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化物語 第2話『ひたぎクラブ 其ノ貮』感想&解説!重みを失った少女が取り戻したかったものは…

どうもウハルです!

今回は化物語の第2話『ひたぎクラブ 其ノ貮』の感想と解説を語っていきます!

『ひたぎクラブ』ここに完結!!

前半のギャグ展開から一変して、一気にシリアスになる後半

重みを無くした少女が無くしてはいけない思いを取り戻し、無事に迎えたハッピーエンドは何度見てもジーンとくるものがありました

そして、最後の戦場ヶ原の笑顔も何度見ても美しい!

ここまで”ツン”しかなかったところからの最大の”デレ”に、阿良々木くんがニヤケてしまったのも頷ける”ツンデレ”具合でしたね!

ということで、今回は『化物語』の第2話「ひたぎクラブ 其ノ貮」の感想と解説を語っていきたいと思います

なお、感想に関しては2023年4月からの再放送をベースにして書かせていただいており、私自身はすでに《物語シリーズ》全編視聴済みの状態で書かせていただいております

ただ、書いている話数以降のネタバレは無しで書かせていただきますので、初見さんはご安心ください

また、解説に関しては原作や関連書籍などから「より『化物語』を楽しめそうだ」と感じたものをチョイスして解説していきます

そして、『化物語』の第1話「ひたぎクラブ 其ノ壹」に関しても同様な形で感想と解説を語っていますので興味がある方は是非!

最後に、《物語シリーズ》に関しては、アニメ&原作のまとめ記事も書いていますので「続きを知りたい!」「原作に触れてみたい!」という方は是非参考にしてみて下さいね

化物語 第2話 あらすじ

第2話『ひたぎクラブ 其ノ貮』

暦はひたぎを連れて廃ビルに住む怪異にくわしい謎の流れ者 忍野メメに相談する。メメは「勝手に助かるだけ」と嘯くが、暦とひたぎに怪異を除くためのアドバイスを与える。

『化物語』西尾維新アニメプロジェクト公式サイトより

エンディング「君の知らない物語」

歌手supercell
作詞・作曲・編曲ryo

オープニングは各エピソード毎にヒロインが歌う主題歌が流れてきますが、エンディングに関してはこの「君の知らない物語」が流れます

もはや”神曲”と呼んでも過言では無い大人気のこの楽曲は、私自身もいまだに聞きたくなって聞いてしまうほど大好きな一曲ですね

そして、これがボカロ楽曲でも有名なryoさんを中心としたクリエイター集団・supercellのデビュー曲

作詞・作曲・編曲をryoさん自ら行っているこの楽曲ですが、ryoさん自身、元々西尾作品は『戯言シリーズ』の頃から好きだったみたいで、『化物語』『傷物語』『偽物語』の《物語シリーズ》作品を読まれていたそうです

その為、曲作りで最初に一番意識していたのは『偽物語』でも登場していた「踊れるエンディングにした方がいいのか?」という点だったそうです(笑)

『偽物語』で「アニメのエンディングでは、自分たちはどんなダンスを踊るのか」というセリフがあるじゃないですか。当時は『涼宮ハルヒの憂鬱』のエンディングの印象が強かったので、西尾先生はもしかしてああいう曲を期待しているのだろうか、と(笑)。だから「ああいう、踊れる曲が良いんですか?」ってプロデューサーの意向を問い合わせたら、「意識せず、好きに作ってください」という返事だったんです。とは言え、「100%趣味で書いた」って表紙にも書いてあるじゃないですか。趣味だったら、踊っている方が西尾先生的には好みなのかなあ、とも悩みました(笑)。

『化物語』アニメコンプリートガイドブック「なでこスネイク」 ryoインタビューより一部引用

そこから「デビューシングルでギャグに走るのもどうだろう」と感じて、踊れるエンディングにするのは踏みとどまったそうです(笑)

ちなみに、同じインタビューの部分でタイトル名を「君の知らない物語」にしたのは、作品の「語(かたり)」に合わせたとも語られていましたね

こういう作品に対するリスペクトから生まれたという部分が知れると、《物語シリーズ》好きとしてはより一層この楽曲に愛着が湧いてきて、好きになってしまいましたね(笑)

また、このエンディングは楽曲も良いですが、ウエダハジメさんが描かれた映像もまた素晴らしい!

