました

余接が死体だとも知らず、自分が不死身だとも知らずに命を投げ出す様子に「まるで阿良々木暦だ」と感じつつも、唯一の対抗策でもあった塩を落とし、さらにそれを蛞蝓豆腐に潰されてしまたため、もはや状況は最悪と言っても良い状態になってしまいます

行動するたびに”裏目”しか引かない月火の特性を考察しつつ、打てる手もなくなった余接はこのまま焼滅することを半ば受け入れてしまったものの、それはあくまで冷静な判断の話

気持ちの問題としては別で、すでに死んでいる身の上でありながらも、こういうことを感じてしまった自分に面白可笑しくもあり、またその新発見は余接にとっては斬新でもありました

とっくの昔に死んでいる死体でも、死ぬのは嫌で、超怖い、とそんな風に感じるなんて――

そんなことを思っていた時、目の前の蛞蝓豆腐が本当にパタンと折りたたまれる様に閉じられ消滅

その状況に困惑している余接の前に現れたのは、だれあろうこの町の現在の神である八九寺真宵でした

しょせんは絵に描かれたものである蛞蝓豆腐に対し、立体で戦いを挑んでいた余接でしたが、あくまで本体は平面である紙の方であることを八九寺によって気付かされた余接

そんなことにすら気付けなかった自分に余接は呆気に取られながらも、八九寺は神として、そして余接の友人としてピンチを見過ごすわけにはいかず、微力ながら助太刀に入ったと話します

そして、「つまり…」と言葉を続け、いつもの名ゼリフを紡ぎます

失礼。一枚、嚙みました

感想&解説

これまでの〈物語〉シリーズを見ている方は知っていると思いますが、斧乃木余接って戦闘力的にはかなり高いほうです

そんな余接に対して、相性が悪い相手だったとはいえ、ここまで追い込む蛞蝓豆腐って相当な強さだったのではないかと思います

そもそもデカい上にやたら動くは飛び跳ねるは押し潰されたら即死だはで面倒なのに、それでいて火を吐くって相当面倒ですよね

あと、原作だとこの蛞蝓豆腐の姿は「千石撫子が描いた萌えキャラっぽい蛞蝓」と書かれているんですが、思っていた以上に萌えキャラっぽくてちょっと笑いましたw

この蛞蝓を相手にしている時に、余接は火を使う理由を考察していましたが、もしかしたら萌えキャラ(燃えキャラ)という意味合いもあったのかもしれませんね

そして、良いところを搔っ攫っていった八九寺大明神の登場はやっぱりテンションが上がります!

見た目は幼いながらも中身は立派な成人女性になるほどの年月を過ごしている上に、阿良々木くんとのやり取りからも感じ取れる頭の回転の速さなどを考えると、蛞蝓豆腐自体の知識は無くとも、情報さえ手にしてしまえばある程度の対処法は思いつくんでしょうね

そんな八九寺の最後のセリフに関しては、いつもながら惚れ惚れする上手さ!

「失礼。嚙みました」の新バージョンはしっかりと更新させていただきましたよ!

ここでの解説は月火の服装についてです

今回余接を手伝うにあたり、月火は袴姿で登場しましたが、あれは自前ではなく借りてきたものになります

月火が通っている私立栂の木第二中学校には”なぎなた部”が存在し、そこから薙刀も含めて借りてきたと原作には書かれています

余接自身、そんなレアな部活があることに感心しつつ、竹で出来た模擬のものではなく本物の薙刀を月火が持っている図というのはやはり恐怖だったみたいですね

アニメでは薙刀を実際に振り回して危なっかしい感じで描かれていましたが、原作だとそういった描写はないです

ただ、恐怖感と言う意味ではアニメの方がより強い印象を受けたので、この描きは見事だなと感じた部分でした

後日談、というか今回のオチ

うまいことを言った八九寺は蛞蝓豆腐が描かれた絵の紙を折り畳み、それをリュックにしまってその場を去って行きました

そして余接はというと、肉体的には復活したもののスヤスヤと眠っている月火を背負って家へと戻ります

その道中、余接は今回の一件を分析し、ここまでことが悪化した原因は月火にあり、下手をすれば”しでの鳥”を危険指定する専門家もいるかもしれない事態へと発展していたことを分析していました

ただ、それを上司である臥煙伊豆湖へ報告することはせず、余接は経過観察をすることを選びます

その理由は、”しでの鳥”が持つ特性の新たな発見をしたから

月火を家へと送り届け、全身やけどを治した余接が何食わぬ顔でぬいぐるみの振りを続けていた翌日

月火が目を覚ますと、どうやら彼女は昨日の出来事をきれいさっぱり忘れている様子でした

それに少なからず驚いた余接でしたが、そもそも”しでの鳥”は傷を癒す特性を持っており、それは肉体的なものだけではなく心的外傷(トラウマ)ですらも癒すということに気付きます

