どうもウハルです!
今回は『モノノ怪』の解説と感想を語っていきます
「何年も前の作品なのに何故今更?」と思うかもしれませんが、この作品は何年経っても面白いと思っている作品の一つなんですよね
2006年1月のクールにて「怪~ayakashi~」として放送されましたが、未だに色褪せない世界観や浮世絵風の独特の表現方法は素晴らしく、内容も人の陰湿な部分などを隠喩表現を用いて描かれているので幻惑的な雰囲気が漂う作品です
あとは、登場する薬売りがイケメンで櫻井孝宏さんの声もイケボ過ぎる(笑)
見たことない方がいたら是非一度は見て欲しい作品だなと思ったので、今回紹介しようと思い至った次第です
それぞれの話自体も、2~3話で区切りがついているので忙しい方でも見やすい作品だなと思います
ただ、あまりにも独特な世界観の為、「こういう人には合わないかも・・・」と感じている部分もありますので、その辺りも踏まえて、『モノノ怪』の解説と感想を語っていきます!
なお、『モノノ怪』初見さんの為になるべくネタバレ無しで書かせて頂きました
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モノノ怪 解説
あらすじ
江戸時代のとある武家屋敷。今まさに当主の孫娘の嫁入りが行われようとしていた。しかし、いざ輿入れという時花嫁は無残にも惨殺される。「これは化猫の仕業だよ」薬売りの言葉をなぞるように次々と起こる怪死事件。おびえきった人々の前についに化猫が姿を現す。化猫が人々をつけねらう裏には、その武家にまつわる、恐ろしい狂気の出来事があった・・・。
東映アニメーション「怪~ayakashi~」公式サイトより
2007年7月に放送された『モノノ怪』というアニメ作品は、ノイタミナ枠の3作品目である「怪~ayakashi~」内で放送された3つの物語のうちの一つ、「化猫」の続編になります
謎の人物である”薬売り”が退魔の剣を用いて、「物の怪」を斬るお話です
何かの出来事や事象があり、人の怒りや怨念が”物の怪”となる
しかし、その正体というのは不明確で不明瞭
退魔の剣を使うには、その物の怪の「形(かたち:姿)、真(まこと:事の有り様)、理(ことわり:心の有り様)」を知る必要があります
この3つを薬売りと同じ立ち位置から、視聴者自身も考えていくスタイルは非常に面白いです
『モノノ怪』を楽しむ為の視聴順
『モノノ怪』は「怪~ayakashi~」の続編だというお話をさせて頂きましたが、その物語と『モノノ怪』内の物語は6つの物語で構成されています
- 化猫(怪~ayakashi~) 全3話
- 座敷童子 全2話
- 海坊主 全3話
- のっぺらぼう 全2話
- 鵺 全2話
- 化猫 全3話
この並びが放送順となっていて、視聴する場合もこのまま見ることをオススメします
各タイトルごとに完結する話にはなるので、そこまで時系列は物語に大きく関係していません
ただ、いきなり『モノノ怪』から見てしまうと薬売りが使っている道具など諸々の説明が少し不十分かなと…(察しはつくかもしれませんが)
さらに、海坊主にて「怪~ayakashi~」で登場した女性が再登場し、「化猫」の時の出来事も少し語ります
その辺りを考えると、放送順に視聴した方が違和感なく『モノノ怪』の世界観に入り込めると思います
話数としても「怪~ayakashi~」の3話を含めて全15話で、新しい過去アニメを1作品見る感覚とそこまで変わらないと思いますので、「忙しくて見る時間がない!」という方にも安心して見れる作品です
15周年企画始動!
『モノノ怪』は、2020年に行われたノイタミナ歴代70作品を対象とした「あなたが選ぶ思い出の3作品」(2005年~2009年部門)にて第1位を獲得するほど、根強い人気を誇る作品です
そんな『モノノ怪』の放送開始15周年を記念して、『15周年記念企画』が始動しました
公式サイト:アニメ「モノノ怪」十五周年記念サイト
こちらはイベントが開催されるだけじゃなく、小説として再び薬売りの活躍が蘇るという一人のファンとしては非常に嬉しい内容のものもあり、胸の高鳴りが抑えられませんでしたね
その名も「モノノ怪 執」
小説版は全6話の物語で構成されるとのことなので、興味がある方は是非!