独特なイラストながらもキャラの特徴をしっかりと捉え、「君の知らない物語」の楽曲だけじゃなく『化物語』という世界観にもマッチしたこのイラストは何度見返したことか(笑)

ちなみに、この映像は「君の知らない物語」が出来上がってから作られた映像で、ウエダさん自身がこの曲を聞いて可愛らしいと感じて、あえて可愛らしい絵にしたそうです

また、このエンディング映像の一つの特徴でテロップが上から下に流れるというものがありますが、これもまたウエダさんのアイディアで、そこにシリーズディレクターの尾石達也さんの悪ノリが混じって出来上がった映像らしいです

――テロップが上から降ってくるアイディアはどこから?
ウエダ「上から来るってのは普通に『セブン』(デビット・フィンチャー監督)です。ほかにもあったかもしれません。テロップが星か雨のように降ってきたらいいなと。だからノンテロップは絵が足りない状態なんです」
尾石「テロップって土壇場で変更することも多いので、あまり遊ぶなと言われているんです。本当はテロップも、もっと動かしたかったんですけどね」
ウエダ「自分は普通に真っ直ぐに降ればいいだろうと思っていたら、尾石さんが悪ノリして、左右に動かしたんですよ」

『化物語』アニメコンプリートガイドブック「なでこスネイク」 ウエダハジメ×尾石達也インタビューより一部引用

最近ではノンテロップ映像というのは公式でも動画としてアップすることはよくありますが、その状態では絵が足りないエンディング映像というのは中々珍しい気がします

そう考えると、本編で流れるからこそエンディング映像が完成するという構図もですが、テロップで登場するスタッフやキャストの方々がいてこその作品とも解釈出来て、この構図は個人的に好きなポイントの一つだったりしますね

そして、この楽曲は多くの有名アーティストの方々がカバーするほどの人気楽曲ですが、『化物語』に実際に出演されている花澤香菜さんがカバーした動画があります

「歌」を通して各業界で活躍するアーティストの方々の「声」を届けるカバーソングプロジェクト『CrosSing』

その企画の第7弾としてこの動画が上がっているんですが、その透き通った歌声や自身も出演しているからこその思い入れなども感じられるような歌い方は、何度聴いても聞き惚れてしまいます

動画再生数も2023年4月時点で430万回を突破しているほどの人気動画なので、是非一度聴いていただきたいですね

【花澤香菜-君の知らない物語 from CrosSing】

原作だとどの範囲?

化物語(上) ひたぎクラブ 005~008

全8章の内の後半部分が「ひたぎクラブ 其ノ貮」の内容になります

  • 朗読:神谷浩史
  • 再生時間
    • 005:47分
    • 006:40分8秒
    • 007:13分14秒
    • 008:1分19秒

月額1500円で12万冊以上の対象作品が聴き放題のAudible

ダウンロードすればオフラインで聴き放題だったり、《物語シリーズ》作品に関しては出演キャストが朗読してくれたりと、好きな時に好きな場所で好きな声を聞きながら作品を楽しむことが出来ます

30日間の無料トライアルもあるので興味がある方にはオススメです!