生きる上で不都合になるであろう記憶(きず)ですら完全に癒してしまう

だからこそ、失敗しても学ばずに失敗し続け、しかもその失敗は周囲にのみ堆積され、鬱積され、その結果、それが新たな火種となり、周囲を焼き尽くしていく

その恐ろしさを感じながらも、興味深さを感じた余接はもう少しだけ生態観察をすることにしました

それもあり、再び同じ失敗を繰り返さないよう、阿良々木くん(ロリコン)からこれまで差し入れられてきたアイスのストックを消化すべく、ベッドの上で食べていると…

「きゃ、きゃあ!なんとなく気が乗らなくて登校中にUターンして家に戻ってきたら、私のぬいぐるみがアイスクリームを食べてる!?」

昨日と同じ叫び声

再び始まる正義の魔法少女の物語

つくづく学ばず、ことごとくを繰り返す日常が訪れながらも、余接は決意も新たにこんなことを思いました

大丈夫。次は死んでも、失敗しない。

感想&解説

「つきひアンドゥ」はこれで閉幕となりますが、この”しでの鳥”の考察に関しては原作の時からその発想力にかなり感心した記憶があります

傷を癒す『不死鳥』というのはもはや有名であり、この作品に限らず多くの創作物にも登場する生き物ですし、『不死鳥=火の鳥』というのもあって「不死鳥は燃えている」というのも多くの人が持つイメージな気がします

そんな中で、その”傷を癒す”と言う部分と”燃えている”という部分に着目し、周囲に影響を与えてストレスと言う名の火種を作り、大炎上したとしても当の本人(しでの鳥)は知らん顔してその焼け野原から飛び立つという発想に至った西尾維新先生は本当に凄いなと感心しましたね

『続・終物語』では阿良々木くんが高校生でも大学生でもない”何者でもない瞬間”にスポットを当てて物語を作り、そこに着目した西尾維新先生の着眼点と発想力に阿良々木暦役の神谷浩史さんは『続・終物語』の「あとがたり」で感心されていましたが、個人的にはそれと似たような感覚をこのエピソードでは感じました

常々思っていることではありますが、西尾維新先生の頭の中はどうなっているんでしょうかね?(笑)

そんな見事な考察を繰り広げた余接ですが、再び同じ失敗を繰り返す展開がまた良いオチとなっていましたねw

そして「正義の魔法少女パート2」と言った後に、原作にはない章番号「008」を出して、終わりのない「∞」へと変わる演出は最高に良かったです!

〈物語〉シリーズのオフ&モンスターシーズンという新たな物語、そして終わりが続く物語の初回としても最高の締めだったのではないでしょうか

ここでは解説という解説は特になです

あえていうなら、先程語った章番号「008」の演出がアニメオリジナルと言ったところと月火のキャラソンである『白金ディスコ』の振り付けが登場したというところですかね

まとめ

〈物語〉シリーズのオフ&モンスターシーズンの第1話『愚物語』「つきひアンドゥ」の感想&解説でした

これまでの〈物語〉シリーズでもそうですが、基本的に誰かがナレーション役となり、そしてそのナレーション役となったキャストの方は膨大な量のセリフを語ることになるんですが、今回のその役回りを演じた早見沙織さんの演技はあっぱれでした

ナレーションなので感情に左右されることはないでしょうが、それでも淡々とした口調を約30分間やり通した早見さんに「お疲れ様です!」と言いたい気分になりましたね(笑)

そして、もともとこの作品は”アニメ化不可能”と言われていた作品ではありましたが、それを覆すシャフトの見事な表現で大成功といっても過言では無い結果を『化物語』で出してくれました

それ以降も〈物語〉シリーズとして多くのシリーズ作品を映像化し、全シリーズのアニメ化を発表して、見事に『続・終物語』までアニメ化してくれました

そして、そのアニメ放送終了後も原作自体は続々と刊行されていく中で、ファンの一人としては「全シリーズのアニメ化」という言葉がずっと頭の中にあり、それを期待しながら長い間待ち続けてもいました

その待ち続けていた日々が報われ、今こうして再び〈物語〉シリーズを楽しめることには感謝しかありません

また、その続編を今までのクオリティを落とすことなく、素晴らしい形で見せてくれたことにも大いに感謝したくなるような本当に最高の一話となっていたと感じます

正直、「まだ一話目なのにこのテンションで大丈夫か?笑」と自分でもちょっと笑ってしまうくらいハイテンションになってしまったんですが、原作既読勢として言うのであれば、この先の展開はもっと面白くなるので全く問題無いでしょう!

ということで、今後も〈物語〉シリーズのオフ&モンスターシーズンの感想は続けていきたいと思いますので、よろしければ今後もお付き合いください

そんな〈物語〉シリーズのオフ&モンスターシーズンですが、次回は『撫物語』「なでこドロー 其ノ壹」

漫画家になるため、学校へ行かず絵を描く毎日を送っている千石撫子は、ついに両親から「中学校を卒業したら働きに出なさい」と宣告されてしまう。卒業までの期限が迫るなか、斧乃木余接が漫画家になるための、ある方法を提案する。

〈物語〉シリーズ オフ&モンスターシーズン公式サイトより

「世の中甘くないことが嬉しい」といった撫子にさらなる”甘くない”ことが!?

引きこもり生活に危機を迎えた中で余接が提案したの”4人の撫子”に漫画を手伝わせること!

その結果、4人の撫子がまさかの脱走(笑)

本物の撫子は4人を無事に捕まえることが出来るのか?そして、漫画家として大成することが出来るのか?

千石撫子の過去と現在を見つめ直す物語を存分に楽しんでいきたいですね!!

それでは今回はこの辺で!

また会いましょう

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