『モノノ怪』の感想と魅力
独特の世界観とキャラクター
この作品の一番の特徴といえるのが、”浮世絵風の作画”です
和紙にそのまま描かれているような作画は、1話目から圧巻
他の作品とは一線を画すその作画は、まるで絵画がそのまま動いているよう
浮世絵風以外にも、水墨画風、ゲルニカ風、クリムト風と様々な様式を意識して作られたそれぞれの物語
そんな芸術的で独特な世界観にどんどん引き込まれていきます
また、登場するキャラクターの感情表現の仕方が特徴的
メインで登場する薬売りは物語内でもイケメンキャラなんですが、それぞれの話に登場するキャラクターは独特な作画をしています
特に驚きや恐怖といった感情を描いている時の表現は鬼気迫るものがあります
汗の吹き出し方、目の見開き具合など目で見て分かるシーンもあれば、その場に居る人たちが一斉に早口で同時に語りだして耳でも緊張感が伝わる様子は、視聴者に恐怖感を煽ってきます
その狂気じみた阿鼻叫喚の演出から受ける恐怖と緊張感は、ある意味で現実味があります
人間が理解不能な危機的状況に追い込まれた時にパニックを起こすとこうなるんだと思えてきます
人のエゴから生まれる”物の怪”を解き明かす面白さ
『モノノ怪』で登場する”物の怪”は「人の激しい怒りや怨念が、妖と結びつく事によって生まれるもの」です
それは基本的に、欲望や本能と言った人によるエゴにより発生した事柄ばかり
その内容は、はっきり言ってしまえば「人の強欲ゆえの所業」の数々です
その為、当事者自身も「良い行いではない」と分かっているので、真(事の有り様)である真実を中々語らない
やっと真実を語ったと思っても、実は全然違う真実だと退魔の剣が抜けないので、話が一転二転していき、その緊迫感のある内容は面白い
何より、美談っぽく語られていながら、実はただ欲望に正直だっただけという隠された真実が判った時に「あぁ、こいつクズだな」とより一層、人間の醜い部分を感じることが出来ます
『他者の命』よりも『自身の保身』に走る人間の様子は中々醜いです
そして、人が関係しているのは間違いないんですが、「物の怪となるのは人だけではない」というのも面白いところ
”物の怪”の形を成すものが何であり、その真と理は何が要因となっているのかという点を考えながら視聴していくのも、『モノノ怪』を楽しむうえでの一つのポイントでもありますね
見る人を選ぶかも・・・
『モノノ怪』に関して、作画や表現方法の良さを語りましたが、逆を言ってしまえば特徴的過ぎて合わない人が居るかもしれないとも思っています
私自身、こういう作画に慣れてしまった今となっては問題なく見れていますが、学生時代にリアルタイムで見ていた時は「うげ……」と思ってしまうような作画や表現方法が多々ありました
いわゆる「萌えアニメ」のような作画や演出、キャラデザが好みの人には中々難しい作品です
また、隠喩表現が多く、理解しにくい部分も多いです
そこがこの作品の長所でもあるんですが、短所でもあるとも思っています
作品にどっぷりのめり込みたい人には向いている作品なんですが、理解出来なくてどこかスッキリしない話が苦手という人には向いていない作品です
最後に、モノノ怪を斬っていくお話にはなるんですが、戦闘による爽快感はそこまでないと思っています
個人的な考えになりますが、『モノノ怪』は「物語の内容」と「世界観重視」の作品であり、退魔の剣を使うまでを楽しむ作品だと思っています
退魔の剣が抜けた時は、ある意味で物語としての山場も越えているので、物の怪を倒すときのシーンはおまけみたいな立ち位置で視聴していました
ミステリー風に言うなら、犯人が分かり、動機が分かり、証拠も明らかにして、あとは逮捕するだけみたいな
なので、物の怪を倒す時の派手なアクションや爽快感を求めてしまうと物足りなさが生まれると思います
ただ、退魔の剣を使用した時の表現方法は美麗の一言に尽きるシーンもありますので、そういった意味では見蕩れる戦闘シーンになっていますね
まとめ
自分にとって、何年経っても「面白い!」や「凄い!」と思える作品があるのはありがたいことだと思っています
今回紹介した『モノノ怪』が、私自身にとってそう思える作品の一つであり、あなたにとってもそういった作品の一つとなってくれれば幸いです
また、こちらの作品はBlu-ray BOXが発売されていますので気になる方はチェックして見てくださいね
それでは、今回はこの辺で!
またお会いしましょう