化物語 第2話『ひたぎクラブ 其ノ貮』感想&解説

惜しげもなく披露される戦場ヶ原の肉体美

戦場ヶ原が抱える問題に対して、力を貸すことを約束した忍野メメ

ただ、戦場ヶ原自身、その行為をタダで行うボランティアではないと自覚しているので「お礼は?」と尋ねます

それに対して、今回の件に関しては10万円で手を打つと言った忍野でしたが、吸血鬼となった阿良々木くんの時は500万円だったという衝撃の事実がここで明かされます

その後、忍野から身を清めるためにも一度家に帰るように言われた戦場ヶ原は自分が住んでいるアパートへと帰宅します

阿良々木くんもそれに同行し、戦場ヶ原が住んでいる部屋で準備が整うまでの間、待っていることにしました

木造アパート二階建て、築三十年、民倉荘201号室、六畳一間

羽川から聞いていた豪邸とは程遠い様相のこのアパートですが、阿良々木くんは戦場ヶ原の話からここに住むことになった経緯を知ります

母親が怪しい宗教に嵌ってしまったこと、それによって多額の借金をしてしまったこと、協議離婚が成立して今は父親と一緒にこのアパートに住んでいること

その話を聞いた後、身を清める為にシャワーを浴びに行った戦場ヶ原を阿良々木くんは部屋の中で待っていました

そして、シャワーを浴びた戦場ヶ原が出てきますが、その姿に阿良々木くんは驚きと衝撃を受けます

なぜなら、一糸まとわぬ姿で戦場ヶ原が目の前に立っていたから

その姿を見られたことに対して恥ずかしがるような素振りを見せない戦場ヶ原とは逆に、阿良々木くんは突然の光景に動揺してすぐに背を向けます

「服を持って入るのを忘れた」という戦場ヶ原はそのままの姿で阿良々木くんの横を通り、服が入っている箪笥に向かいます

衣擦れの音がしながらも戦場ヶ原の方を見ないようにしていると、戦場ヶ原から「もういいわよ。こっちを向いても」と言われたので、改めて向かい合う阿良々木くん

しかし、戦場ヶ原の姿は下着姿で、それ以外の着衣は一切していませんでした

戦場ヶ原の目的が一切分からない阿良々木くんは再び動揺しますが、戦場ヶ原曰く「今日のお礼のつもりの大サービス」とのこと

ただ、そのサービスに対して「ちょっとは喜びなさいよ!」と逆切れギレされたり、感想を求められた挙句に感想を言ったら「最低」と言われたり、「そんなことだからあなたは一生童貞なのよ」と言われたりと散々なことに(笑)

そんな毒の数々に阿良々木くんはツッコミを入れていきますが、話は戦場ヶ原は忍野メメをそこまで信頼はしていないという話になっていきます

過去に五人の詐欺師に騙されてきたことがある戦場ヶ原にとって、阿良々木くんや羽川が忍野に助けられていたとしても、おいそれと信用できるほど楽天的にはなれない、と

その言葉を聞いた阿良々木くんは「別に楽天的でもいいんじゃないか」と話します

悪いことをしてるわけじゃないし、ズルしてるわけでもないんだから

それに対して、悪いことに関しては「していない」と肯定しながらも、ズルに関しては何か思うところがありそうな様子の戦場ヶ原

阿良々木くんはその言葉に少し引っ掛かりを感じますが、戦場ヶ原からの続きの言葉はありませんでした

そしてそこからまた、月の模様の話や偏差値チェックなど、阿良々木くんが傷ついたということ以外は他愛ない話が続きながらも、戦場ヶ原は無事に着替えを終え、これが解決したら阿良々木くんと北海道に蟹を食べに行く約束をしました

感想&解説

「この作品のここが凄い!」みたいなことを語らせてもらうのであれば、このAパートは2つのポイントが上げられると思っています

まず一つ目が、場面転換がほぼなく、さらに登場人物がほぼ二人しかいない中で繰り広げられる会話のみでAパートを成立させてしまっているというところ

このポイントに関しては今後も描かれていく展開ですし、そういった会話劇で展開できるのが西尾維新作品の強みとも言えますが、それをアニメ化しようとなると難しいと言うのは素人目にも分かります

そもそも他の作品であまりこういったシチュエーションは見ませんしね

実際、『化物語』をアニメ化するにあたっての難題は会話シーンで、会話を映像として飽きさせずに見てもらうのは難しかった」尾石さんはガイドブックで語ってました

さらに、新房監督「『化物語』は会話自体が面白かったからやれた」とも語られていて、また「声優さんたちのお芝居を聞くと、これはいけるという感触が生まれた」とも語られてましたね

そして、二つ目のポイントですが、Aパート丸々戦場ヶ原の着替えシーンで終わらせたというところ(笑)

これも原作通りではありますが、その映像でAパートを持たせる表現力が凄いw

文字の演出や下着の柄などもそうですが、阿良々木くんや戦場ヶ原の多彩な表情などといったこれらも「飽きさせない為の演出」なのかと思うと、当初からこの作品に対する熱量が凄かったんだなと感じられますね

ちなみに、解説というか小話みたいな感じになりますが、ここで語ったアバン&Aパートで、気付くと面白い演出が2つあったのは気づきましたか?

一つ目がアバンで戦場ヶ原が住む民倉荘が映し出された時に、壁に「壁」って文字が浮かび上がっているシーンがあるというところ

気付かなかった人は見直してみて欲しいんですが、シーン的にはOP前のアバンパートで「荘倉民」とアパート名が逆に映し出された後

ボロボロの壁が映し出されていて、その左側が「壁」って形に割れてるんですよね

多分、遊び心の一つだと思うんですが、これに気付いた時は笑っちゃいましたw

そして二つ目が、戦場ヶ原の部屋に置かれた蔵書

本棚が映されるシーンは2回あるんですが、1回目は夢野久作2回目は黒岩涙香『化物語』の本編中に戦場ヶ原ひたぎが名前を挙げる作家の作品が並んでいるんですよね(シーン的には夢野久作は2話、黒岩涙香は12話で登場します)

これに関しては、原作を読んでいるか本編を見終わった人には伝わる演出となっているんですが、あまりにそのシーンは一瞬なので、もしかしたら気付いてない人もいるかもしれませんね(笑)

また、これはキャラコメの話になりますが、Aパートで阿良々木くんが「悪いことをしてるわけじゃないし~」というセリフをいうシーンがありますが、実はその時に戦場ヶ原は阿良々木くんにハートを打ち抜かれたらしいですよ(笑)

戦「このセリフ」
羽「ん?」
戦「このセリフでハートを打ち抜かれ、私は阿良々木くんに心を開き始めました」
羽「簡単過ぎない!?」
戦「だからあの気持ち良さそうにドライヤーかけてる女子はね、実はとにかく惚れっぽいのよ。ちょっと人に親切にされると、もうアウト」
羽「極秘情報だね、それ」

「ひたぎクラブ 其ノ貮」キャラクターコメンタリーより

神への頼み事

民倉荘から再び学習塾跡に向かう阿良々木くんと戦場ヶ原

学習塾跡に到着すると、入り口ですでに忍野は待っていました

夕方に会った時のアロハ服姿ではなく、白ずくめの装束を着ており、ぼさぼさの髪も整えられていて小綺麗になっている忍野の姿に二人は驚きます

忍野は戦場ヶ原が清廉になっていることを確認し、そのまま三人は中へと入っていきます

向かっている場所は学習塾跡の一室に忍野が作った”場”

戦場ヶ原が行き逢った蟹に降りてきてもらうためには手順を踏まなければならず、その為に作られた結界のような場所へと向かう三人ですが、その道中で阿良々木くんは忍野に「蟹は重みを返してくれるのか?」と質問します

それに対して忍野は断言はしませんでしたが、返してもらえるという答えを返します

彼らは神であり、「切実な人間の頼みを断るほど野暮じゃないさ」と語る忍野は、付け加えるように神は大雑把な連中だということも語り始めます

人間個々人のことなんてどうでもいいんだよ。実際、神様の前じゃ、僕ら三人、年齢も性別も重みも区別なんかつかない

そして、いよいよ”場”に着いた三人

忍野は二人に、ここはもう神前であり、頭を下げるよう伝えます

それに従い、頭を下げたまま忍野の指示に従う二人

戦場ヶ原にお神酒を少し飲ませ、リラックスするように促し、頭を伏せ、目を閉じた状態で忍野の質問に答えていきます

名前は?通っている学校は?誕生日は?好きな作家は?……

戦場ヶ原ひたぎ、私立直江津高校、7月7日、夢野久作……

そんな無意味にも感じるような質問が淡々と繰り返されるも、戦場ヶ原はしっかりと答えを返していきますが、ある忍野の質問で答えに詰まります

「一番、辛かった思い出は?」

この質問だけに意味を持たせていたことを阿良々木くんが察しながらも、戦場ヶ原自身も”場”の雰囲気から沈黙を貫ける状況ではないと感じ、その質問に対しての答えを話し始めます

母親が宗教団体に嵌ったこと、そしてそこの幹部が母親と一緒に家にやってきて、戦場ヶ原に性的な意味で乱暴しようとしたこと

その行動に対して戦場ヶ原は抵抗し、ことは未遂になりましたが、戦場ヶ原の母親は娘を助けようとはしなかった

そして母親は幹部を傷つけたというペナルティを負い、それによって土地や財産を奪われ、家族は崩壊しました

そんな辛い思い出を語りながらも、戦場ヶ原は「あの時抵抗しなければ、少なくとも壊れなかったんじゃないか」とも語ります

その思いを聞いた忍野は「それは他人任せにしちゃいけないものだ」と話し、そして、ゆっくりと目を開けるように戦場ヶ原に伝えます

それに従い目を開けた戦場ヶ原は、目の前の光景に驚愕します

なぜなら、目の前に一匹の大きな蟹がいたのだから

突然の出来事に動揺しながらも、その蟹は戦場ヶ原以外には見えていない

動揺する戦場ヶ原とは逆に落ち着いた様子の忍野は、「蟹が見えているのであれば言うべきことがあるんじゃないのかい?」と伝えます

その言葉を聞いた戦場ヶ原は、特に何かを考えての行動ではなく、反射的に顔を上げてしまいます

その瞬間、戦場ヶ原の体は神床とは逆方向に飛ばされ、壁に張り付けられるように動かない

あまりのスピードに阿良々木くんは反応できませんでしたが、そもそも蟹が見えないからどういう状況なのかすらよく分かっていない

そんな状況の中、忍野は「やれやれ。せっかちな神様だよ」と言いながら、戦場ヶ原の元へと近づき、張り付いている蟹を引きはがします

そのまま足で蟹を踏みつけて動けない状態にし、このまま踏みつけても形の上では解決することを話します

ただ、戦場ヶ原はそれを望まなかった

蟹が離れ、壁からそのまま落ちて倒れていた戦場ヶ原は身を起こし、「自分で出来るから」と姿勢を正し、忍野の足元にある蟹に向かって土下座しながら謝罪と感謝と懇願の言葉を口にしました

――ごめんなさい。それから――ありがとうございました。でも――もういいんです。それは――私の気持ちで、私の思いで――私の記憶ですから、私が、背負います。失くしちゃ、いけないものでした。お願いします。どうか、私に、私の重みを、返してください。

どうかお母さんを――私に、返してください。

その言葉と共に忍野の足は床についたものの、それは踏みつぶしたわけではなく、そこから蟹がいなくなったが故のこと

しかし、蟹がいなくなり、全てが終わったことを理解しても、土下座の体勢のまま顔を上げずに泣きじゃくる、戦場ヶ原ひたぎの姿がそこにはありました

感想&解説

母親が宗教団体に嵌ったということは、第2話のアバンでも語られていた事実ではありましたが、さらにその先の事実があまりにも残酷でしたね

娘が犯されそうになっている中、母親はただ見ているだけという状況もそうですが、その状況を娘自身が見ている

助けて欲しいのに、一番身近な人が助けてくれない状況を目の当たりにすることはどれだけ辛く悲しいことなのかと感じてしまいましたね

そして、ここで描かれる蟹の描写がこれまた凄かった!

初見の時にあの”おもし蟹”の映像を見た時は「なんだこれ!?」ってかなり驚いたものです(笑)

原作では「大きな蟹」としか書かれていないんですが、そこから漢字の集合体のような蟹を思いついた表現力には脱帽としか言いようがありませんね

ここでのシーンに関しては、映像というより演技面での解説

戦場ヶ原が”おもし蟹”によって壁に張り付けにされてしまい、そこから忍野が戦場ヶ原の元へと近づいていったシーンで、阿良々木くんが「おい、忍野」というセリフがあります

このシーンにおいて、危機的な状況にもかかわらず、阿良々木くんの声が落ち着いているように聞こえるのは、そのように演技したからだと、『ひたぎクラブ』の「あとがたり」にて阿良々木暦役の神谷浩史さんが話しています

この演技に関しては神谷さんの中ではしっかりと成立していて、その理由としては何かあっても忍野なら何とかしてくれるという信頼と最終的には自分が何とかするという考えを阿良々木くんは持っているのではないかと考えたからだそうです

この話をした時に神谷さんは「見ている人は違和感を感じたのではないか?」と言っていますが、すいません、私は気づきませんでした(汗)

このシーンの迫力に押されてと言うか何と言うか初見の時は演技に注目できなかったんですよね…

この話を知った後に見直して「ホントだ!」とやっと気付きましたが、皆さんは気付きましたかね?

ちなみに、「あとがたり」に関しては円盤特典の《完全版》と公式HPにある《編集版》の2種類あります

ここで語った神谷さんの演技の部分に関しては、編集版でも聴くことが出来るので興味がある方は是非聞いてみて下さいね!(「ひたぎクラブ」篇の18:55辺りから話し始めてます)

『化物語』:あとがたり

何も変わらないなんてことはない

――以下、回想

戦場ヶ原の母親が悪徳宗教に嵌ったのは小学五年生の頃

その頃の戦場ヶ原は大病を患い、母親はその心の拠り所を求めた

戦場ヶ原は大手術の結果、九死に一生を得たものの、母親はより一層その宗教にのめり込んでしまう

そして、中学卒業を間近に控えたある日、ことは起きてしまった

戦場ヶ原は幹部を傷つけ、その結果、家庭が崩壊

中学生卒業の頃には離婚が成立し、高校生になる前には全てが終わっていたのだが、だからこそ、中学生でも高校生でもない時期に、戦場ヶ原は行き逢ってしまった

一匹の蟹に

――以上、回想終ワリ

”おもし蟹”というのは”思いし神”または”思いとしがらみ”ということでもある

つまり、戦場ヶ原は蟹と行き逢ったことで母親への”しがらみ”を切った

「自分が抵抗しなければ…」と思い悩むことを止め、母親を思うのを止めた

そして、重みを無くした

自ら進んで、ズルをした

ただ、それに対して忍野は「別に悪いことじゃない」と話します

特に戦場ヶ原の場合、思いを取り戻したところで壊れた家庭が戻ったり、母親が帰ってくるわけでもない

つまり、何も変わらない

それでも、返して欲しいと願った戦場ヶ原は赤く泣き腫らした目をしながらも、「何も変わらないなんてことはないわ」と言います

そして、決して無駄ではなく、大切な友達が一人出来たとも話します

ありがとう、阿良々木くん。私は、あなたにとても、感謝しているわ。今までのこと、全部謝ります。図々しいかもしれないけれど、これからも仲良くしてくれたら、私、とても嬉しいわ

照れもなく、堂々と胸を張ってそう言い切る戦場ヶ原の顔には、満面の笑みが浮かんでいたのでした

感想&解説

『ひたぎクラブ』完!

厳密にいえばまだオチが残ってますが、これだけは言いたい…

ガハラさん超綺麗です!!

もうね、可愛いとかじゃなくて、綺麗なのよ!

この表情だったり、演技や演出だったりは文字だけでは表現できない部類であり、アニメの強みとも言える部分ですが、その盛り上げ方が本当に最高でしたね!

特に、今までの事情もあり、心を閉ざしていたからこそ”ツン”の要素がかなり強かったですが、その問題が解決して”デレ”を見せた時のこのギャップが堪らない!!

そして、最後に見せる素の笑顔の破壊力よw

こんなの阿良々木くんじゃなくてもやられるよね(笑)

ちなみにですが、ここのシーンに関しては原作カットが結構多いシーンになっています

『ひたぎクラブ』という物語をアニメで視聴するのに、違和感はなかったので問題はないと言えば問題はないんですが、その部分を知っていると深みが増したり、色々な事情が分かる内容がカットされていたりするんですよね

例えば、戦場ヶ原は九死に一生を得るほどの大手術をしていますが、実はその時の傷が背中にうっすらと残っており、もしかしたら戦場ヶ原の裸を見た時に阿良々木くんは見つけられたかもしれないと語っている描写があります

実際は、アニメでその傷跡は描かれていませんでしたし、あくまで阿良々木くん視点の考察にはなりますが、あのAパートの着替えシーンで、上半身から着替えを始めていた理由と言うのはその傷を見られたくなかったからかもしれないと語っています

また、戦場ヶ原にとって重みを無くしたことは本質的な問題ではなく、思いを失ってしまったことが一番の後悔であり、そのことを後悔しない日は一日もなかったという描写もあります

だからこそ、信用もしていない五人の詐欺師を少なからず信頼してしまったことも、惰性ながらも病院に通い続けてしまったことも、その悔やみの表れだったのだろうと語られていますね

こう言った補足のようなものが無くても、察しの良い人なら気付いているかもしれませんが、語られて初めて気づく部分があるというのもまた事実

多分、今後も言うとは思いますが…

アニメを見て面白いと感じた方は是非とも原作も読んで欲しいですね

より『化物語』という作品を、面白いと感じる事が出来ると思いますよ

後日談

戦場ヶ原の一件が終わり、自分の部屋で阿良々木くんが寝ていると、いつものように二人の妹・阿良々木火憐阿良々木月火が叩き起こしにやって来ます

阿良々木くんはまだ寝たばかりではあったものの、無理矢理体を起こしますが、やたらと体がだるい

ふと気になり、体重計に乗ってみる

阿良々木くんの体重は五十五キロ

しかし、体重計の数値は百キロと表示されていました

つまり、”おもし蟹”は体重を返すべき相手を間違えてしまった様子

なるほど。神様ってのは、確かに、大雑把な連中らしい

感想&解説

火憐&月火のファイヤーシスターズ初登場シーンですね!

彼女達の場合、『化物語』においては阿良々木くんを起こしに来るか、次回予告を行うかくらいしか登場が無いんですが、そのわずかな時間ながらも、強烈なインパクトを残して行く姉妹ですよね(笑)

特に、次回予告に関しては名人芸ですw

ちなみにですが、この二人が起こしに来るシーンは、原作では「二人の妹に叩き起こされ」という事象しか書かれておらず、描写自体は原作にありません

なので「兄ちゃん朝だぞ!」などの二人のセリフはアニメオリジナルになります

この部分に関しては、脚本作業開始時は『偽物語』が刊行されておらず、二人の性格や口調がほぼ分からなかったので、西尾維新による監修の結果、放送された時のようなセリフになったそうです(アニメコンプリートガイドブックより)

また、このオチの体重の部分ですが、原作にも具体的なことは書かれていません

このオチを見た当初、多分、戦場ヶ原の体重が阿良々木くんに行ったんだろうとは思っていましたが、その明確な答えと言うのは描かれてなかったんですよね

ただ、キャラコメでですが、一応の答えは提示されています

これに関しては、西尾維新自身がキャラを通して語らせた内容になるので間違いない部分だと思います

羽「ただこのオチって、一体どれだけの人数に伝わるんだろうね。ちょっとシュール過ぎると思うんだけど」
戦「そうかしら?」
羽「説明が必要かも」
戦「まあ私は必要ないと思うけど、羽川さんが気になるなら、解説しておけば?」
羽「じゃ、させてもらおうかな。だから要するにこれ、平たく言えば、蟹の神様が、戦場ヶ原さんに返すはずの体重を、間違って阿良々木くんに返しちゃったってオチなんだよね」
戦「そうだったんだ」
羽「あなたがわかってなくてどうするのよ」

「ひたぎクラブ 其ノ貮」キャラクターコメンタリーより

戦場ヶ原の体重は四十キロ後半強でつまり五十キロなんですが、そこから四十五キロ失って、体重が五キロになりました

その返すべき体重を阿良々木くんに返してしまったので、「五十五キロ+四十五キロ=百キロ」という訳ですね

「じゃあ、戦場ヶ原の体重は?」と思いますが、分からないと言うのが正直なところ

これに関しては自分が調べた限り、原作含め語られていないんですよね

ただ、このエピソード以降、戦場ヶ原の体重は戻っていますし、阿良々木くんの体重も重いままという描写はないので、忍野に戻してもらったのではないかと言うのが個人的な解釈です

「蟹が間違いに気付いて戻した」とも考えましたが、そもそも人間の区別がつかないような神様が、体重の間違いに気づくとも思えない

そして、キャラコメ通り、当の戦場ヶ原本人が知らないと考えると、戦場ヶ原が気付く前(具体的には体重を測ってすぐくらい)に阿良々木くんが忍野に相談して戻してもらったというのが妥当かなと言うのがこの解釈に至った経緯です

あくまで個人的な解釈なので、間違ってるかもしれないのでそこはご了承を(笑)

まとめ

出演・声の出演:斎藤千和, 出演・声の出演:神谷浩史, 出演・声の出演:加藤英美里, 出演・声の出演:花澤香菜, 出演・声の出演:堀江由衣, 監督:新房昭之

化物語 第2話『ひたぎクラブ 其ノ貮』の感想と解説でした!

蟹に行き逢った少女・戦場ヶ原ひたぎが重みと想いを取り戻す物語もこれにて終了

だがしかし!

彼女の活躍はまだまだ終わらない!!

今回の「ひたぎクラブ」でもかなり魅力的なキャラクターではありましたが、それ以上に魅力的に輝いていくヒロインになっているので、初見の方はこれからの彼女の活躍に期待していてほしいですね!

そして、これは西尾維新作品らしいと思っている部分ではありますが、一見無駄な雑談にも思えるようなシーンもしっかりとした意味があったりします

そこが面白可笑しく描かれていたり、サラッと登場したりするので気付きにくかったりしますが、最後まで見た時に「あれはそういうことか!」と気付いた時の爽快感は病みつきになりますよ

そういった仕掛けが今後のエピソードでも登場するので、ぜひぜひ『化物語』を今後も楽しんでいきましょうね!

そして、続くエピソードは第3話「まよいマイマイ 其ノ壹」

母の日に妹と諍いを起こした阿良々木暦は、家に居づらくなり、一人見知らぬ公園でたたずむ。偶然その場を通りかかった戦場ヶ原ひたぎは、暴言とともに、阿良々木にとある申し出をする。

『化物語』西尾維新アニメプロジェクトより

阿良々木くんとの掛け合いという意味では”ベストパートナー”だと思っている八九寺真宵の登場です!

ただ、あらすじに戦場ヶ原の名前が書いてある通り、第3話は元気いっぱい戦場ヶ原さんがメインです(笑)

阿良々木くんと戦場ヶ原のやり取りもさらにレベルアップしていますので、そこは期待しててくださいね!

それでは今回はこの辺で!

また会いましょう

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